「春を迎えに」～おしゃれ暦vol.52弥生

『ナチュリラ』本誌でも、季節ごとのリアルクローズとそのおしゃれな着こなし方を提案してくださっている人気セレクトショップ「アナベル」。店主の伊佐さんによる、季節のおしゃれエッセイ・第52回目です。桜前線が日本列島をじわじわと北上中！　東京でもこの週末はお花見日和となるでしょうか？　花と競うわけではないけれど、この時季フラワープリントのお洋服にはやっぱり心惹かれます。

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photo：川本浩太　text：伊佐洋平　model：伊佐奈々

遠くを見つめる彼女は、

誰かを待っているようだ。

しばらくすると、待ちきれない様子で支度を始めている。

「ちょっと行ってくる。」

羽織った黒いコートと新調した花柄のスカートが

合うかどうかが気になって、玄関の鏡の前で少し立ち止まった。

「よし！」と心の中で呟いて、もう一度声をかける。

「ちょっと行ってくるね。」

こちらは、「まだいたのか」と思っていたところだ。

「また来年。。」

少し名残惜しむ心持ちで、別れの準備をしていると、

「寒い、寒い、寒い！」といいながら、また彼女が戻ってきた。

どうも、そそっかしい橋渡しだ。

コートを羽織って勇んで飛び出したはいいが、どうやら、まだ少し寒かったようだ。

慌ててコートの前を閉じている。

リネンのストールを巻いて、

カバンの中身を確認して、

いよいよ本当に出発だ。

「よし。」という表情でもう一度つぶやいた。

「ちょっと行ってくる。」

「春を迎えに。」

コート：GASA＊　￥62,000+tax

スカート：GASA＊　￥42,000+tax

カットソー：evam eva　￥10,500+tax

カシュクールブラウス：evam eva　￥19,000+tax

ストール：maison de soil　￥14,000+tax

カバン：sono　￥16,000+tax

ピアス：vali　（私物）

くつ：R.U.　￥38,000+tax

ソックス：evam eva　（私物）