【後藤由紀子さん連載】エレガントな女性への分岐点は、美しい所作と姿勢です【後編】

後藤由紀子さん 専門家の力をお借りします
2021.04.09

【前編】はこちらから

歳を重ねるにつれ、仕草やちょっとした立ち居振る舞いに、「その人の暮らし」や「積み重ねてきた年月」が表れると感じているという後藤由紀子さん。内面から溢れ出る品格のようなものがあってこそ、素敵な大人の女性になれると考えるようになったそう。

ということで、連載「専門家の力をお借りします」で今回訪ねたのは、東京・田園調布で真のエレガンスを養うための教室を主宰する丹生谷(にうのや)真美先生。【前編】では、美しい立ち姿勢と座り方について学びました。【後編】では、和食のテーブルマナーを教えていただきます。


さて、いま一度、基本の座り方で優雅に椅子に座りましょう。いきなりどかっと深く腰かけるのではなく、「天から頭のてっぺんを吊られていること」を意識して、頭が前にいかないよう垂直に、椅子の手前に腰掛けます。そのあと、お尻を後ろにスライド。はい後藤さん、とても美しく座れました。

丹生谷先生(以下、丹):日ごろから意識して繰り返していたら、次第に習慣として身につくようになりますよ。
後藤さん(以下、後):積み重ねが大事ですよね。ふとした瞬間に、その人の素の部分が見えてしまうことがあるなと、最近感じることが多くて。


丹:人って自分のことは見えないから、意識は必要ですね。たとえば外でショーウィンドウに映った自分を見て、姿勢の悪さにびっくりすることありませんか? ということは、人にはそう見えているということ。そうならないためにも、家でもいろいろな場所に鏡を置くといいですよ。自分の姿勢が目の端に入るたびに、自然と背筋をすっと伸ばす習慣をつけられます。

では、美しく座れたところで、次は、お箸や器の扱い方について教えていただきましょう。

 

01
箸の扱い方

 

丹:和食の作法って、お箸の上げ下ろしさえちゃんとできれば、きれいに見えるものなんですよ。まずは、お箸の持ち方をおさらいしましょう。


丹:上のお箸は鉛筆を持つように、親指、人差し指、中指の3本指で支えます。下のお箸は中指の下に入れて薬指で支えたら、もう下は動かさない。基本的に親指を「とめ」にして、人差し指と中指の2本で上のお箸を動かしているという感じです。そうするとお箸の先がV字型になるので、お米だろうが豆だろうがしっかりつかめるんですよ。

次は、お箸の上げ下ろしの仕方について。

丹:お箸置きに置かれているお箸を右手で上から取ります。パッとつかむのではなく、指先でゆっくりと。持つ位置は、真ん中より少し右がいいわね。そうしたら胸の位置まで持ち上げて、いったん下から左手で受けます。お箸の表面を滑らせるように右手を移動させ、正しい位置で持ち直します。

後:いきなりお箸をにぎるのではなく、いったん左手に持ち変えるという動作が入るだけでとっても優雅に見えますね。


丹:お箸置きは家でも常にお使いになることをおすすめします。普段から使い慣れていないのか、小皿などの上にお箸を置いている方をおみかけしますが、これはタブーのひとつ。お箸置きは場所をとらないし、季節のものやきれいなものなどいろいろお持ちになっていたら、食卓がバラエティ豊かになりますよ。

後:はい、わが家でも箸置きは使うようにしています。気分やお料理に合わせて変えるのが、日々の小さな楽しみなんです。

02
お椀の上げ下ろし

続いては、お椀やお茶碗の扱い方を教えていただきます。


丹:まず右手でお椀を取り、胸の辺りまで上げます。そして左手で受けて右手を添え、ひと呼吸おいてから口に運ぶようにしましょう。いきなり口のほうまでもっていかないでくださいね。胸のところまで上げるのは運ぶ動作、そこから上はいただく動作と意識していただくと所作がきれいに見えます。お茶を召し上がるときも同じです。

後:「運ぶ」と「食べる」の動作を分けると、エレガントに見えるのですね。

丹:洋食の場合も同じです。フォークやスプーンはお皿から直接口まで運ばず、いったん胸の高さ辺りまで運んで、そこでほんの一瞬ですが間をおいてから召し上がると姿勢もきれいなままですよ。

では、後藤さんも実践です。

まずお椀を右手で持ち上げて……


左手で受け、右手を添えて、胸の辺りで間をおきます。


それからゆっくり口に運びます。お椀を折敷に戻すときも同じく、直接置かずに一度、胸の辺りで間をおいてから、右手でゆっくり置きます。後藤さんの一連の動作も、とってもエレガントです!

このお箸やお椀の扱い方は、動画でもご紹介しているので、ぜひご覧くださいね。

最後に先生から、エレガントに見える名脇役アイテムを教えていただきました。


丹:ひとつはお懐紙です。お茶の席などでも使われる和紙の束ですが、普段からバッグに入れておくと、食事中、受けるものがないときに左手にのせて受け皿の代わりにしたり、いただき終わったお魚の骨などを隠したり、とても便利ですよ。人にメモを書いて差し上げるときや、お札をお渡しするときなどもむき出しのままよりもスマートにお渡しできます。

後:お懐紙を使いこなせたら、大人の女性という感じがしますね。私もこれから持ち歩くようにしてみようかな。


丹:もうひとつは、お扇子です。これからの時季は、お持ちになる方も多いでしょう。暑いときあおぐのに使うのはもちろん、今の時期、おすすめの使い方があるんです。


丹:お話をするときは、お扇子で口元をカバーなさると見た目も美しいですし、飛沫エチケットにもなります。扇子は全開ではなく、半分くらい開くのが上品ですね。


さあ、これで今日のレッスンは終了です。後藤さん、いかがでしたか?

後:レッスンの初めから終わりまで、すべての先生の動作が美しく、その身のこなしが上品さを際立てているようで説得力がありました。ものを取ったり置いたり、ふとした動作もエレガントで、先生がおっしゃっていた「日ごろから習慣に」の意味が分かった気がします。美しい所作は、見ていてこちらまで良い気分にさせてくれますね。

丹:そうおっしゃっていただけると嬉しいわ。マナーを別の言葉で言い換えると、「人への思いやり」だと思うんです。たとえばテーブルマナーは、食事に同席する方への『一緒に楽しいひとときを過ごしましょう』という思いを形にしたもの。自分も楽しみながら、相手の方も心地よい時間を過ごせるようにと、ちょっとした動作などに気を配ったら、より豊かな時間が過ごせるはずですよね。


後:相手への心配りですね。若さや経験不足を言い訳にできない年代になったからこそ、そういう配慮ができるかどうかが、素敵な大人になれるかどうかの分かれ道ですよね。常に意識することと、日々の習慣が大事だなと思いました。

丹:そうですね。立居振る舞いって習慣だと思います。今日から新しい習慣を身につけましょうって思っても、すぐにはできないでしょ。でも少し意識するようにして、さらに意識すること自体に慣れてくると、それが新しい習慣として身につくものですよ。

後:はい、今日教えていただいたことを毎日意識して、少しずつ自分のものにしていきたいと思います。今日はありがとうございました!


ヘアスタイルを変えたことをきかっけに、丹生谷先生から大人のエレガンスを学び、素敵な女性にまた一歩近づいた後藤さん。次回の連載でお会いするときは、さらなる進化を遂げているかも? 乞うご期待ですー。

text:鈴木麻子

 

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Profile

丹生谷真美

Mami Niunoya

1986年より6年間、日本初のフィニッシングスクールの初代校長を務めた後、1992年独立。東京・田園調布にサロン教室「丹生谷真美のフィニッシングスクール」を開設。日本の歴史と伝統文化に基づいた生活美学を中心に、幅広い分野のカリキュラムを提案。現在はオンライン講座も。『暮らしを磨く美しい言葉』(主婦と生活社)など著書多数。
https://www.finishing-salon.com/

 

後藤由紀子

Yukiko Goto

静岡県・沼津で器と雑貨の店「ハル」を営む。最近は「出張hal」として日本各地で期間限定の出店も。二人の子供は社会人となり、子育てもひと段落。暮らしの工夫や気づきを綴った飾らないエッセイも好評。近著に『気持ちを伝える贈りもの』(大和書房)。
Instagram「@gotoyukikodesu
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