飾らず心地よく。楚々衣が描く、凛とした日常服
〜「tömpa(東巴 / とんぱ)」より vol.13〜
今日のひとしなでは、私が長年ベトナムで作り続けている洋服ブランド「楚々衣(sosoi)」のことを少しご紹介しようと思います。
洋服をベトナムで作り始めたのは、もう23年前になります。最初の頃は、なかなか思うように縫製してくれる工場が見つからず、タイやネパールまで足を運びながら試行錯誤を重ねていました。
そんな中でようやく出会えたのが、今でも一緒にものづくりを続けている家族経営の小さな縫製工場です。初めて訪れたときから、仕事に向き合う姿勢や、家族のようにあたたかく迎えてくれる人柄に惹かれました。
今では仕事の枠を越えて、お互い家族ぐるみで付き合える関係に。食卓を囲みながら次の服の話をしたり、子どもたちの成長を喜び合ったり。そんな温かなやりとりの中から、楚々衣の服は生まれています。

楚々衣の服づくりで大切にしているのは、飾らず、無理をせず、自分らしくいられること。暮らしの中で肩の力を抜いて着られるのに、どこか凛とした佇まいがある。
そんな服を目指しています。デザインはシンプルでも、素材には時間をかけて選んでいます。風合いのあるリネンやコットンを中心に、着るほどに体になじみ、季節ごとに表情を変える生地を。流行に左右されることなく、長く着続けられる一着であってほしいという思いを込めています。

「楚々(そそ)」とは、飾らず清らかで、静かな強さを秘めた美しさを意味する言葉です。凛としていながらも、どこかやわらかい。その響きに惹かれて、この名前をつけました。

アパレルの仕事に携わって20年が経った頃、自分が本当に着たい服、日々の中で無理なく心地よく過ごせる服を作りたいという思いから始まりました。旅や暮らしの中で出会った山岳民族の衣装や、ヨーロッパの農夫や職人たちの作業着を思い浮かべたり、仕事と暮らし、内と外の境界がない日常着。動きやすさの中に、女性らしい凛とした姿が映るような服を目指しています。
ベトナムの家族たちと積み重ねてきた年月の中で感じたのは、「服づくりは人づくりでもある」ということ。どんなに小さな縫い目にも、人の手と心が宿ります。だからこそ、ひと針ひと針が丁寧であたたかい。そんな空気をまとう服を作りたいと思っています。
子どもが小さい頃はいつも一緒にベトナムへ渡っていました。打ち合わせの最中、現地の家族たちが自然に子どもを抱っこしてくれたり、おやつを分けてくれたり。母ひとり子ひとりの旅でも、彼らのあたたかさに守られて、安心して仕事を続けられた気がします。
息子は小さい頃から、母の働く姿をずいぶん見てきたと思います。工場の片隅で生地の山の中を探検したり、ミシンの音を聞きながら過ごしたり。きっと退屈な時間も多かったと思いますが、それでもいつも隣にいてくれました。

そうして積み重ねてきた日々の中で生まれたのが「楚々衣(sosoi)」の服です。暮らしに寄り添いながらも、凛とした美しさをそっと纏えるように。人の手のぬくもりが伝わる一着を、これからも丁寧に作り続けていきたいと思います。

オンラインショップはこちら
静岡県湖西市新居町新居2731
TEL:053-594-8633
営業時間:11:00〜17:00
定休日:日・月
(※展示会期間中は日・月も営業 / 最新情報はSNSを確認)
Instagram:@tompa_japan
(※営業日や展示会・料理教室などWSについては随時Instagramでお知らせ)
Online Store:
https://www.83com.com/
https://tompa-antiques.stores.jp/
https://www.rakuten.co.jp/tompa/
肩の力を抜いた自然体な暮らしや着こなし、ちょっぴり気分が上がるお店や場所、ナチュラルでオーガニックな食やボディケアなど、日々、心地よく暮らすための話をお届けします。このサイトは『ナチュリラ』『大人になったら着たい服』『暮らしのおへそ』の雑誌、ムックを制作する編集部が運営しています。






























