私は私。ただ今日を、生きるだけ 安奈淳さん Vol.2

大人になったら、着たい服
2020.11.10

宝塚歌劇団時代、「ベルサイユのばら」のオスカル役で一世を風靡した安奈淳さん。30代から病気がちで、50代のときに膠原病で緊急入院。幸い回復したものの、50 ~60歳の10年間は歌うこともできず、苦しい日々を送られました。やっと声が出るようになり、少しずつ仕事を再開。今年73歳。「歌は私の命です」と語ります。いつも地味で、目立つのが嫌い。それでも、好きな服ははっきりと決まっています。私は私で生きる。そんな安奈さんのおしゃれと生きる力についてお話をうかがいました。

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素敵に歳を重ねるためにできるのは、
掃除、洗濯のルーティンを決めて、
毎日体操もして日々の生活を
きちんと送ること。


今、安奈さんが歌うのはシャンソンやジャズが中心です。

「シャンソンはね、その人の人生が如実に出るんです。今、どうしたらその年齢に見合った歌を歌えるのかと考えますね。やっぱり歌に深みが出るのは、60歳ぐらいからだと思います」

そんな安奈さんのおしゃれは、長年着慣れたものに、少し「今」をプラスして。あの「コム デ ギャルソン」のタキシードジャケットは、なんと30年以上前に買ったもの。一方ベージュのコートは最近「アーツ&サイエンス」で。合わせたカーディガンは「ユニクロ」なのだとか! 革ジャンと黒のパンツに合わせたベルトは、40年以上前に「エルメス」で買ったもの。

「『エルメス』なんて知らずにふらりと入っていいな、と思ったら、受注生産だったんです。そして値段を知ってびっくり! でも、思い切って手に入れたら、さすがに素晴らしくて、こればかり使っています。もう元はとったかな」と笑います。


安奈さんに「素敵に歳を重ねるコツはなんですか?」と聞いてみました。

「日々の生活をきちんと送ることですね。私の場合は、毎日の体操や掃除、洗濯と、ルーティンが決まっているんです。私自身の標語は『立つ鳥跡を濁さず』。持ち物はなるべく少なくして、着ない服は人に差し上げます。私、物欲ないんですよ(笑)。もし外で倒れて、誰かが家に入ったときにも大丈夫なよう、出かける前には必ずきちんと片づけます。そうやって、後悔がないように、今を大事に生きたいですね」


背伸びをせず、やってきた運命をそのまま受け止める。安奈さんは、そんな淡々とした強さの持ち主でした。だからこそ、その歌声は、まっすぐに心に響くし、シルバーヘアはそのままに、自分の思いどおりに組み合わせたおしゃれはとことん格好いい! 誰かに見せるためと計算するより、自分が納得するように生きていればいい。颯爽とした安奈さんの姿がそう教えてくれた気がします。

photo:回里純子 text:一田憲子

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Profile

安奈 淳

Jun Anna

1947年大阪府箕面市に生まれる。1965年に宝塚歌劇団に入団。1975年花組の主演男役となり、「ベルサイユのばら」のオスカルを演じ、大ブームを起こす。1978年退団。その後は『王様と私』『サウンド・オブ・ミュージック』などのミュージカルに主演。2000年に膠原病に倒れるが、長い療養を経てカムバック。現在はシャンソンやジャズなど日本のポピュラー音楽界になくてはならない歌手として活躍。芸能生活55周年記念CD『安奈淳 私の好きな歌 mes chères chansons』が好評発売中。
https://annajun.com

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