夢中になればなんだってできる Vol.2 「goenº」主宰 森本千絵さん
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興味がないものはない。
無関心も大嫌い
「銭湯に行ったり、
街に出かけてウィンドウショッピングをするのが好きで、
そこで見たもの、聞いたことも全部、
何も考えずにいったんのみ込んじゃいます。
私、興味がないものってないし、無関心は大嫌い。
ふっと私の前にやってきて、体験することって、
すべてが必然だと思うから、
全部に意識的になってしまうんです。
『どうして気になったんだろう』とかって考えているうちに、
それはいつの間にか私の体の一部になって、
あるときポンと体から出てくる。
アイデアって、そういうものだと思うんです。
だから、アイデアの種って、どこにでも転がっている。
アイデアを出すだけなら、いくらでも出せますね。
アイデアが出ないというのは、
いいアイデアを出さなくちゃと思いすぎるから」
森本さんは、アイデアを出して出して出しまくります。
それがたとえどんなにつまらない思いつきでも、
全部外に出してしまうのだとか。
「自分をゼロにして新たなものを吸収するためでもあるけれど、
空っぽになるまで出し切るからこそ、
ずっと奥深いところにあるものをひっぱり出すことができると思うから」
出して、入れる。
森本さんの体のなかでは常にハイスピードで
新陳代謝が繰り返され、
滞りがなさそうです。
「気の流れは大事です。
掃除が好きなのも、気の流れのいい空間が好きだから。
毎週月曜日の朝は部屋じゅうの雑巾がけをします。
そうすると家も体も汚れがゼロになる。
気の流れがよくなるんです」
それにしても、そんなにいつも全力疾走していて、
息切れしてしまうことはないのでしょうか?
「人から見たら全力投球かもしれないけれど、
無駄に力を入れると疲れますよね。
だから、力は入れずに心を入れる。
ただ無我夢中になっているだけなんです。
たとえばサーフィンをするとき、
力を入れると傾いてボードから落ちてしまうのと一緒。
精神的な体幹はしっかりさせて、来た波にただ乗るだけです。
自分がどう乗るかではなく、
相手に身をゆだねれば、無駄な力を使いません」
疲れるのは、自分のことに精一杯になっているからだと
森本さんは言います。
自分のことを考えすぎて、
自分が疲れていることに気づいてしまうからだと。
「悩んでいる人というのも同じです。
『自意識過剰』というか、
自分のことだけにとらわれているから悩むし、
気持ちが落ち込むんです。
それより、他人のこと、自分のまわりのことを考えて、
そこに自分の気持ちがどう動くかに
フォーカスすることが大事。
そうやって自分以外のことに夢中になれば、
なんだってできるし、
自然に物事は転がっていくものです」
何かをしたいと思ったら、
自分の力でなんとかしようとあがくのでなく、
森本さんのようにまわりを見渡してみるのがいいのかもしれません。
あの人のあそこと、この人のここ。それに惚れれば
その人の魅力がきっと何かの力になってくれるのかも。
Vol.3に続く
text:和田紀子 photo:枦木功
『暮らしのおへそ』Vol.22より
Profile
森本千絵
武蔵野美術大学卒業後、博報堂を経て、2007年に「goenº」設立。企業広告をはじめ、ミュージシャンのアートワーク、本の装丁、映画などの美術、空間やイベントのディレクションなど、多岐に渡って活躍。東京ADCグランプリや伊丹十三賞、日本建築学会賞など多数受賞。1児の母。http://www.goen-goen.co.jp/
肩の力を抜いた自然体な暮らしや着こなし、ちょっぴり気分が上がるお店や場所、ナチュラルでオーガニックな食やボディケアなど、日々、心地よく暮らすための話をお届けします。このサイトは『ナチュリラ』『大人になったら着たい服』『暮らしのおへそ』の雑誌、ムックを制作する編集部が運営しています。