農薬・化学肥料に頼らない、お米農家・やまざきさんちのお米「ひなたの粒」
~in-kyo(インキョ)より vol.20~
今でも陽が沈みかけると、お店の目の前に車が停まって、美味しそうな二人(スミマセン! 褒め言葉です)と、かわいい子どもたちが降りてくるんじゃないかという錯覚に陥ることがある。お米農家のやまざきさん家族のことだ。
朝から夕方までは田んぼでの農作業。それを終えた後は都内近郊へのお米の配達。やまざきさん一家は、東京・蔵前に「in-kyo」があった頃、納品のときだけでなく忙しい移動の合間に立ち寄ってくれることも多かった。一日ハードな作業を終えてクタクタだろうに、おもしろおかしい会話をして、アハハと笑って私が元気をもらっていた。私はといえば、そんな二人にコーヒーをいれるくらいのことしかできていなかった。
やまざきさんの田んぼへは、お手伝いという名の農業体験で何度かお邪魔をさせてもらっている。春の田植えに始まり、酷暑の炎天下での草取り作業。そして稲刈りは一年の集大成。昨年はちょうど稲刈りの時期に台風が直撃し、鬼怒川が決壊。やまざきさんの田んぼも大きな被害にあったが、その後多くの人の手によって奇跡的に稲が救い出された。ほんのわずかだけでもそれらの作業を経験させてもらったことで、農薬・化学肥料に頼らない米づくりがどれだけ大変なものかを頭ではなく、体まるごとで知ることができたことに感謝をしている。
毎日毎日、子どもを大事に育てるように田んぼのお世話をして。それはすべて「美味しいお米を安心して食べて欲しいから」という思いひとつ。本当に頭が下がる。だからというのでもなく、贔屓目もなく、やまざきさんちのお米は中味までピカピカで、食べるとふくふくとシアワセな気持ちで満たされていく。
福島で車を走らせていると、そよそよと風にそよぐ稲の緑が広がる景色によく遭遇する。稲穂もいよいよこうべが垂れてきた。稀に緑の波間に、ぴょこんぴょこんと雑草の頭が見える田んぼを見つけたりすると、草取りが大変だろうなぁと(でもちょっと嬉しくもなって)勝手に親近感を抱いたりしている。やまざきさんちの田んぼもそろそろ稲刈りの頃。もうすぐピカピカの新米が食卓にのぼる。
日々の暮らしの中で、月日をともに積み重ねたくなるような器や生活雑貨が並ぶ店。日常着や、おいしいもののセレクトも人気。「今日のひとしな」のコラム執筆は、店主の長谷川ちえさん。
福島県田村郡三春町9
TEL:0247-61-6650
10:00~17:00 水曜・木曜定休
http://in-kyo.net
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