やわらかさの中に、日本の職人技術が宿る「スピネン」のカシミヤ100%ストール
名作と呼ばれる映画には、必ずといっていいほど実力派の脇役が存在するもの。それは、おしゃれも一緒です。一見何げないのに、実は丹念にこだわって作られたアイテムたちは、主役を引き立てるための十分な腕前を持ち合わせています。この連載では、そんな“おしゃれの名脇役”にスポットライトを当て、王道のものから隠れた逸品まで、幅広くリポートしていきます。
寒い季節の主役小物のひとつといえばストール。まだコートが必要ない秋の始まりは、肩がけしたり首に巻いたりすると温度調節がしやすいというのも便利なところ。直接肌に触れるものだから、やっぱり心地いい素材を選びたい! かつ、シンプルで服に合わせやすいものがベター。そんなストールを探している人にぴったりなのがこちら。
「スピネン」スーパーファインソフトカシミヤ ハンドフレームドストール各¥29,700
※商品の価格は2023年9月現在のもので、表示は税込みです。
思わず顔をうずめたくなるほど気持ちいいこの大判カシミヤストールは、日本で数少ない紡毛紡績メーカーの小金毛織が立ち上げたファクトリーブランド「スピネン」のもの。
「自社工場のノウハウや技術を継承し、日常的に取り入れやすいものを楽しく作っていこうと、2019年ブランド設立時から展開しているアイテムです」と語るのは、営業部の石井龍希さん。極上のやわらかさの秘訣は、熟練の職人さんが手横と呼ばれている手動式横編機で編んでいるから。
「基本的に、ニットはコンピュータで形をプログラミングして作る自動機が主流なのですが、このストールは、自動機では出せない繊細なタッチが表現できる手横で編むことにこだわっています」
手にとって感じるは、肌触りのよさのみならず、その軽さ!
「あえてきっちり編まずに、縮絨という工程で洗いをかけることで糸を膨らませて厚みを出しているので、使う糸が少なく済み、驚きの軽さになるんです。自動だと、プログラミングする編み目の大きさに限界があって、編んでいる最中に不具合が起きやすく、糸が切れてしまうことが多いのですが、手横なら職人さんの手加減で編むことができます。もちろん、見た目にスカスカ感はなく、保温力も変わりません」
上質素材だと自宅で洗うことに怯んでしまいますが、「ぜひ、一定に保ったぬるま湯で手洗いしてみてください。そうすることで、よりふんわりとやわらかく育っていくので」
右が新品のもので、左が自宅ケアしたもの。本当、程よく毛羽立ってふわっふわ!
横端を見ると、リブのような始末が。
「内側にクルクル丸まらないようになっています」
そして、紡績から撚糸までの工程を一貫生産しているファクトリーブランドだからこそ実現できるコストパフォーマンスのよさ、カラーバリエの豊富さも注目すべきポイント。
これはまだ一部で、今季は全19色展開!
「わたの状態から染めることで原料へのダメージが抑えられるうえ、複数のわたを混ぜて深みのある色合いに仕上げることができるトップ染めを採用しています。カシミヤならではの上品な色の出方も魅力で、お客さまからは『微妙な色違いもあるし、色数が多過ぎて悩んじゃう』という嬉しい悲鳴も(笑)」
同じカシミヤで初お目見えしたベレー帽がこちら。
「スピネン」ベレー各¥18,700
「通常、カシミヤのベレー帽はくたっとしてしまうのですが、3年ほど開発に時間をかけ、やわらかさはそのままに、形がくずれにくい自立型を完成させました」
このストールとベレー帽は、2023年10月25日(水)〜10月30日(月)に開催予定のイベント「大人になったら、着たい服×阪急うめだ本店」でも購入可能。実際に触れて、ていねいな手仕事や誇り高き日本の物作りの力を感じてみて。
photo:花⽥ 梢 text:三宅桃子
TEL:04-7172-1371
公式サイト:https://anspinnen.myshopify.com
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