自分を教えてくれる服 vol.1 ~ルノンキュル 木村牧子さん
今回は私の本業である“パーソナルスタイリング”という仕事についてお話したいと思います。“パーソナルスタイリング”とは、顔や体を細かく分析し、その人を最も素敵に見せるヘアメイクやファッションを探り、提案すること。
自分を素敵に見せるメイクやファッションを知れば、垢抜ける、個性が引き立つ、スタイルアップし、肌が美しく見えるなど、たくさんの良いことがあります。是非多くの人に実感していただきたいと思っています。
でも、私にとって“パーソナルスタイリング”は、お客様に「素敵になっていただく」という感覚ではないのです。私が個性を分析し提案する、その作業工程の中で、お客様自身が「自分はすでに十分素敵だ」ということに気づいていただく、という表現がぴったりきます。
つまり自分はこうなんだと思い込んでいる「視点を変える」ことがスタイリングの真の目的と言っていいでしょう。実は多くの人は、自分の持っている宝物(=魅力)、それがどんな種類のものかを知らずに人生の大半を過ごすものです。
多くの方が、もっとおしゃれになりたい!とばかりに、自分にいろんなものを取り込もうとします。足し算にはすごく熱心ですが、どんどん足していくうちに、自分の本来の持ち味はぼやけていきます。しかも、劣等感、羨望、恐怖心、虚栄心、羞恥心、思い込み……そんな余計なものまでがくっついてしまうのです。
そう、本当に必要なのは引き算なんですね。パーソナルスタイリングは「着せること」で実は引き算をしているのです。間違って足されたものや余計なものたちを取っ払ってその人の本来の個性を裸にする、カウンセリングみたいなものです。
今まで被ってきたいろんな飾りや鎧。全部取っ払われるのは、勇気がいりますか?大丈夫。飾りも鎧も必要ないのです。あなたはそのままでもたくさん宝物を持っています。必要なのはあなたの個性にぴったりと寄り添うミニマムな一枚だけなのです。
vol.2に続きます。
Profile
木村牧子
「ルノンキュル」主催。関西学院大学卒業後、全日本空輸㈱で国際線CAとして勤務。退職後に転身し、子供の頃から夢だったデザインの道に進む。10数年間グラフィックデザイナー、テキスタイルデザイナーとして色や素材に関わる中で、「装い」や「色」が人の生きるパワーや自信と深く関わることに強く興味を引かれる。色彩学、心理学を学ぶうちに、「見た目」を通して人の内面、生き方を前向きに元気にさせる仕事をしたいと思うようになり、パーソナルスタイリング、イメージコンサルティング、パーソナルプロデュースの仕事を開始。現在は平日はデザイナー、週末はイメージコンサルタントとして活躍中。
肩の力を抜いた自然体な暮らしや着こなし、ちょっぴり気分が上がるお店や場所、ナチュラルでオーガニックな食やボディケアなど、日々、心地よく暮らすための話をお届けします。このサイトは『ナチュリラ』『大人になったら着たい服』『暮らしのおへそ』の雑誌、ムックを制作する編集部が運営しています。