「HJ GALLERY」のジンジャーエールとレモネードが生まれた日

今日のひとしな
2021.08.22

~「HJ GALLERY」より vol.22 ~

一年前の2020年6月11日に「HJ GALLERY」はオープンしました。

新型コロナウイルスが蔓延し、どこかみんなが見えない何かを怖がっているような状況で決していいタイミングとは言えない時でしたが、ここで止まってもきっと終わりのない始まりになってしまうと思って、テイクアウトからはじめることを決めてオープンしました。最初からものすごく忙しいわけでもなかったので、「今しかできないことをどんどんやっていこう」と、ひたすら苺ジャムを仕込み、コーヒーと紅茶だけだったドリンクメニューを増やしたくて、レモネードとジンジャーエールを作ろうと決めてひたすら無心で仕込んでいました。



レモネードは、広島県尾道市瀬戸田町の「citrusfarms たてみち屋」菅さんのノンケミカルのレモンを送ってもらって、あとはきび砂糖とはちみつだけのシンプルなものと決めて仕込んでいきました。ここのレモンが絶品で、「HJ GALLERY」のレモネードとジンジャーエール、それにレモンアイシングドーナツは、このレモンがあるから美味しくできているように思います。

どこか懐かしく甘酸っぱいレモネード。作り方も簡単で、レモンの皮を切り落とし、苦味のある白い部分をなるべく落とすようにして、5mmくらいの輪切りに。そこにきび砂糖をまぶして水分を出し、蜂蜜を足します。砂糖をグラニュー糖などにしなかったのは、コクを出したかったから。ジャムを炊くようにコトコト炊いたら出来上がり。水などは一切入れず、レモンからの水分だけで仕上げます。ホットでもアイスでも飲めるシロップは年齢関係なく好まれる味になりました。暑い夏は、炭酸水で割れば最高に美味しいレモネードです。

そして、もうひとつ。さきほどのレモネードと同様に輪切りにした生姜にきび砂糖をまぶして、そこにシナモンスティック、月桂樹、皮を剥いたカルダモン、クローブを入れて混ぜ合わせ、生姜から水分を出しながらスパイスの風味を足していきます。水分が出てきたところで少し水を足して、レモン果汁も足します。これを火にかけてコトコト炊いたら出来上がり。これまたおいしいジンジャーエールです。

どれもできる限りシンプルに、素材の味がしっかりと感じられるものをと思いながら作っています。何が入っているかわからないものではなく、当たり前においしいものを。少しでも元気の源になれば嬉しい限りです。

料理は作る人のエネルギーが食べている人に伝わるような気がしています。作り手の「気=エネルギー」をもらうというか。だからこそ、思いを込めて作ったものは人に伝わるし、さらにその向こう側の生産者の方の思いも重なれば、これ以上のパワーを得る方法はないと感じています。今では、ジンジャーエールもレモネードも、どの季節でもなくてはならない「HJ GALLERY」のメニューとなりました。

うれしいことばかりではないのが人生ですが、色々と思い悩むくらいなら、失敗してもいいから前だけを見て進んでいきたいと思っています。ジンジャーエールとレモネードは、昨年のそんな不安の最中に生まれた、忘れられないメニューです。

自家製レモネード、自家製ジンジャーエール 各¥660
シロップ(218ml)各¥2,160


(8枚目 写真:中島光行)

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HJ GALLERY

住所:奈良県奈良市三碓2-4-13-2
TEL:0742-52-5000
営業時間:11:00~16:00
営業日:木曜・金曜・土曜
https://www.hj-g.jp/
instagram:@hjgallery

※ペット、10歳未満のお子様の入店はご遠慮願います
 

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