「話が大きくそれますよ」…おすすめ帖vol.13
『ナチュリラ』本誌でも、季節ごとのリアルクローズとそのおしゃれな着こなし方を提案してくださっている人気セレクトショップ「アナベル」。店主の伊佐さんによる「季節のおすすめ帖」連載コラムです。季節ごとのおすすめの品を月に2回、ご紹介しています。
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photo:川本浩太 text:伊佐洋平 model:伊佐奈々
この3年くらい、長く定着して気に入っているものに、「ワントーンコーデ」が挙げられます。とりわけ、淡い色のワントーンは、大のお気に入りです。気に入っている理由にはまるで興味はなく、そもそもわかるはずもないのですが、お洋服を職業にしている以上、大事にしているのは、
「自分は今何に興味を持っているか?」
これについては、敏感になるように心がけ、最近は忘れるので、感じたら書き留めるようにしています。そして、書いた場所を忘れるのですが…。
もうすぐ来年の春夏の展示会が本格的に始まります。1年前を振り返ると、シャツがどうにも気になっていたみたい。昨年の8月あたりのメモ書きに、しきりにシャツのことが書いてある。特に、開襟シャツとノーカラー、バンドカラーシャツは今も気になるところ。
今日ご紹介するこちらのシャツは、ちょうど1年ほど前に展示会で見て、「久しぶりにシャツ、いいな。」って思ったきっかけにもなったシャツ。
「James Mortimer(ジェイムス・モルティマ)」というシャツのファクトリーブランドです。
ファクトリーブランドとは、モノを実際に作っているシャツ工場のオリジナルのブランドのことを指しますが、こちらのシャツ工場は、有名なアイルランドの老舗工場で、親子3代で120年以上続く老舗のファクトリーです。その技術の高さから、名だたるブランドの生産を引き受ける、世界でも屈指のシャツ工場と言っても過言ではないでしょう。
男性物のシャツを多く展開する同ブランドで、こちらの開襟シャツは、女性のモデルとして誕生したデザインです。スッキリとした身頃にフラットな着丈は、今のルーズなボトムスに好相性。
久しぶりに手に取った、のりの付いたシャキッとしたシャツはなんだか新鮮で、ルーズなワイドパンツと合わせて大人っぽく着てほしい。
合わせて被った「sashiki(サシキ)」 の帽子が、シンプルな装いにアナベルらしい個性をのせてくれる。
男性的な要素の多い開襟シャツを女性が素敵に着る方法は、きっとそれぞれにたくさんあるのでしょうが、アナベルでは異素材感のあるボリューミーなボトムをお勧めしています。靴はちょっと女性らしさを感じる編み上げを。
小紋柄もなんだか新鮮に映りました。昔ならジーンズにスニーカーでも着られたのかもしれませんが、今はこんな感じで着てみます。
同じくワイドパンツにちょっとヒールをもってくる。アナベルにはご年配でおしゃれなお客様もたくさんいます。その中のおひとりがこんなことをおっしゃっていました。「おしゃれはね、着たいものにこちらが寄せることも必要なの」。すごくすごく、共感できる一言です。
着たいと思った洋服が似合うように見えるまで、自分のクローゼットをひっくり返して似合うスタイリングを探す。それって、実はおしゃれへの最短距離を走ることなんだと思っています。カンがいい人は、そんなことを2~3週間続けたら、「あれ?あの人あんなにおっしゃれだったっけ?」ってなっちゃいます。経験豊富な販売の方は、そういった場面を何度も目撃していることでしょう。きっと、裏ではそういう短期講習のような努力をされていたのでしょうね。
話は大きくそれましたが、わたくしは今、シャツが気になって仕方がない。皆さんも、気になるものやお気に入りを感じたら、書いてみると面白いですよ。ただし、お気に入りを探してはダメですけどね。感じないと。
シャツ:James Mortimer(ジェイムス・モルティマ) ¥22,000+tax
神奈川県横浜市青葉区美しが丘2-20-1美しが丘アレービル104
東急田園都市線たまプラーザ駅から徒歩5分
℡:045-482-4026
営業時間:11:00~20:00 水曜定休
http://www.f6products.com/
https://www.instagram.com/annabelle_104/
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