大人のおしゃれアーカイブ バッグデザイナー・林ヒロ子さん vol.2
服が似合わないのは
自分のせいだと思っています
20代後半からはパリコレにも出演。ヒロ子さんは、たとえば「シャネル」のショーなら、その前日はココ・シャネルの気持ちになりきって過ごしていたそう。
「ココ・シャネルってこんな音楽を聴いていたかな? と、心から入っていく努力をするんです。すると、目線の使い方とか、手の動かし方が変わってくるんですよね」
「私はきっと、人の3倍ぐらいの洋服を着ていると思います。おしゃれのセンスは、着た経験によって磨かれます。袖を通すことによって、体が洋服に内在する何かを吸収するような気がしますね」
では、それほど多くの服を着る機会がない私たちは、どうやってセンスを磨けばいいのでしょう?
「私ね、服が似合わないっていうのは、自分のせいだと思っているんです。似合わなくても、何かを変えればきっと似合うようになる。髪型を変えるとか、靴をハイヒールにするとか、裏返しに着ちゃうとか(笑)。必要なのは、自分が洋服に歩み寄る努力ですよね」と教えてくれました。
40代半ばまでモデルとして活躍。若い人がどんどん出てくる中、歳を重ねることへの不安はなかったのでしょうか?
「もちろん、だんだん仕事は減っていきます。でも、『この人じゃなくちゃ着られないよね』という仕事があるんです。だから、続けられたのかもしれませんね。私は、歳を重ねるって、何かを“はずしていく”ことだと思っています。こだわりを手放せば、軽やかになって、雑念が減って、迷いがなくなります。『若返る』って自分を否定することでしょう? そうじゃなくて、年相応でいい。ジタバタしなくていいんだと思うんですよね」とヒロ子さん。
『大人になったら、着たい服 '15-'16秋冬』より
photo: 中川正子 text: 一田憲子
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