旅するシャツ屋さん「AIR ROOM PRODUCTS」のシャツ
~「組む東京」 vol.1~
はじめまして、東京・東神田にあるショップ・ギャラリー「組む東京」の小沼訓子です。今日から1か月間、「今日のひとしな」をご紹介していきますので、よろしくお願いします。いまちょうど企画展中なので、お店の常設の様子は、来週の記事で紹介していただく予定です。
「組む」では毎年、「AIR ROOM PRODUCTS(エアルームプロダクツ)」さんのシャツ展で、一年の幕を開けます。そして同時にそれは、AIR ROOMさんにとっても一年の“シャツの旅”の始まりでもあります。AIR ROOMさんは、日本全国津々浦々でシャツの展示をなさるのですが、ブランドを主宰するカモさんがそれを“シャツの旅”と呼んでいるのです。
さて、前置きが長くなりましたが、今日、ご紹介したいのは、そんなAIR ROOMさんが作るシャツの中でも、スタンドカラーで、丈が短め。裾にむかって少しだけ広がり、8分袖で手首が見えるシャツです。
このシャツは、シャトル織機で織られた布で作られています。シャトルを走らせて織るには時間も手間もかかり、生産性が高くないことから、今ではごく限られた場所にしか残っていない技術ではありますが、この織機でなくては出せない布の魅力があるのだそうです。
布地は厚みがあって、しっかりとしています。そして、空気を含んだようなあたたかな風合いがあり、洗ったあとにはフワッとした感触。よくある表面がスベスベする布地のシャツとは、真逆のイメージかもしれません。
ボタンは、AIRROOMさん曰く「毎日、絶対触る部分だから」と、高瀬貝のボタンを使用。触れると、一つ一つ厚みや手触りがかすかに違って、プラスチックボタンにはない、自然素材の魅力を感じます。
写真の通り、後ろに向かって少し裾が長くなっていて、横向きのシルエットが綺麗。袖は一枚を輪にしたものではなく、“ジャケット袖”で、二枚の布を縫い合わせてできています。
こちらは今回の企画展のDM。この中の一人のように、前をあけて、ジャケットのようにはおる着こなしも素敵です。
また、下にセーターを重ね着したり、パンツとあわせてマニッシュな感じの着こなしも楽しめます。色は白の他に、紺もあります。
AIRROOMさんの唱える「普通の毎日のためのシャツ」という言葉に、どんなに深い思いが込められているか。その思いは、一つ一つのシャツを通して感じることができます。そして、作り手のカモさんご夫妻と一緒に過ごす時間の中で、私もその思いを味わい、なんでもない日常にある幸せを共有できる嬉しさに、いつも包まれています。
「春の白、冬の白、シャツとことば」展は、今週末の2月3日まで開催しています。「AIRROOM PRODUCTS」のシャツを、レディース、メンズとも数多くお手にとってご覧いただけます。
また、カモさんが“シャツの旅”先で一年間撮りためてきた写真を、朗読家・岡安圭子さんの言葉とともに映像作品として展示しています。心和むシャツと日常の風景を、是非皆さんにもご覧いただきたいと思っています。
さて、これはなんでしょう? ご紹介したシャツのボタンの貝ではありませんが、貝のボタンはこうして貝をくり抜いて作るのだそうです。AIRROOMさんの私物ですが、企画展中は「組む」に展示をしています。
「AIR ROOM PRODUCTS」ジャケットシャツ
品番AR11033 コットン100%
オフホワイト¥21,000+tax、ネイビー¥22,000+tax
サイズ1、3
国内外のものづくり、手工業の交流拠点となる場として、ショップ、ギャラリー、コミュニティ・スペースの機能をもつお店。「今日のひとしな」の執筆は、代表・キュレーターの小沼訓子さん。
東京都千代田区東神田 1-13-16
tel:03-5825-4233
営業時間:12:30~19:00
不定休(サイトをご確認ください)
http://www.kumu-tokyo.jp/
インスタグラム @kumutokyo
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