1932年にデザインされた「アルヴァ・アアルト」の名作「スツール No.60」

今日のひとしな
2017.11.05

~designshop(デザインショップ)より vol.5 ~

1105スツール1
「designshop」でも、年に何十脚と売れている定番アイテムではありますが、同じような木製スツールは近くのホームセンターでも手に入りますし、お値段も10分の1以下。それじゃあどこが違うんだろう、なんてお話をお客さまから頂いたことがあります。

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結論から言うと、「No.60」は座面・脚の厚さが違います。ホームセンターで売られているものは、こんなに厚い素材を使っていません。

「それだけで、10倍分の価値があるの?」と言われてしまうと少しドキドキしてしまいますが、この違いがとてつもない違いを作っている、そしてお値段の価値を有していると思い、自信をもってこの「No.60」を販売しています。

耐久性や安定性という面からすると、しっかりとした厚みのある素材の方が有利なのはもちろんですが、「No.60」は、座面には軽さを重視して積層合板を、脚部にはバーチ(白樺)の無垢材を使用しています。というのも、床面と接地する脚部は一番ガタがきやすい部材。その部分に耐久性の高い無垢材を使用することで、より丈夫な作りとなっています。

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その反面、積層材と比べて無垢材は曲げるのが大変な作業になります。でも、「アアルトレッグ」「Lレッグ」と呼ばれる「No.60」の脚部は、90度近く曲げられたL字型。アアルトは、細かな切れ込みを入れることで無垢材の脚部を曲げることに成功し、この曲げ技術の特許を取っているのです。

また何よりも、素材の厚みが生む美しさが別物だと感じています。横から見たときのグラフィカルな美しさ。厚みのある素材だからこそ描けるラインが、このバランス・美しさを生んでいると思います。

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「designshop」では「No.60」をモチーフにしたポスターも販売していますが、シルエットがそのままポスターになりうる美しさは、この「No.60」ならではのものです。

また、似たデザインのスツールで、アアルトの「No.E60」があります。3本脚の「No.60」に対して、「No.E60」は4本脚です。時々、お客様から、「どちらにしようか悩んでいる」というご相談をお受けすることがあります。個人的には、可能であれば3本脚の「No.60」を手にして頂きたい、というのが本音です。一切の無駄を省いたシンプルでグラフィカルな美しさは、3本脚の「No.60」だからこそ感じられるものだと思うのです。

ちなみに「何が何でも、絶対におすすめ」と言えない理由は、3本脚の「No.60」が構造上不安定なところがあるからです。

腰掛けとしてだけでなく、ちょっとしたサイドテーブル代わりにもなる便利なスツールで、そういった使用方法で大人が使用する分には、それほど神経質になることはないと思います。ただし、踏み台代わりにするときは別(!)で、「No.60」を踏み台にするのは本当に危険、かなりの確率ですっころんで落下します。

自宅ではキッチンで使用しているので、踏み台としてつい使いたくなるのですが、「No.60」に上るとかなりの確率でガタガタとバランスを崩し、最悪の場合スツールが吹っ飛んで落下するという。以来、踏み台代わりにすることはありません、次やったら骨折しそう……。

ですので「踏み台としても使いそう」とか「お子様が使うかも」という方であれば、4本脚の「E60」が間違いなくおすすめです。


文:鹿野幸祐

artek|Stool 60 (アルヴァ・アアルト)

artek|Stool E60 (アルヴァ・アアルト)

 

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http://www.designshop-jp.com

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