世界一の3,800円シャツ!? 「コーエン」のWガーゼシャツ
名作と呼ばれる映画には、必ずといっていいほど実力派の脇役が存在するもの。それは、おしゃれも一緒です。一見何げないのに、実は丹念にこだわって作られたアイテムたちは、主役を引き立てるための十分な腕前を持ち合わせています。この連載では、そんな“おしゃれの名脇役”にスポットライトを当て、王道のものから隠れた逸品まで、幅広くリポートしていきます。
photo : 花田 梢 text : 三宅桃子
2008年にスタートした「コーエン」は、ユナイテッドアローズグループから展開されているデイリーブランド。ショップには、アメカジを基本にしたリーズナブルなアイテムがひしめいています。
今回ご紹介するのは、リピーターが多いという 4シーズン目を迎えた定番のシャツ。
「コーエン」Wガーゼシャツ各¥3,800
※商品の価格は2017年3月現在のもので、表示は税抜きです。
「ショップで大々的にディスプレイしていなくても、気づけば売り切れ寸前になっていて、いつもあわてて再発注をかけているんです」と語るのは、プレスの佐々木 郁さん。ディレクターの天河映里さんも、「このシャツを作ることが決まった当時、私たち企画チームが、とあるシャツ作りの達人を巻き込みながら『世界一の3,800円シャツを作ろう!』と意気込んでいたのを思い出しました」と笑います。
最初に発表されたのは、カジュアルなチェック柄でした。
「コーエン」Wガーゼシャツ(チェック) 各¥3,600
「『コーエン』の柄はすべてオリジナルなので、このチェックも、色や柄の大きさでいかに女性らしく魅せられるかを試行錯誤しました。ファーストサンプルはもっと大柄でしたが、そこから5%刻みで縮小したサンプルを数パターン作り、やっとベストな状態にたどり着いたんです」
その熱意がヒット街道へとつながり、お客様から「無地も欲しい!」という要望が上がるまでになったのだそう。
素材は、ふんわりやわらかな天然のコットン100%。
「ブランドコンセプトの“イージーシック”に近づけるべく、ラクチンだけどきれいめ、というラインを探った結果、Wガーゼ仕様に決まりました」
ノーアイロンでも大丈夫というのも魅力的!
襟元は、ボタンをひとつ開けて着るときに品よく見えるよう、鎖骨がちらっと見えるくらいに設定。少し広めの襟ぐりにしているので、襟を抜いて着たときもきれいに見えます。
こなれて見えるシャツの着こなしのひとつが、袖のロールアップ。
「カフスの幅を少し狭めて、まくっても、もたつかないようにしました」
「気になるヒップは隠れ、前だけボトムにインしたときはすっきり見える丈感にもこだわっています」
裏側を見てみると……
裏とは思えない美しい始末が!
「通常は、布の端がほつれないようにロックミシンで処理するのですが、このシャツは肌あたりがよくなるように巻き縫いを施しています」
胸元に配されたオリジナルキャラクター“コーエンベア”も、よーく見てみると……
パーツによって、刺しゅうの種類や厚みが違います!
「シャツを研究していくなかで、どちらのブランドさんも、シンボルの刺しゅうに相当力を入れていることがわかって。『コーエン』のシャツも、クマの立体感が強調できるように工夫を凝らしました」
「定番も進化し続けなければならないと考えているので、極端に変えるのではなく、その時代の流行やお客さまの気分を取り入れながら、『毎年あったらいいな』と思っていただけるシャツになっていければいいですね」と語った天河さん。
着たくなるこだわりが随所に散りばめられているシャツは、もしかしたら本当に「世界一の3,800円シャツ」なのかもしれません。
TEL 03-6419-4600
公式サイト http://www.coen.co.jp/
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