潔さが、使いやすさ 「テンベア」のバゲットトート
名作と呼ばれる映画には、必ずといっていいほど実力派の脇役が存在するもの。それは、おしゃれも一緒です。一見何げないのに、実は丹念にこだわって作られたアイテムたちは、主役を引き立てるための十分な腕前を持ち合わせています。この連載では、そんな“おしゃれの名脇役”にスポットライトを当て、王道のものから隠れた逸品まで、幅広くリポートしていきます。
photo : 花田 梢 text : 三宅桃子
ここ数年、トートのニュースタンダードとして認知されてきたのがバッグブランドの「テンベア」。なかでも2011年からスタートした“バゲットトート ロゴ”と名づけられた縦長タイプは、人気セレクトショップで取り扱いがあったり、街ですれ違った人が持っていたりと、目にする頻度も高まってきました。
「テンベア」バゲットトート ロゴ各¥10,800
※商品の価格は2017年1月現在のもので、表示は税抜きです。
シンプルなのにそれとわかるのは、ワンハンドルの取り付け位置に特徴があるから。
「肩掛けしたとき、ハンドルが体に近い位置になるようにしてあるので、バゲットのような長いものが飛び出しても邪魔にならないし、荷物の出し入れもしやすいんです」と語るのは、プレスの中矢直人さん。カジュアルすぎないヌメ革は、使っていくうちにアメ色へと変化していくのも魅力です。
40~50年前のシャトル織機で織られた6号帆布である証拠は、切りっぱなしのように見える生地の耳。国内に数機しか残っていない織機で織られたオリジナルの生地は、密度が高くてとにかく丈夫!
バッグ本体は、生地幅88cmの生地を袋縫いしたあと、マチ部分をカシメで留めるのみという簡素さ。余り布も出ないのだそう!
パリッとした質感は、撥水機能をもたらすパラフィン加工が施されているから。
「使っていくうちにやわらかくなっていくので、エイジングも楽しめるんです」
少し厚めだから、すくっと自立します。
「これは私が5年間使い続けているものですが、洗濯を繰り返してもこの通り。アタリも出てくるので、味わいも増します。ピッと張った生地感が好きな方は、洗わずにリピート買いしてくださるお客様も多いです」
そして、ファスナーやポケットなどが一切ないという潔さがこのうえない軽さをもたらし、使う人の自由度を広げてくれます。
大阪にあるパン屋さん「シュクレクール」のバゲットを原寸大でプリントしたポーチを入れれば、遊び心も満点! 今までにないコーディネートが完成します。
「テンベア」パンポーチ各¥5,500
「“バゲットトート ロゴ”のデザインの元になっている“バゲットトート”は、デザイナーの早崎篤史が夜中に思いついてメモをとり、翌日パッとサンプルを作って誕生したもの。それを見た友人が『縦長だから、バゲットが入りそうだよね』と言ったのをきっかけにネーミングされました」と中矢さん。
持ちやすく、軽くて、合わせやすい。スタイリストの愛用率も高いこのバッグは、ひとつあればフル回転してくれること間違いなしです!
TEL 03-3405-5278
公式サイト http://torso-design.com/
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