日常着にも、しっくりなじむ 「リゼッタ」の手作りコサージュ
名作と呼ばれる映画には、必ずといっていいほど実力派の脇役が存在するもの。それは、おしゃれも一緒です。一見何げないのに、実は丹念にこだわって作られたアイテムたちは、主役を引き立てるための十分な腕前を持ち合わせています。この連載では、そんな“おしゃれの名脇役”にスポットライトを当て、王道のものから隠れた逸品まで、幅広くリポートしていきます。
photo : 花田 梢 text : 三宅桃子
まもなくやってくる7月29日は、東京・二子玉川にある「リゼッタ」のブティックがオープンして10周年という記念すべき日。今回は、9年前から職人さんの手で作り続けられているという、ロングセラーのコサージュにスポットを当てます。
右奥から時計回りに「リゼッタ」コルサージュ・TSUBOMI¥7,200、マグノリア¥6,000、クロッカス¥7,200、アルパン¥12,500、フルール¥6,600
※以下、商品の価格は2016年6月現在のもので、表示は税抜きです。
なかには、花のイメージに合わせたボックスつきのものも。
奥から時計回りに「リゼッタ」コルサージュ・フラワー(販売終了)、エーデルワイス¥4,200、ヴィオレット¥4,200
どれもこれも、ノスタルジックな中に洗練された雰囲気が漂うものばかり。最初に作ったものはこの中にありますか? デザイナーの平真実さんに伺いました。
「コサージュではあまり使われていない花がいいなと思い“エーデルワイス”に。大好きな映画『サウンド・オブ・ミュージック』の中で、エーデルワイスの花束をプレゼントするシーンがとても印象的だったので」
イメージソースになっているのは、1960~70年代のイヴ・サンローランのプレタポルテやジャン・ルノワールの映画、南フランスを旅しているときに出会ったスミレのお祭りなど、平さんが見て触れて感激したものがほとんど。
「私がデザインをして、職人さんが手作りしてくださるのですが、アイデアを伝えると『長年コサージュを作っているけど、この花で作るのは初めて!』『花をつぶした感じにするの? 本当に?』と驚かれることが多いです」と笑いながらエピソードを話す平さんからは、このコサージュに対する情熱と愛情を感じとることができます。
コサージュというと、お呼ばれ時に着飾るための小物として取り入れられることが多いですが、「リゼッタ」で展開しているものは、あらたまったシーンではもちろん、デイリーでも使えるものばかり。その理由を探ってみると……。
ベロアとリネンなどの異素材を組み合わせることで、奥行きのある豊かな表情が。花びらを切りっぱなしにすると、ほどよい抜け感も生まれます。
すみれの花びらの染色は、あえて色ムラをつけています。時を経て、日焼けしてしまったようなニュアンスにするためです。
モクレンの茎の付け根部分には、このために作っているオリジナルパーツを。見えにくいところに施されたアンティークゴールドが、おしゃれ心をくすぐります。
「デッドストックの小さなペップ(花芯)は、今ではなかなか見つからないのでとても貴重。なので、パリの蚤の市で見つけたときにまとめ買いしています」
このようにしてていねいに手をかけられたコサージュたちは、繊細で上品な佇まいで私たちの日常着に彩りを加えてくれます。
シンプルなブラウスの裾を少したくし上げてつけてみたり。
「リゼッタ」コルサージュ・ローズ・ド・ノエル¥6,000、ブラウス¥21,000、パンツ¥20,000、帽子¥32,000
夏ならではの麦わら帽やかごバッグに添えてみたり。
(左)「リゼッタ」コルサージュ・アルパン¥12,500、ハット¥32,000
(右)「リゼッタ」コルサージュ・フラワー(販売終了)、バッグ(私物)
いつものボーダーカットソーが、フェミニンにシフトできたり。
「リゼッタ」コルサージュ・ヴィオレット¥4,200、カットソー¥12,000
「使っているうちに生地の質感がこなれてきたり、端がホロホロとほつれてきたりするので、趣が増していく楽しみもあります」と話してくださったのは、PRの天野佑梨さん。身につけるだけで女性らしいおしゃれ心も育つコサージュ、おひとついかが?
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