「考える師走」~おしゃれ暦vol.21~師走
『ナチュリラ』本誌でも、季節ごとのリアルクローズとそのおしゃれな着こなし方を提案してくださっている人気セレクトショップ「アナベル」。店主の伊佐さんによる、季節のおしゃれエッセイ、第20回目です。あっ!という間に“師も走る”12月です。なにかと慌しい月ではありますが、お出かけの予定も多く、おしゃれに気合いが入るときでもあるのではないでしょうか。着るものが多くなるこの時季は、おしゃれを“考えて”“組み立てる”。ハッとするコーディネートに仕上がったら、北風の中でも足取りは軽やかになるかもしれません!
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photo:川本浩太 text:伊佐洋平 model:伊佐奈々
我が家は、僕以外全員ピアノを弾く。
発表会ともなると、ピアノ漬けの日々だ。
子供は、楽譜を追うことにやや夢中になりがちだが、
大人になると、そうでもないようだ。
その曲を聴きこんで、自分なりに解釈して練習する。
好きなピアニストの曲を聴きまくり、時にはその個性を取り入れたりする。
音の強弱や間のとり方、弾くスピード。
いろいろ試して、一番今の自分にしっくりくるところを探っている。
とっても楽しそうだ。
洋服のコーディネートもそうすればいいのに、、
ピアノの楽曲が同じでも、弾くピアニストによって別なものに聞こえるように、
洋服も、どう組み合わせて着るかで、そのもの自体が別物に見えたりもする。
現在、アナベルでご紹介しているスタイリングはすべて、
僕のスタイリングにおける癖と言える思考が随所にちりばめられている。
イギリスのワークブランドが作る、バリバリした丈夫そうなセーター。
「逆にスカートで合わせて柔らかさを出す」
という考えもあるが、あまりの本格志向とネックの形から、そうはしないことにする。
アナベルではおなじみの、加工の入ったチノパンを選ぶ。
色は、いい具合にワーク感を削ぐホワイトに決定。
靴はヒールを履いてもらおうか、Tストラップで女性らしさを出すか、
少し悩んだ末、ここも素直にメンズライクを選択。
ソックスは、パンツの色と靴の色、そしてスタイリングイメージに合ったものを選ぶ。
ソックスで遊ぶことも考えたが、今回は無地で最も無難なチャコールを選択。
靴下は、あとで変えるかもしれない。
ここから、小物使いで女性らしさを少し足していく。
ヨハンナの鞄は少し中性的な印象で、こういったスタイリングにはもってこい。
急に女性らしく偏りすぎず、しっかりと華もある。
腕に軽くひっかけられるデザインもポイントだ。
ストールは選択肢が多く迷うところだが、この時点ではっきり方向が定まる。
「メンズライクでシックな女性らしさ」をイメージする。
だから、色数は増やさないように、この色合いに。
ストールをどう使うかも重要だ。
首元にボリュームをつけて巻くと、このスタイリングの場合、メンズっぽさが勝る。
最も女性らしい使い方を選択。
このセーターの特性であるハンドウォーマーを生かし、
親指をホールから出して手袋風に使ってみる。
女性らしさが増してきた。
ここでどんなコートを着るか?
もっとも重要なポイントだろう。
僕の思考はこんな感じ。
「ピーコートやダッフルは似合うだろうが、直球だし、メンズっぽすぎて嫌だ」
「コクーンやカシュクールコートは逆をいって意外性はあるが、女性らしすぎる」
その中間を狙って選んだコートがこれ。
メンズライクでシックな、女性用のコート。
ストールは、どんな洋服の上に使うかで巻き方を変えるといい。
コートの釦を一番上まで留めて防寒した時、、、
首元をすっぽり覆い隠す大判のウールストールは、真冬には頼もしい。
今年こそゆったりとした気分で年末を迎えたい。
焦るな、師走。
やるべきことをひとつひとつ、丁寧に考えてみよう。
セーター:Yarmo ¥23,000+tax
ボトムス:ARTEPORVERA ¥19,000+tax
ソックス:evam eva ¥2,100+tax
シューズ:R.U. ¥46,000+tax
コート:susuri ¥52,000+tax
ストール:SOIL ¥13,000+tax
バッグ:johanna Gulichsen ¥12,000+tax
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