地球の物差しでとらえる「TOKIIRO(トキイロ)」の多肉植物
~ 「組む東京」 vol.25 ~
「45億年の地球の物差し」と「100年の人間の物差し」。多肉植物を扱うユニット「TOKIIRO」のふたりと話していて、印象深かった言葉です。
その言葉を聞きながら、子供の頃、星空を見あげて、圧倒的な神秘に、しばしば、胸がいっぱいになったことを思い出しました。宇宙はどうなっているんだろう。時間の流れとはなんだろう。私は、なんでここにいるんだろう。
あの頃、感じた圧倒的な神秘は、今も変わらず、雄大で無限のままですが、大人になって、様々な経験を重ねるにつれ、人間の尺度で物事をとらえることに、すっかり慣れてしまったような気がします。
「TOKIIRO」は、近藤義展さんと友美さんご夫婦のユニット。多肉植物に特化し、グリーンデザイン、ガーデンデザイン、ワークショップなどを手がけています。私は、このご夫婦に2015年に出会い、魅力を感じ、どんなことをされているのか、すごく知りたくなってしまいました。自宅兼アトリエショップを訪ねると、そこは、まるで多肉植物の楽園。宮崎駿さんのジブリの世界みたい、とよく言われるそうです。たくさんの多肉植物は、小さな神秘が宿るものとして、大切に育てられていました。
「TOKIIRO」は、100年の人間の物差しで、目の前のものをはかったり、判断したりするのではなく、45億年の地球の物差しをもってみませんか? と投げかけます。多肉植物の生命のあり方を伝えることで、 “45億年の物差し”の存在に気づいたり、考えたりするようになるきっかけにつなげたい。世界中の人々とシェアしたい。地球が存続するために、それは大切なことなのだと。
気の遠くなるような長い時間の中で、どんな環境にも適応する力、過酷な環境でも生き抜く強い生命力を得てきた多肉植物。それらが、私たちに示唆すること。
「TOKIIRO」は、多肉植物の生命の神秘に触れて、地球の神秘を知りたくなったと言います。そして、それを知れば知るほど、深遠な世界の発見から、深い感銘を受けたのでしょう。「TOKIIRO」のアレンジする多肉植物からは、その感動が伝わってくるのです。
私はというと、多肉植物に美しさと神秘を感じることは、深い癒しを与えてくれると思っています。試しに、虫眼鏡で多肉植物を見てみれば、自然の造形は、そこに神が宿るかのごとく、驚異的で美しく、いつしか人間の物差しから解き放たれている自分に気づくのです。
2015年10月の「TOKIIRO展」では、この作品を「組む」の屋上で制作してもらいました。その後2年の間、この屋上でたくさんの方々にご覧いただきました。
2018年は、10月の最終週にTOKIIRO展を予定しています。お楽しみに。
国内外のものづくり、手工業の交流拠点となる場として、ショップ、ギャラリー、コミュニティ・スペースの機能をもつお店。「今日のひとしな」の執筆は、代表・キュレーターの小沼訓子さん。
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