実力以上の栄養とおいしさになる「にんじんのポタージュ」
浜内千波さん「浜内千波 調理の新常識」よりVol.3
夏らしい日が続いていますね。すでに夏バテ気味の人や、暑さでキッチンに立つのも辛いという人も多いのではないでしょうか? そんな中、せっかく作った料理が実は、栄養がほとんど抜けてしまっているとしたら? 手間を省いて、もっと美味しく作れるとしたら? ちょっとびっくりしてしまいますよね。
今回、ご登場いただくのは、テレビ番組やCM、雑誌でも活躍中の料理研究家・浜内千波さん。メーカーへのレシピ提供や商品開発、さらに受講3年待ちという人気の料理教室を主宰しています。
40年にわたり、家庭料理を研究してきた浜内さんが提案してくれたのは、いままで当たり前と思われてきた調理の常識を覆した〝新常識〟です。
「私はもともと研究することが大好きで、当たり前とされてきたことが、本当のところどうなのかしら、と思い始めたらじっとしていられず、徹底的に調べてみたり、実験を繰り返してみたり……。そうするうちに、調理科学の進歩や流通している食材の変化から、いままで常識と思われてきたことにも、誤りがあることがわかってきました。そして、常識にとらわれていたら、体にいいもの、美味しいものを捨てることになってしまうことに気づきました。といっても、難しい工程はひとつもありません。むしろ手間が省けることばかり。ぜひ、日々の食事作りにお役立てください。」
3日目の今日は、にんじんにまつわる新常識です。
にんじんは加熱・粉砕で栄養が1.5倍!
にんじんには免疫力を高め、皮膚や粘膜を強くする「カロテン」がたっぷり。皮に近いほどその栄養効果も増し、特に皮には中心部の2倍以上も含まれているといわれています。さらに、ヘタの部分は消化酵素が豊富。そんな高い栄養がある皮やヘタを捨ててしまうとはもったいない!
実はカロテンは火を通したり、細かくするほど吸収率が増えるといわれ、なんと1.5倍に増えるのだそう。なのでヘタも皮もつけたままやわらかくゆで、ミキサーで粉砕してポタージュにすると、実力以上の栄養をとることができます。
にんじんのポタージュ
【材料 (2人分)】
にんじん…1/2本(100g)
牛乳…1カップ強
削り節…適量
塩…小さじ1/2弱
コショウ・粗びき黒コショウ…各少々
【作り方】
1 にんじんは薄い輪切りにして鍋に入れる。
2 1に水大さじ2を入れてふたをし、弱火にかけて20分ほど煮る。途中で水分が少なくなったら水大さじ1~2を加え、やわらかくなるまで火を通す。
3 ミキサーに2を入れ、牛乳と削り節ひとつまみを加えてなめらかになるまでかくはんする。これを鍋に入れて温め、塩とコショウで調味。器に盛って削り節少々と粗びき黒コショウをのせる。
特集4日目の明日は、豆腐についての新常識です。この時期はキンキンに冷やして冷奴にしがちですが…!?
どうぞお楽しみに!
PHOTO:廣瀬靖士
Profile
浜内千波(料理研究家)
ファミリークッキングスクールを主宰。 和風から洋風・中華・エスニック・お菓子までこなすアイデア豊富な料理研究家。特に、基本を押さえつつ、料理をもっと手軽においしく作るワザには定評がある。雑誌や書籍のほか、講演、企業のメニュー開発などで多忙の日々。著書に『二菜ごはん』『生クリームだからおいしい! ふんわり、しっとりケーキ』(ともに主婦と生活社)、『朝に効くスープ 夜に効くスープ』(日本文芸社)など多数。
http://www.chinamisan.com/
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