「冷えとり」歴23年目の、冬の過ごし方vol.3 ~今月の先生・青木美詠子さん

からだ修行
2016.11.23

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「冷えとり健康法」は食べ物も重視します。身体を冷やす食材をできるだけ避け、温める食材を増やすようにします。冷える食材と言えば、白砂糖を使った甘いお菓子や、南国のフルーツ、生野菜、化学調味料や食品添加物などなど。最初の頃は、「これが冷やす食品で、これが温めるもので……」と、いちいち頭で考えて判別していたそうですが、「冷えとりを続けてきたら、身体を冷やすものは自然と口にしたくなくなってきました」と、青木さん。

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チョコレートを食べると頭痛がするようになったり、レトルトカレーを食べると胃がずーんと重くなったり。食べていいかどうかは、「身体が教えてくれる」という状態になってきたのだとか。すごいですね!

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そんな青木さん、「夫が毎日、鍋でもいいと言うので(笑)」と、冬の晩ごはんは圧倒的に鍋料理が多いそう。昆布としいたけを常に用意しておき、土鍋を活用して、野菜たっぷりの具材を煮ます。最後はしょうゆや塩麴でほんのり味つけをして、スープごとしっかり飲み干すように。だしをしっかり取っておけば味わいの満足度が高まるので、塩分も控えめにすることができます。

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冬によく作るおやつが、「りんごのはちみつ煮」。色のきれいな紅玉2個を皮ごとむいて鍋に入れ、干しぶどうひとつかみ、はちみつ大さじ4~5、水1.5カップほどを目分量で入れ、中弱火で10分ほど煮て冷ましたもの。ほっと心がやすまるおだやかな甘さです。冷えとりを長年続けると、生クリームたっぷりのケーキなども、そんなに食べたいと思わなくなり、こういうものを日常的に食べたくなるそうです。

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「冷えとりを続けてきてよかったことは、自分の身体のことがよく分かるようになったことです。以前は風邪をひいたり、頭痛がしたり、膀胱炎で悩んだりしていても、自分がなぜ不調なのか理由が分からず、あたふたしているばかり……という感じでした」

けれども今は、「外出して身体が冷えたから、お風呂でしっかり温まったほうがいいな」「今日は少し弱っているので、晩ごはんは食べずに寝たほうがいいな」という風に、不調の手前で気付くことができることが多く、また何か不調があったときも、「こうすると治るな」という道すじが、自分自身で立てられるようになってきたそうです。

「以前は風邪をひくと、『風邪もらっちゃった』という風に、不調は『外から来るもの』だと思い込んでいたんです。けれども今は、疲れが溜まって『身体が風邪をひきたいんだな』という風に、『内側から出てくるもの』というイメージなんです」。

春先になると、青木さんも花粉症の症状が出るそうですが、「冷えとり健康法」の考えでは、春は解毒の季節。冬の間溜めこんだ毒素が、花粉に反応して外に出てくると考えているので、薬で無理に抑えることはせず、鼻水もくしゃみも自然に出すようにしているそう。

そんな考えからここ20年くらいは、化学合成された薬はもちろん、漢方薬なども含め、薬をまったく飲まなくなり、家にも薬は置いていないそう。不調には、基本的に①身体を温める②食事を抜く③寝る の3つで対処。冷えとりで身体のベースができているので、その3つを行えば、自然治癒力が発揮されやすくなるのです。

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喉があやしいなというときや、花粉の季節に、唯一活用するのは薬用アロマオイルとして知られる「イムネオール100」。こちらを少量喉に含んだり、首筋にさっと塗ったりしていると、不快な症状もやわらぐそうです。

アロマ1本だけでも、「私の身体は大丈夫」。そんな風に自分の身体への信頼感が持てたのも、長年の冷えとりのおかげです。それにしても青木さんは、話を聞けば聞くほど、研究家体質。興味のあることはとことん調べ、実践し、仮説を立て、検証する。長年のそんなくり返しを、どこか楽しんでいるようにも見受けられます。

最後に青木さんが影響を受けた本がこちら。現役最高齢フォトジャーナリストとして知られる笹本恒子さんが記した、『97歳の幸福論。』(講談社)です。

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「素直で前向きで、自分自身の考えを持ちながら、暮らしや健康法を楽しそうに実践されている。読んでいるだけで明るい気分になれて、『私もがんばろう!』と思えます。今はいろんな健康本が本当にたくさん出版されていますが、どんな専門知識が詰まったものよりも実は、こういう本のほうが『読むサプリメント』のような感じで、元気が出るみたいです(笑)」。

photo:砂原 文 text:田中のり子

 

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Profile

青木美詠子

Mieko Aoki

コピーライター、文筆家。20代後半からさまざまな身体の不調に悩まされ、冷えとりと出会い、冷えを克服。『ずぼらな青木さんの冷えとり毎日』(2003年メディアファクトリー刊、現在は中経の文庫/KADOKAWAより文庫版が発売中)など「冷えとり」シリーズを4冊上梓。土地探しから始め、自然素材の小さな家を建てるまでを追った『あおきみさんち、家を買う』(マイナビ)も好評発売中。

田中のり子

noriko tanaka

衣食住、暮らしまわりをテーマに、雑誌のライターや書籍の編集を行う。『ナチュリラ』(主婦と生活社)は創刊当初からのスタッフ。構成・執筆をした『これからの暮らし方2』(エクスナレッジ)が好評発売中。

肩の力を抜いた自然体な暮らしや着こなし、ちょっぴり気分が上がるお店や場所、ナチュラルでオーガニックな食やボディケアなど、日々、心地よく暮らすための話をお届けします。このサイトは『ナチュリラ』『大人になったら着たい服』『暮らしのおへそ』の雑誌、ムックを制作する編集部が運営しています。

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