子育てがラクになるおへそとは? Vol.1 教育評論家・親野智可等さん
この2つで親子関係は劇的に変わります。
「また出しっぱなし!」「宿題は?」優しい母でいたいと思う気持ちと裏腹に、思うようにならないわが子についガミガミ……家族のために日々奮闘するお母さんたちが、子育てのイライラから解放されて、もっと楽に子どもと向き合うにはどうしたらいいのでしょうか? 教育評論家・親野智可等さんに“子育てが楽になるおへそ”についてうかがいました。
親野 お母さんたちはみんな愛情いっぱい。でも、それが空回りしていることが多いですよね。子どもとの関係がうまくいかない原因は、どこに出しても恥ずかしくない良い子に育てよう、という間違った愛が原因です。子供を理想にはめようとすれば、足りない部分が目につき「なんでできないの!」と、叱ることが日常になって、家庭の雰囲気はぎすぎすしてしまいます。
私も教員時代、理想のクラス像をかかげて子どもたちを叱ってばかりいた時期がありました。誰も言うことを聞いてくれず、見事に学級崩壊しました。つらかったですよ。それ以来、理想をかかげることはやめました。
なるほど。確かにそうですね。ただ、せめて生活の基本的なことはできるように、願うのが親心。できないと子ども自身も困ると思うのですが。
親野 朝、ちゃんと起きて、ご飯を時間通りに食べて、支度をし、朗らかに出かける。そんな子は親にとっては便利ですけど、子育ての目標をそこに置くのは危険です。できないから親は子供を叱っていい、それは大きな間違いです。叱り続けることの弊害は深刻です。大人だって、上司や夫に毎日のように叱かられれば不愉快ですよね。大切にされている、愛されている、とは思えないですよね。それが子どもならなおさらです。叱られ続け、愛情不足を感じた子供は、親の愛情を確かめようと反抗的な態度をとったり、問題行動を起こすようになります。
叱ることの弊害、怖いですね。でもどうしたら叱らずに、子どもに生活の基本的なことを教えることができますか?
親野 子どもはすべての経験が浅いから、時間の観念もあいまいなら、将来のためにという考えもありません。大人のように頭でスケジュール管理はできません。宿題をやらないのも、ご飯を食べ始めないのも、あとどれくらい時間が残っているかというのがわかっていないからなんです。だから頭ごなしに叱らずに、子どもに残り時間を理解させる工夫をしてみてください。子どもの特性を知り、工夫をすることで子育てはぐんと楽になります。
『暮らしのおへそ』vol.21より photo:枦木功
Vol.2へ続く
Profile
親野智可等
長年の教師経験をもとに著書、メルマガ、ブログ「親力講座」などで勉強法や子育て法を提案。全国各地の小・中学校・保育園のPTA市町村の教育講演会で大人気。講演依頼とメルマガ登録は「親力」で検索してHPから。
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