そのおしゃれは諦めて vol.2 ~ルノンキュル 木村牧子さん
おしゃれは「楽しい」あるいは「狙いたい方向に自分をシフトしてくれる」このどちらかによって気持ちを満たすものであるべきです。どちらでもないのはただの「衣服」
似合ってようがいまいが気にせず、感性や好き嫌いだけで選ぶっていうのは、それはそれでアリ。とても素敵です。そこには「楽しい」がちゃんとあるから。
だけど「似合っているものを身に着けたい」、「人から見て好印象でありたい」そういう人はちゃんと自分の味方と敵をわかっていないと、おしゃれが楽しみでもなければメリットもない、ただのストレスとなってしまいます。
理論付けのある「似合う」「似合わない」が腑に落ちることで、このストレスの原因となっている、無駄な「執着」から開放されます。手に入らないものはすっぱりと諦められます。
諦めるってことは選択肢が減る、寂しいことではありませんよ。
迷う、管理するといった時間、不要なものに費やす金銭、それに伴う後悔、自分の選択に対する不安。そういうものを、好きなことや工夫次第で自分の味方にできるものへと有意義に使うことができます。
諦めることで豊かになるのです。
私の色や骨格のタイプで言うと、上下とも白、レギュラーな襟や半袖や丈、ボリュームや動きに欠けるシルエット、顔回りに特徴もアクセサリーもなし、などなどは苦手。わかっているから、柄、素材、小物、髪型を工夫して自分寄りに引っ張ってきます。そうやって着たいものを着ることができます。
その代わり、同じ苦手でも例えば清楚で女らしいボレロとワンピースなんてのは桁外れに似合わない場外。工夫のしようもないので、すっぱりと諦めています。全然寂しくありません笑
おしゃれに限らず、「分かる」というのは文字通り、できることとできないことを区別できること。コンプレックスや執着に生き方の舵を握らせることなく、本当にできることと好きなことだけを充実させて、自分らしく生きることです。
心がなにかにからめとられて動けないようなとき、
私を執着からふっと解き放って自分に戻してくれるのが
アメリカの神学者による祈りの言葉です。
変えられないものを受け入れる
心の静けさと、
変えられるものを変える勇気と、
その両者を見分ける英知を与え給え。
「ニーバーの祈り」
Profile
木村牧子
「ルノンキュル」主催。関西学院大学卒業後、全日本空輸㈱で国際線CAとして勤務。退職後に転身し、子供の頃から夢だったデザインの道に進む。10数年間グラフィックデザイナー、テキスタイルデザイナーとして色や素材に関わる中で、「装い」や「色」が人の生きるパワーや自信と深く関わることに強く興味を引かれる。色彩学、心理学を学ぶうちに、「見た目」を通して人の内面、生き方を前向きに元気にさせる仕事をしたいと思うようになり、パーソナルスタイリング、イメージコンサルティング、パーソナルプロデュースの仕事を開始。現在は平日はデザイナー、週末はイメージコンサルタントとして活躍中。http://www.renoncule.net
肩の力を抜いた自然体な暮らしや着こなし、ちょっぴり気分が上がるお店や場所、ナチュラルでオーガニックな食やボディケアなど、日々、心地よく暮らすための話をお届けします。このサイトは『ナチュリラ』『大人になったら着たい服』『暮らしのおへそ』の雑誌、ムックを制作する編集部が運営しています。