内田彩仍さん 「夏 ~梅雨の楽しみ~」
久しぶりに着こなしと日々の暮らしをテーマにした新刊『季節の暮らしと服支度』を出版した内田彩仍さん。発売後すぐに重版が決まったこの本には、「こんなふうに季節を感じたい!」「自分を見つめるきっかけになりました」など、読者の方からたくさんの反響をいただいています。そこで、「まだ読んでなかった!」という方のために、今週はこの本を大特集。春・夏・秋・冬のお話を少しずつお見せしますね。
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「梅雨の楽しみ」
雨がいいと思うようになったのは、
大人になってからだと思います。
大雨の中、長崎へ旅に出かけたり、
梅雨の季節の由布院を散歩したり。
最近は、洋服の買い物も、
雨の日に出かけるようになりました。
人の少ない雨の日は、
私にとって出かけ日和。
雨に濡れた街路樹もしっとりとして、
緑の多いカフェに立ち寄りたくなります。
葉に落ちる雨がとてもきれいで、
窓の外をただ眺めている、
そんな時間も好きなのです。
ただ、雨の日に悩むのが、
着て行くもの。
特にバッグは革のものだと、
しみが気になって。
手入れをしても消えないことが多いから、
以前はかごを選んでいました。
でも、服によっては、
雰囲気が合わないこともあり、
最近になって合皮のバッグを
取り入れるようになりました。
手入れの方法を調べてみると、
するべきことは拭くことだけのよう。
手入れ好きの私も、
余計な気を遣わなくて済むから、
気楽に持って出かけられます。
薄手のコートをレインコート代わりにして、大きめの傘で出かけて。雨の日には、鮮やかな色の服が映えます。
家の中でのんびり過ごすのも、
雨の日ならではの楽しみ。
好きな音楽をかけて、
普段より少し丁寧に掃除をしたり、
いつもより長めにお茶を味わったり。
特別なことはしなくても、
ひとりの時間が充実する感じがします。
私がCDを買い求めることが多いのも、この季節。
「雨が好き」と言いつつも、
やはり時折、青い空が恋しくて、
なんとなく心が沈むこともあります。
そんなときは、聴くとほんのり
幸せになる音楽に、助けられるのです。
時間のあるときに、インターネットで
一曲一曲試聴しながら、
雨雲の暗さを感じさせないような、
やさしい雰囲気のものを選びます。
音楽の好みも少しずつ変わってきたようで、
最近は穏やかなジャズを流すことが
多くなりました。その心地よい響きは、
しっとりとした雨の季節にぴったりで、
何かをしながら過ごしていても、
心が凪ぐようです。
雨の日には、ステイシー・ケントさんのような女性の穏やかなボーカルや、ピアノとベースの静かなジャズを。
<雨の日に準備するもの>
三色の合皮を組み合わせたバッグは、
「トリコ・コム デ ギャルソン」のもの。
軽くて、A4サイズの書類も入るから、
仕事のときも重宝。
濡れた服やバッグを拭くため、
吸水性のよいタオルハンカチを
二、三枚用意します。
ぴったりサイズのミニバッグに入れて。
普通の防水スプレーよりも強力だからと、
すすめられて購入した「ドライバリア365」。
吹きつけたあと、よく乾かしてから使います。
伸縮性がないラバー製のレインシューズは、
かかとに中敷きを入れて履き心地よく。
外出先で脱ぎ履きする日は、
靴べらも携帯して。
photo: 大森今日子
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Profile
内田彩仍
福岡県に、夫と愛猫クリムと暮らす。丁寧な暮らしぶり、センスある着こなしや手作りが雑誌やイベントで人気を集める。著書に『季節の暮しと服支度』(主婦と生活社)、『重ねる、暮らし』(マイナビ出版)などがある。
肩の力を抜いた自然体な暮らしや着こなし、ちょっぴり気分が上がるお店や場所、ナチュラルでオーガニックな食やボディケアなど、日々、心地よく暮らすための話をお届けします。このサイトは『ナチュリラ』『大人になったら着たい服』『暮らしのおへそ』の雑誌、ムックを制作する編集部が運営しています。