「マヌテリア」…おすすめ帖vol.16

おしゃれさんコーディネート
2019.08.24


『ナチュリラ』本誌でも、季節ごとのリアルクローズとそのおしゃれな着こなし方を提案してくださっている人気セレクトショップ「アナベル」。店主の伊佐さんによる「季節のおすすめ帖」連載コラムです。季節ごとのおすすめの品を月に2回、ご紹介しています。

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photo:川本浩太 text:伊佐洋平 model:伊佐奈々

 

もう25年も続けているのに、いつお会いしてもデザイナーご本人が一番心躍っているように映る。とても大切なことだと思います。常にファンを飽きさせない、力強いファッションを届けてくれる。

 

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GASA*(ガサ)」のデザイナー五十嵐さんのモノづくりには、あきらかに一般的な「アパレル」とは異なる重厚感や迫力を感じます。

 

 

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今回ご紹介するこちらのワンピースの生地も、もちろん五十嵐さんが企画したテキスタイルを使用しています。ヴィンテージ感のあるリネン素材は、シワ感からくる表情も素晴らしいのですが、もっとも驚くべきは、そこではない。

 

 

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イメージに即した形状で、生地を織り上げる段階でタックを寄せている。白くチラチラと見える糸は、強度の高い糸を用いて、タックの形成を保つために入れてある。

 

 

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もちろん、タックのピッチは作りたいものに合わせて、計算されている。

 

 

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袖口にもタックはあるのだが、こちらは縫製の段階で入れた一般的なタックで、生地を織り上げる際に入れたタックとは、やはり風貌が異なる。キャリアのあるデザイナーの想像力は計り知れない。

 

 

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しかも染色は天然染めで、ログウッドで染めています。古いものに思いを馳せ、そのイメージに忠実に作ろうと思った結果、たどり着いた染色方法が天然染めだったのでしょう。「GASA*(ガサ)」のコレクションでは定番的に用いられる、贅沢な染色方法です。

 

 

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タックが特徴的でクラシックな佇まいのワンピースに、今シーズンのテーマを象徴するコサージュを飾り付ける。

 

 

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迫力のあるワンピーススタイル。

 

 

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この迫力はいったいどこから来るものなのか…。「GASA*(ガサ)」は今年25年目を迎えているが、デザイナーの五十嵐さんは、スタイリスト出身である。それも衣装系のスタイリスト。1990年代前半、まだ景気も良かった時代、芸能人のステージ衣装やCMで使用される衣装を主に手掛けるスタイリストとして活躍されていた。時代もあり、当時はイメージするものをゼロから好きなように作ることが許されていたそうだ。つまり、その時だけしか使用しない一点ものの衣装のために生地を作り、五十嵐さんがイメージする通りに自身で縫い上げ、スタイリングまで行う。

 

 

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それを聞くと、今の「GASA*(ガサ)」がより一層理解できる。きっとその頃のまっすぐな表現を今も続けているということなのでしょう。こちらのコサージュは、3種のバラバラなコサージュがセットで販売されている。付け方も使い方も自由なのです。「GASA*(ガサ)」のコレクションにはそういった楽しみもふんだんに詰まっている。

 

 

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コサージュをばらして、柄のように見せてみる。

 

 

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GASA*(ガサ)」の迫力の裏には、もう少し秘密がある。スタイリストから一転、ブランドをスタートさせるべく動き出した五十嵐さんは、「GASA*(ガサ)」を始める前、その前身となる「マヌテリア」という名前で洋服を作っていた。こちらは、完全なる1点もので、まさにスタイリスト時代に行っていたことをさらに自由に、より自分らしくやっていたということになる。五十嵐さん自身が、思うがまま縫い上げた一点もののお洋服をそのまま販売していたそうだ。

 

 

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その後、「GASA*(ガサ)」をスタートさせた五十嵐さんだが、実は「マヌテリア」は現在も

ずっと密かに続いている。リユースというテーマで、昔作った布地を再利用したり、海外へ行った際に見つけたヴィンテージの布を混ぜ合わせたり。

 

今もずっと東京・目黒にある「GASA*(ガサ)」のお店に通ってくれている熱烈なファンに向けて、オートクチュールのような感覚で、密かにご紹介している。きっと「マヌテリア」の継続が、コレクションの迫力に繋がっているのでしょう。

 

 

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-De Materia Medica-

薬学誌:by Pedanius Dioscorides

長い歳月、植物学・薬草学における権威であった薬学誌。ローマ帝国時代、ギリシアの医者、薬理学者、植物学者であるペタニウス・ディオスコリデスによって著された。文字のみの書物が、100年後には彩色図が加わり、変化を遂げていく。これらの植物から着想を得つつ、ローマ時代の洋装に思いを馳せて。

 

                      GASAcollectionテーマより

 

今シーズンは、植物学者の女性をイメージしたコレクションとなっております。「GASA*(ガサ)」のファンの方はもちろん、そうでない人にもぜひ見ていただきたい。その迫力に、心が震えることでしょう。

 

 

ワンピース:GASA「薬草をつむ」タックワンピース ¥64,000+tax

コサージュ:GASA「ガーベラの赤」3種のコサージュピン ¥18,000+tax

 

 

 

 

 

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