北欧の旅で目撃した「とびきりの豊かさ」を追いかけて Vol.1北の住まい設計社 渡辺恭延さん 雅美さん

暮らしのおへそ
2017.09.14

 

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30年以上前に訪れた
フィンランドで目撃したのは
自然とともにある、とびきり豊かな暮らし。
衝撃を受けたと同時に、心が決まりました。

「これ、したい!」

豊かさとは感じること。
季節の恵みを、花の香りを、
空気のおいしさを。
北欧で教えてもらったことを
自分たちなりに表現しようと、
北の大地に根を下ろしました。

雄大な自然に囲まれた北海道東川に佇む
「北の住まい設計社」。広い敷地に建つ
古い小学校を改装した建物には、
家具から、器、洗剤、食材までが
ゆったりと並びます。

四季折々の景色や季節の野菜を楽しめるカフェもあり、
ここだけ特別な時間が流れているよう。

オーナーの渡辺さんご夫妻は、共に北海道出身。
結婚後、前身となる小さなデザイン会社を立ち上げ、
その中の事業としてパブレストランにもチャレンジ。
什器の設置や導線作りは恭延さん、
ホールや厨房は当時からお料理が好きだった

雅美 さんが担当に。

「これがよく繁盛してね。すぐに2号店を出したんです。
でも毎晩遅くまで働いて、昼ごろ起きてという
不規則な生活に疲れてきて、
なんのためにやってるのかもあいまいでした」

30歳になったとき、
軌道に乗ったそのレストランを
まるごと売ってしばらく旅に出ることに。
恭延さんが北欧のデザインが好きだったこともあって、
フィンランドのニンジン農家にファーステイを
することにしたのだそう。

「あの旅で受けた衝撃は今も忘れません。
着いたその日に、部屋の窓から外を眺めていると、
どこからともなく人が集まってきて、
庭でウエディングパーティーがはじまりました。
セレモニーが終わると、
手作りのいちごショートケーキでティータイム。
納屋では、夜中までダンスパーティが続きました。

いったいなんなんだこれは? と思いました。
とにかく素晴らしかった。
手作りの素朴なウエディングケーキも決して
完成度が高いわけじゃない。
でも、なんて豊かなんだろう、こ
んな暮らし方があったんだって胸が震えました」

庭のブランコに揺られてお茶を飲んだり、
ベリー摘みやマッシュルーム狩りに
出かけたりしてすごすうちに瞬く間に
2週間が過ぎていました。

決して裕福でない、むしろ質素なその農家で
目撃したのは、季節折々の花を愛で、
旬の味覚を味わい、
与えられる自然の恵みに感謝しながら暮らす
とびきりの豊かさでした。

 

Vol.2に続く

『暮らしのおへそ』Vol.23 photo:興村憲彦

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

北の住まい設計社 ショールーム、カフェ&ベーカリー
北海道上川郡東川町東7号北7線

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水曜定休

北海道東川町の廃校を改装したショップにて、長く使える家具を中心に、次世代まで住める住宅やガーデンの設計&施工、こだわりの雑貨や食品の販売も。家具のショールーム、カフェやベーカリーも併設。http://www.kitanosumaisekkeisha.com/identity/

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