一冊の本を売る書店を始めた理由とは? 「森岡書店」店主 森岡督行さん Vol.2
「一冊の本を窓にして、物と出会い、人と出会い、何かが弾んでいく。 そんなふうに世界を広げていく場にしたい」
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森岡さんは、かつて勤めていた古書店で対外宣伝誌に出会い、そのデザインと写真の美しさに衝撃を受けて以降、こつこつと対外宣伝誌を集め続けてきました。その数、何と約250冊。
「とても貴重なものでしたが、この物件をどうしても押さえたかったので、迷いなく、すべてを手放しました。何かを始めるときは、今手にしているものを手放さなくては」
森岡さんが手に入れたかったのは、建物に刻まれた記憶、それはつまり場所の力です。鈴木ビルのもつ文化的背景が、本をアートとして捉えて展示をする「一冊の本を売る書店」を成立させるために不可欠なものでした。
「一冊の本を窓にして、ものと出会い、人と出会い、そこから何かが弾んでいくことに興味があるんです。そんなふうに世界を広げていく場にしたい。この間、こんなことがありました。ある人がベーグル屋さんと一緒に展覧会に来てくれて、私にベーグルを差し入れしてくれたんです。食べたらすごく美味しかったので、来てくれる人みんなに配ったら、そのなかにたまたま料理編集者の方がいて、数日後、そのパン屋さんの本を出すことになったので、その出版記念をうちでやりましょうという話になって。うれしかったなあ」
まさに、何かが弾んだ出来事でした。そんなお話を伺っていると、これからどんな“弾み”が森岡書店から生まれるのか、とても楽しみになりました。
『暮らしのおへそvol.21より』 text:和田紀子 photo:大沼ショージ
営:13:00 ~20:00 月曜休
℡03-3535-5020
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