画鋲で気軽に取りつけられる「かみの工作所」の紙製シェルフ

今日のひとしな
2018.01.25

~ HOEK(フーク)より vol.25 ~


そういえば私は、幼い頃からものを飾ることが好きでした。小学校に上がった時、両親に買ってもらったいわゆる勉強用のデスクセット。椅子に腰掛けた際、丁度目がいく真正面の棚には、いつも何かを飾っていました。

匂い玉や星の砂、小さな人形にお菓子の空き缶など、当時の私にとってはどれも大切な宝物です。星の砂を散らして躍動感を出してみたり、人形を使って小劇場を演出してみたり。棚の真上には埋め込み式の照明があり、カチッと灯せばその小さな世界が浮かび上がります。自分だけの心地よい場所を手に入れた気がして、子供ながらに高揚感に浸ったものです。

今日のひとしなも、そんなディスプレイのステージにもなるような商品です。
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デザインは「トラフ設計事務所」。紙を加工してできる道具の可能性を追求するプロジェクト「かみの工作所」から製品化された、紙製のシェルフです。素材は古紙とフレッシュパルプを原料にした特殊紙。強度があり、耐久性にも優れています。表面はコーティング加工してあり水にも強いので、簡単に汚れを拭き取ることもできます。

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なんとこれ、壁に画鋲で固定するだけでシェルフになるというから画期的。賃貸にお住いの方でも気軽に取りつけられるのです。

つけ方は、まずシェルフを開いた状態で、A4サイズは7か所、A3サイズは9か所、水平になるように画鋲でとめます。折り目に沿って形づくり、上部の面にあるマジックテープを貼り合わせて完成です。耐荷重は約500gと表記されていますが、感覚としてはもう少し乗せられます。

壁付けの棚は色々と素敵なものが存在しますが、釘やネジを打たなくてはならないものも多く、日本の居住環境を考えるとなかなか取り入れにくいのが現実。そんな中出会った、かゆいところに手が届くようなこちらの商品。

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部屋の壁に、紙の異素材が入る感覚も面白く、様々なシーンでご利用いただけます。どの空間にも馴染む、モノトーンなものから、ポップなものまであり、空間のテイストに応じて楽しめます。ぜひ自分なりの世界観を楽しんでみてください。

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ちなみに我が家では、子供の絵やポストカードなど壁に貼って楽しむコラージュコーナーでA4シェルフが大活躍。子供たちがまだ小さいので、今は手の届かない少し高めの場所で、飾り棚として重宝しています。また、ベッドサイドやソファーサイドなど、手の届く場所に取りつければ、読みかけの文庫本や携帯の置き場所になって便利。省スペースで使えますし、実用品としてもとっても優秀なんですよ。

壁に色を塗ったり、大きなシェルフをつけるのはハードルが高いですが、このシェルフは新たなインテリアの楽しみ方を教えてくれるんです。


さて、少し話はそれますが、ここからは私の実家の壁の話を。音楽と美術が大好きだった高校時代の私は、自分の部屋の一面に新聞紙を貼り付け、その上に模造紙を貼り、昼夜逆転しながら一人部屋にこもり、ペンキで絵を描くのに没頭し続けた冬休みがありました。若さもあり、好きなことへのエネルギーがすごく、音楽をガンガンに流しながら作業した時間。朝補習から夜補習、学習合宿と勉強詰めの進学校に通っていたにも関わらず、勉強もそっちのけで熱中したことを覚えています。

当時のことを振り返ると家族も心配だったのかなぁと思ったりしますが、あれから20年以上たった今でも実家の部屋にはその絵が変わらず残っています。実はその部屋、今は自分の書斎が手狭になった父が使っているのですが、思春期の我が子のフラストレーションの塊の横で、今年66歳になった父が、私とは全く違うジャンルの書き物をしています。ちなみに父が書き物をしているそのデスクこそ、私が小学生の頃から使っていた勉強机。

ディスプレイのステージとして使っていた棚は既に廃棄されていますが、机の引き出しを開けると、私や、そのデスクを引き継いだ弟の当時の鉛筆やノートから、訳のわからないおもちゃや手紙まで、乱雑に入ったまんまです。まるで時が止まったかのような状態を見かねて、私たちが帰省の際に廃棄しようとしましたが、父に止められました(笑)。

大人になることで、取り巻く環境も変わり、家族といえども時に他人のように距離を感じてしまう時期もありましたが、こうやって刻まれたものをそのままに生きている父を見て、なんだか感慨深い思いがしたのでした。私も将来そうなるのかなぁと、これを書きながらなんだかセンチメンタルな気分です。家族って面白いですね。

 

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HOEK(フーク)

ヴィンテージ、プロダクトデザイン、ハンドクラフトなど様々な分野から、食器、インテリア雑貨、日用品、オブジェ、キッズアイテム、ファッションなどジャンルレスに紹介。「今日のひとしな」の執筆は、主に大井美代さん。ときどき大井智史さんも登場。

 

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