「春と彼方」~おしゃれ暦vol.49如月
『ナチュリラ』本誌でも、季節ごとのリアルクローズとそのおしゃれな着こなし方を提案してくださっている人気セレクトショップ「アナベル」。店主の伊佐さんによる、季節のおしゃれエッセイ・第49回目です。相変わらずの寒波で北陸はひどい大雪ですね。どうかこれ以上、大変なことになりませんように。東京は2月らしい寒さで空気がきーんと冷えていますが、ショーウィンドーには軽やかな花柄ブラウスなどもチラホラ。春をまといたい気持ちとリアルな防寒の狭間で葛藤する時期でもありますね。
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photo:川本浩太 text:伊佐洋平 model:伊佐奈々
今の季節はややこしい。
それは洋服屋ならではのものなのか、
他の職業の方もそうなのかはわからないが、
今の季節、洋服屋の頭の中はややこしい。
節分が過ぎ、お客様の大半が春のお洋服に期待を寄せつつも、
寒いせいもあり、そしてまだ春の商品が揃いきらないこともあり、
ほとんどの洋服屋は、春を見せながら冬も売る季節なのである。
そして、実際に冬のセーターやコートや手袋が、日々売れてゆく。
そんな中、様々なブランドの展示会を回る。
盛夏という、夏物の展示会を行っているブランドもある一方で、
ほとんどのブランドで、次回の秋冬の展示会が始まっている。
つまり、春の演出をしながらも、冬の商品も販売し、
夏の商品のバイイングをしながらも、
次の秋冬のバイイングもする。
今は、とても頭の中がややこしい季節なのです。
だからなのか、洋服のスタイリングもややこしいのです。
よく分からないながらも、
まずは、色遣いに注意を払ってみる。
まだ寒いので、下に着たセーターは冬のもの。
アンダーウェアーも見えないが、温かい冬のもの。
でもセーターの色は、白色度の高い白を選んでみた。
巻き物はボリューミーながら、
実はコットンの春らしいものを取り入れてみる。
インナーの白と比べるとキナリがかったストールが、
季節の調和をうまくとってくれているように感じられる。
足元にも春を取り入れる。
起毛したウールのソックスをやめて、
厚手ながらコットンのものを履いてみる。
足元に取り入れた赤は、トップスの白と相まって、
真冬から春を覗く、美しい花のようだ。
スプリングコートにはまだ早すぎる今、
冬のコートでもコットンを選んでみる。
ライナーが付いていれば、十分に温かい。
朝晩は冷え込む日も多い一方で、
確実に日中の気温は上がってきた。
風がなければ、日向には少し春を感じる瞬間が訪れる。
ちょっとコートの前を開けてみる。
ふとした瞬間に見えかくれする、
白いタッターソールのコートの裏地が、
新調した春めかしいカバンととても仲良く調和する。
冬のものに頼らざるをえない寒さを前に、
もう春なのだと感じさせるお店の風景を見ると、
冬と同時に春と彼方まで見せられている気持にもなる。
だって、半袖まで並んでいるのだから。
とりあえず、色から意識してみよう。
明るく。
春らしく。
春と彼方を感じられるように。
コート:annabelle ETTOコート ¥59,000+tax
セーター:ITOI collection by YURI PARK ¥31,000+tax
ボトムス:ゴーシュ カツラギワイドパンツ ¥24,000+tax
シューズ:R.U. Thea(テア)¥39,000+tax
ストール:ao ¥7,400+tax
バッグ:ヨハンナ・グリクセン ¥22,000+tax
指輪:yasuhide ono
ピアス:yasuhide ono
ソックス:私物
東急田園都市線たまプラーザ駅から徒歩5分
℡045-482-4026
営業時間:11:00~20:00 水曜定休
肩の力を抜いた自然体な暮らしや着こなし、ちょっぴり気分が上がるお店や場所、ナチュラルでオーガニックな食やボディケアなど、日々、心地よく暮らすための話をお届けします。このサイトは『ナチュリラ』『大人になったら着たい服』『暮らしのおへそ』の雑誌、ムックを制作する編集部が運営しています。