北欧の旅で目撃した「とびきりの豊かさ」を追いかけて Vol.2北の住まい設計社 渡辺恭延さん 雅美さん
北海道東川町にあるご自宅の前で。恭延さん設計の100年住めるロングライフ住宅。三角屋根の煙突と窓枠やドアの赤がアクセント。
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「これ、したい!」
そこからはもう迷いはありませんでした。
北欧と同様に、自然がすぐそばにある北海道で、
物質ではなく、お金でははかれない
「豊かさ」を表現すること、
それこそが自分たちの行くべき道だと確信したふたり。
「ご縁があって、廃校となって雪に埋もれていた
山奥の小学校を譲り受けました。
屋根を葺き、ペンキを塗りなおして再生し、
わずかな機械設備を置いて家具づくりを始めました。
今でもここが原点だと思っています」
北海道産の木で、丁寧に作られた家具は
評判となり少しずつ注文が来るように。
それからは順調に? と聞くと
「順調だなんて一回もないですよ。
家でも毎日、喧々諤々仕事の話ばかり
していたような気がします。
主人とはもう一生分話しました」と笑う雅美さん。
やがて、恭延さんはオリジナルの家具に加えて、
ロングライフ住宅やガーデンデザインを、
雅美さんはオーガニックコットン製品や、
マルセイユ石鹸など、エコロジーを意識して
雑貨を集め、カフェも手掛けるように。
自家菜園では野菜を作りカフェのサラダに、
スタッフや友人を家へ招いておもてなしも
しょっちゅう。娘さんの結婚式は念願の
手づくりガーデンパーティーに。
北欧の旅で誓った「これ、したい!」が
少しずつ形になっていきました。
取材の日、激しい雪が降っていたので、
冬の間、雪に閉ざされる生活は大変ではないですか?
と聞いてみると
「雪景色っていいものですよ。
雪はやっかいなものではなく、
春を待つ木々にとっても必要なものです。
深い雪の下を流れる雪解けの水は、
幹を樹液で満たしてくれます」と恭延さん。
本当の豊かさとは、与えられているものに気づき、
それに感謝する心を持つこと、なのかもしれません。
『暮らしのおへそ』Vol.23より photo:興村憲彦
tel.0166-82-4556
fax.0166-82-3775
水曜定休
北海道東川町の廃校を改装したショップにて、長く使える家具を中心に、次世代まで住める住宅やガーデンの設計&施工、こだわりの雑貨や食品の販売も。家具のショールーム、カフェやベーカリーも併設。http://www.kitanosumaisekkeisha.com/identity/
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