いつも争奪戦のような人気ぶり。石木文さんの器
~グリスーリよりvol.15~
石木文さんの器たちを見ていると、春を思う……。
ちょうちょやお花、森の木々たち。寒い冬が終わり、暖かくなってうきうきワクワクするような気持ちが描かれているからでしょうか。そういえば、グリスーリで初めて個展をしたのも春でした。
お店と同じ千葉県内でも、石木さんはとても自然豊かな中で暮らしています。緑に囲まれ広い空の下、のびのびと暮らす楽しさが作るものにあらわれていて、石木さんの器を手に取るとそんな情景が浮かびます。
作品の中には石木さんの家の土を使って作られたものもあり、その柔らかいやさしい色合いがとてもいいのです。
ほら、裏までかわいいでしょう? 使っていて、楽しくて嬉しくなる器なんです。
石木さんは作品ができるたびに、「これはね、こんなところにウサギがいてね。これはね、トリの足が裏まで続いて描いてあるの」などと嬉しそうに話してくれます。一枚一枚、手をかけ描いた石木さんの思いがきちんと伝わるような展示をしたい……とはいえ、いつも評判の高い作品。グリスーリでの個展だけでなく、他県での展示に同行させてもらう機会も多いのですが、てふてふ(ちょうちょ)や白鳥の器は、いつも争奪戦のような人気ぶりです。
同じシリーズでも一つ一つ表情が微妙に違うので、ゆっくり手に取って自分の気持ちにぴったりくるものを選んでもらえるような個展を開くことが、これからの私の課題です。
そんな絵柄が魅力的な石木さんの作品ですが、白い器もとても素敵なのです。白といっても、たんぽぽ、コモリウタ、ぞうさんなど石木さんらしい愛らしさのある作品ばかり。
これは、たんぽぽシリーズの中で一番小さな箸置きサイズ。私はこれがとても好き。手のひらにのせると、なんともいえない可愛らしさで、愛おしくなります。
我が家でも箸置きとして活躍中ですが、小さなピアス置きにしても素敵。ミルククラウンのようにも見えたり、ひとつひとつ違う表情に魅了されます。
次回展示は、6月に千葉県佐倉市で行われるクラフトフェア「にわのわ」に合わせて会場近くで開催される「まちのわ」。ここで「出張グリスーリ」として出店し、石木さんの展示をします。「旧平井家住宅」というとても素敵な場所をお借りすることになりました。詳しくは後日HPにてお知らせしますのでお楽しみに。
手仕事のもの、くらしの日用品が並ぶ雑貨店。デイリー連載「今日のひとしな」の執筆は、店主の飯島里奈さん。
千葉市稲毛区稲毛台町12-12
TEL&FAX 043-239-7819
11:30~17:30 日・月曜定休
Profile
石木 文
福岡県出身、千葉県在住。武蔵野美術短期大学工芸デザイン科、有田窯業大学ロクロ科を経て、福岡の橙窯にて制作を始める。結婚を機に千葉に移り、制作を続けている。
肩の力を抜いた自然体な暮らしや着こなし、ちょっぴり気分が上がるお店や場所、ナチュラルでオーガニックな食やボディケアなど、日々、心地よく暮らすための話をお届けします。このサイトは『ナチュリラ』『大人になったら着たい服』『暮らしのおへそ』の雑誌、ムックを制作する編集部が運営しています。