おじぎをする宮城の「Kokeshi」と、岩手の「雪焼けこけし」
~designshop(デザインショップ)より vol.16 ~
「designshop」では日本の手仕事についても、”design"をキーワードに様々な角度から紹介し、少しでも環境に優しく、心地よい暮らしの提案が出来ればと考えて商品選びをしています。
本日は、その中のひとつ、日本の伝統工芸品の「こけし」をご紹介します。お取り扱いをしているのは、絵付けをしていないシンプルな「こけし」たち。ご興味ある方は、オンラインショップページの左下にある「ワード検索」に「こけし」と入れると一覧がご覧いただけます。ちょっと珍しいシンプルな「こけし」が揃っていますよ。
2020年の東京オリンピック、新国立競技場の設計でも話題の建築家、隈健吾(くまけんご)氏。2011年の東日本大震災の際には、いち早く復興支援プロジェクト「East Japan Project(イーストジャパンプロジェクト)」を立ち上げ、「プロダクトデザインの提供から、被災地のメーカー・作り手がその製造を担う自立支援」という形で、被災地の復興に尽力しています。
こちらの「Kokeshi(こけし)」は、その「イーストジャパンプロジェクト」が手掛けたもの。「ロナン&エルワン ブルレック」が、デザインを担当しています。ロナンとエルワンは、兄弟です。
伝統こけしと温泉で有名な、宮城県鳴子峡のこけし職人さんが手仕事で作る「Kokeshi」。フランス人であるブルレック兄弟がイメージする“日本文化=お辞儀”のアクションをデザインに取り込み、日本人にはなかなか発想しがたい「お辞儀するこけし」が出来上がりました。玄関先やお店の入り口に置くのもおすすめです。
一方、この黒く焼けた姿のこけしは、岩手県一関で作られている伝統こけし「雪焼けこけし」です。雪山を歩き、雪焼けで真っ黒になった姿をイメージしているんだとか。こちらは製作できる職人さんが、もうお1人だけ。いつまでもお元気に製作を続けて頂きたいのですが、いつまで販売を続けていけるか心配でもあります。
「雪焼けこけし」に限らず、日本の伝統工芸はまだまだ楽観的な状況にはありません。当店で、ブルレック兄弟の「Kokeshi」を限定数しか販売できなかったのも、高い技術力を必要とするパーツを製作していた、岩手の「岩屋堂箪笥」が会社をたたんでしまい、追加生産が難しくなったからです。
余談になりますが岩手の「釜定工房」をはじめ、当店でも人気の南部鉄器なども、人気があるにもかかわらず、なかなか次の世代の作り手が増えない現状があり、決して安泰とは言えません。
「designshop」でも販売という形での協力はもちろんですが、何か他にできること、すべきことはないかなぁ、と常々考えさせられます。南部鉄器作りを始め、伝統工芸の職人に興味がある、やってみたい、そういう方は「designshop」までご相談ください!
文:鹿野幸祐
East Japan Project|Kokeshi(design:ロナン&エルワン ブルレック)
岩手一関|雪やけこけし
シンプルライフ、クオリティライフにふさわしい、流行に左右されず末永く使える優れた商品を発信するショップ。「今日のひとしな」コラム執筆は、オーナーの森 博さん、店長の鹿野幸祐さん、広報の杉江厚子さんをはじめとするスタッフのみなさん。
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定休日:土、日、祝日
http://www.designshop-jp.com
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