“粋とモダン”、おしゃれな和ガラス「廣田硝子」
“ぎやまん”は江戸庶民の憧れ
私たちの暮らしには欠かせないガラス製の日用品。お皿やグラス、調味料入れや保存瓶など、毎日手にとって使う身近な存在です。
江戸時代は、日本製の吹きガラスを“びいどろ”、上質な日本製ガラスや舶来物をぎやまん、と呼んでいました。江戸後期には、日本橋のガラス問屋「加賀屋」の引き札(今でいうカタログ)にも切子や瓶が描かれていて、庶民には縁がないものの、知られた存在ではありました。
江戸庶民の憧れだったガラスは、西洋化をめざす明治政府が品川に官製ガラス工場を作り、工芸品から工業品へと変わっていきます。そして明治から大正にかけて、人々の暮らしをガラスの道具が彩るようになります。
日本の暮らしになじむ和硝子
ものづくりの町として知られる東京・錦糸町。昔から皮革、鉄工などの町工場とともに、ガラス工場も多い町です。この町に、明治の終わりに創業した「廣田硝子」があります。ガラスの歴史と一様に、業務用から暮らしの道具へと、時代ごとにさまざまなガラスを手掛けてきました。
創業時からの意匠や鋳型をもとに、今では四代目の廣田達朗さんがデザイナーとともに製品を企画。照明から食器まで幅広く生産しています。“日本の暮らしになじむ和硝子を”と手掛ける製品は、デザインがポップでもモダンでも粋でも、使っているシーンが思い浮かぶものばかり。とても身近で、温かみを感じる、そんな印象を受けました。
招き猫のお菓子瓶。手仕事ゆえの表情違いも魅力のひとつ/大10,000円・小6,000円
日々使いたい、おしゃれな江戸・東京ガラス
廣田硝子では伝統技術の継承にも力を入れていて、2004年には江戸切子の工房兼ショップ「すみだ江戸切子館」を開設。江戸切子づくりを体験できるため、週末は観光客などでにぎわっています。
正統派切子はもちろんですが、粋でポップな「江戸切子蓋ちょこ」、切子文様をいれたモダンな「水差し」や「文鎮」、遊び心のある切子の「万華鏡」など、伝統を取り入れながら新たな世界を展開しています。
切子細工の水差し「潤しずく」/25,000円(左)、30,000円(右)。会津漆と掛け合わせた「漆硝子文鎮」/20,000円
伝統柄を施したガラス製品やモダンな感覚を刻んだ江戸切子。日々使いたくなる、ちょっぴり粋でモダンな江戸・東京ガラスが廣田硝子には揃っています。
*商品すべて税別、2018年8月現在の価格です。
text・photo:森 有貴子
Profile
森有貴子
編集・執筆業。江戸の老舗をめぐり、道具と現代の暮らしをつないだ『江戸な日用品』を出版、『別冊太陽 銀座をつくるひと。』で日本橋の老舗について執筆(ともに平凡社)。落語、相撲、歌舞伎、寺社仏閣&老舗巡りなど江戸文化と旅が好き。江戸好きが高じて、江戸の暦行事や老舗についてネットラジオで語る番組を2年ほど担当。その時どきで興味がある、ひと・こと・もの、を追求中。江戸的でもないですが、instagram morissy_edo も。
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