堀井和子さん【前編】「自分が“好き”と思うものに、より正直でいられるように」

大人の暮らしで見直したもの
2017.10.09


先週発売の新刊「大人暮らしで見直した10のもの」。お手に取っていただけましたでしょうかー? 今日はその中から、堀井和子さんにお聞きした「見直したもの」を、少しだけこちらでご紹介させていただきますね。

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日々の暮らしは、「もの」に支えられ、彩られ、形づくられています。暮らしと太くつながっているからこそ、大切な「もの」は、年齢や生活習慣の変化とともに、更新されていくはず。大人になった「今」だからこそ、しっくりきているものはなんですか? 憧れの先輩にお聞きしました。

text:鈴木麻子 photo:公文美和

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まだ、今みたいに書店の棚が、料理やインテリアの本であふれていなかった頃、私たちにたくさんの「憧れ」を提示してくれていた堀井和子さん。デザイン、写真、イラスト、文章と、本にまつわるいろいろを一手に引き受け、楽しい暮らしをずっと見せ続けてくれるすごい人。そんな“堀井和子ワールド”のもとは、一途なもの選びにありました。失敗と興奮を繰り返し、“好き”の直感はますます進化しているようです。

今の場所に引っ越してきたのは8年前。慣れ親しんだ世田谷を離れ、ぐっと都心にやってきました。長年、家を探す中で、郊外や地方の一軒家も候補に挙がっていましたが、落ち着いたのは、東京の真ん中にあるマンション。決め手は、リビングの窓からの景色でした。都会の風景に交じり、空や緑がたっぷりと見え、天気次第で富士山も目に入る眺望に、ここでの気持ちのいい暮らしが思い描けたのだといいます。

引っ越し当初、そこはピカピカの新築マンション。でも、長いこと使っている家具を置き、かごを並べ、お気に入りの絵をかけたら、すぐに、自分たちらしい空間になりました。箱は変われど、空間の佇まいは、今まで著書で紹介され、私たちが憧れ続けていた堀井さんの部屋そのもの。その変わらぬ空気感は、こつこつと“好き”なものだけを集めてきたからこそ。

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堀井さんの本や作品を見たことがある方ならば、一度は目にしたことがあるのではないでしょうか? 姪っ子さんの描く、素直で軽やかな絵を。著書の装丁に使われたり、デザイン作品にあしらわれたり、しばしば象徴的に扱われてきました。主に姪っ子さんが幼少時代に描いていたものですが、彼女が社会人となった今でも、当時の絵は堀井さんの宝物。リビングルームの真っ白な壁、家の中で一等いい場所に飾られています。

「ここでごはんを食べ、仕事もし、1日の中で一番長くいる場所。アート作品にも惹かれるけれど、それらはここではなく、別の部屋や廊下の壁面に置くと思います。この部屋には、見ていて和むものをかけたくて」

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ほかにも家の各所に絵が飾られていますが、それは、とあるショップの地図やポストカードだったり、小冊子を切り取ったものだったり。ほかの誰かにとっては、取るに足らないものかもしれませんが、堀井さんにとってはどれもとっておき。“居心地のよさ”を突き詰めたら、自然とシンプルでおおらかな絵が、家を飾る大切な要素となっていました。

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→【後編】に続きます

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Profile

堀井和子

Kazuko Horii

料理スタイリストを経て、渡米。帰国後、食に関するエッセイやレシピ本を多数発行。2010年にご主人と「1丁目ほりい事務所」を立ち上げ、不定期に企画展を開き、オリジナルの作品を発表。自由な創作活動を行う。

肩の力を抜いた自然体な暮らしや着こなし、ちょっぴり気分が上がるお店や場所、ナチュラルでオーガニックな食やボディケアなど、日々、心地よく暮らすための話をお届けします。このサイトは『ナチュリラ』『大人になったら着たい服』『暮らしのおへそ』の雑誌、ムックを制作する編集部が運営しています。

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