『待ち合わせ』～おしゃれ暦vol.14～葉月
『ナチュリラ』本誌でも、季節ごとのリアルクローズとそのおしゃれな着こなし方を提案してくださっている人気セレクトショップ「アナベル」。店主の伊佐さんによる、季節のおしゃれエッセイ、第14回目です。いよいよ、夏も終わり。残暑は厳しそうだけれど、秋はもうすぐそこまで来ています。どんなおしゃれで今年の秋と出会いましょうか？
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photo：川本浩太 text：伊佐洋平 model：伊佐奈々
僕が学生のころ、
待ち合わせは、今より緊張感のあるものだった。
ようやくポケベルが普及し始めた頃で、
携帯電話など持っている人はまだ少なかった。
だから待ち合わせは緊張する。
「待ち合わせ場所はここでよかったのか？」
「少し遅れてしまったから、みんな先に行ってしまったのでは？」
「待ち合わせ時間は合っているのか？」
「そもそも今日だったか？」
「一応、反対の改札も見に行こう。」
「友達の家に公衆電話から電話してみよう。」
「こうしている間に来てしまったらどうしよう。」
もう家は出たといっている。
伝言掲示板にも目をやるが、何も書かれていない。
そんな緊張感のある中、待ち合わせの相手の顔が遠くからやってくる。
何とも言えない安堵に満たされる。
今のように簡単に出会えるより面白いかもしれない。
友人を待つ間、ウィンドウに映る自分の服装をチェックする。
カーキベージュをベースに茶系を盛り込んだコーディネート。
ヒールを履こうかどうか迷ったけど、
友達同士でプラっと出かけるのに、
ヒールは少し決めすぎている気がした。
その分、トップスには気を使ってみた。
あまりカジュアルになりすぎないように。
買ったばかりの上下の洋服は、
待ち合わせの緊張を余計に高ぶらせるものだ。
細身のシルエットで裾にゴムの入ったパンツは、
カジュアルなのに、キレイめの印象を醸し出す、
お気に入りの一本だ。
待ち合わせの時間、
頭の中に少し妄想が広がった。
今日の洋服を一か月後はどう着ようか？
下にタートルネックを着たらどうだろう。
タートルは、今シーズンとても気になるし、
このブラウスに合わせて、買い足そうか。
ボトムスはどうしよう？
細身のパンツは合うのだけど、
履きたい靴に合わせて、サルエルパンツを合わせようか。
タイツは、タートルに合わせて、濃色がいい。
なかなか個性的で自分らしいのではないだろうか。
緊張感のある待ち合わせもいいものだ。
携帯電話を持たないことが流行ったら面白い。
もちろん、大人の間で。
そろそろ秋との待ち合わせ。
どんなスタイリングで秋を迎えようか。
ブラウス：ゴーシュ ￥19,000 ＋ tax
細身パンツ：ゴーシュ ￥23,000 ＋ tax
サルエルパンツ：FACTORY ￥17,000 ＋ tax
タートルネック：ゴーシュ」￥11,000 ＋ tax
バッグ：ヨハンナ・グリクセン ￥13,800 ＋ tax
靴：R.U. ￥39,000 ＋ tax
タイツ：merijakuu ￥4,500 ＋ tax
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