「春のひと幕」~おしゃれ暦vol.28~弥生
『ナチュリラ』本誌でも、季節ごとのリアルクローズとそのおしゃれな着こなし方を提案してくださっている人気セレクトショップ「アナベル」。店主の伊佐さんによる、季節のおしゃれエッセイ、第28回目です。三寒四温を繰り返しながらも、春本番はもうすぐそこに。
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photo:川本浩太 text:伊佐洋平 model:伊佐奈々
「今日は寒い?」
「何着たらちょうどいい?」
なんと娘が妻に聞いている。
まだ起きていない僕は、半分夢の中で耳をそばだてる。
「知らない!外に出たらわかるんじゃない?」
自分はさんざん人に聞くくせに。。
春分の日を過ぎて、お彼岸も終えると、
寒気はわずかに残るものの、冬のお洋服からは遠ざかる季節だ。
やはり多少寒くても春物を駆使してオシャレを楽しみたい。
春カシミアと並行して活躍し始めるのが、
大判のコットンやリネンのストール。
リネンとはいえ、大判であれば防寒にもなる。
真夏は日よけや冷房除けにも活躍する便利なアイテムだ。
帰りの遅い人はまだカシミアが便利な季節だが、
日中だけなら大判のリネンは大活躍。
冬物の巻き物をしている人も多いこの季節、
春の大判ストールを扱う姿は、少し誇らしげにも見える。
街中で見かけるとつい目が留まってしまう。
カバンに入れたストールも、
春物だとつい見せたくなる。
一重の春のコートは、梅雨時期も活躍して便利な反面、
春先は重ね着をしないと寒いので、なかなか手を出せない人もいる。
一重のコートをどう着るか?
難しくもあり、インナーの選択肢が多くて楽しみでもある。
ワイドパンツに合わせて着ていたのは、
ゆったりとしたシャツ生地のカーディガン。
なかなか手の出せない一重のコートで失敗もしたくない。
だから、下に着られる余裕があって、なおかつシンプルなもの、
初めて買うならそんなコートがお勧めだ。
個性は内側で作るとしよう。
「ワイドにはショート丈、コンパクト」という
セオリーから少しわざとはずれてみる。
自分なりのバランスを探るのもファッションの楽しみの一つ。
妻は自分のことが解決したら、
娘にも少し丁寧に教える気になるのだろうか。
いや、それもつまらないか。
人にはそれぞれの役割があっていい。
布団の中でそんなことを思う春のひと幕。
コート:BASISBROAK ¥27,000+tax
シャツカーディガン:Honnete ¥27,000+tax
ボトムス:ゴーシュ ¥30,000+tax
インナー長袖Tee:FABRIQUE ¥5,900+tax
ストール:soil ¥12,000+tax
バッグ:Johanna Gullichsen ¥22,000
靴:私物
ネックレス:Lin Francais d'antan ¥13,000+tax(5月入荷予定)
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