内田彩仍さんの着こなしの話「私らしいスタイル」
先月発売された新刊『いとおしむ暮らし』が大好評の内田彩仍さん。すでに読んでいただいたみなさんから続々とお便りが届いており「歳を重ねたからこその悩みや考え方に共感!」「内田さんのように捉えれば、気持ちも明るく過ごせそう」「なんだか元気が出ました!」……そんなアツイ思いを丁寧に書いてくださる方々がとても多いことに、編集部も驚いています(みなさま、ありがとうございますー)。そこで今週は、この『いとおしむ暮らし』の中から反響があった5つのお話を、5日間に渡ってご紹介しますね。初回は「ナチュリラ」秋号でも評判だった、最近の着こなしについて。さて、内田さんはここ数年、どんな服を選ぶようになったのでしょう?
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普段の着こなしで、自分のスタイルを持っている人に憧れます。ここ何年か、服選びに迷いながら、そんな時期も楽しもうと思うようになりました。それで、「この先、こんな人になりたい」と思う大人の女性の着こなしを、仕事の合間にインターネットを使って、画像検索。探してみると、七十代でも八十代でも素敵な方がたくさんいらっしゃって、その雰囲気を真似してみたくなりました。服はもちろん、ヘアスタイルやアクセサリーまでもが格好いいのです。
そんな方の共通点は、自分が一番似合うスタイルを知っていること。さりげない着こなしなのに、どこか心に残るのです。きっと皆さん、自分の個性を知っていらっしゃるのでしょうね。そんな先輩方を、心ときめかせて眺めながら、私もいつかそうなれたらと、参考にさせてもらっています。私は今、五十代。これから先の自分のスタイルを見つけるには、ちょうどいい時期なのかもしれませんね(笑)。
今の私の理想のスタイルは、さりげないけれど、どこか印象に残る服選び。それに近づくには、まず自分を知ることが大切です。似合うものと似合わないものを選択しながら、その中から着ていて心地いいものだけを手に取る。その積み重ねの先に、自分らしい着こなしが見えてくればと思います。
ここ数年でわかってきた、自分の定番もあります。例えばワンピースは、足首が見え隠れするくらいの長さ。この丈だと、縦のラインが強調されるからか、私の身長でも少しだけすらりと見えて、小顔効果もあるようで。最近緩んできたあごのラインも、あまり気にならなくなりました。ニットは、クルーネックでもVネックでも、シルエットが細過ぎず緩過ぎず、ほどよくゆとりのあるものを。そういったニットのおかげで、お腹まわりや、丸くなってきた背中のラインも隠せました。
それからもうひとつ、ふとした時に、顔まわりが寂しく見えるようになってきたから、いつもイヤリングはつけていようと決めています。これだけでも、装いのポイントに。着ていて心地いい服からは、元気や勇気をもらえるから、私なりに似合うものを選び、しゃんとしていようと思います。
私が“自分らしいスタイル”を見つけようと思い始めたきっかけは、衣食住で重きを置く比率が変わってきたからです。着こなしを考えるのも好きだけれど、今は、学びたいことに取り組んだり、さわやかな木々の中を散歩したり。何気ない日常をいとおしみながら、心地よく暮らすことを大事にしたい。服もあれこれ探すのではなく、ちょっとしたおしゃれ心は忘れずに、日々の定番があればそれで十分、そう思うのです。
Profile
内田彩仍
福岡県に夫と愛猫クリムと暮らす。丁寧な暮らしぶり、センスある着こなしが雑誌などで人気を集める。著書に『季節の暮らしと服支度』『いとおしむ暮らし』(ともに主婦と生活社)などがある。
肩の力を抜いた自然体な暮らしや着こなし、ちょっぴり気分が上がるお店や場所、ナチュラルでオーガニックな食やボディケアなど、日々、心地よく暮らすための話をお届けします。このサイトは『ナチュリラ』『大人になったら着たい服』『暮らしのおへそ』の雑誌、ムックを制作する編集部が運営しています。