古くて新しい町、清澄白河。~この街のこと~
近藤幸子の「料理のこと」vol.3
今でこそ東京でも有数の人気スポットとなった清澄白河ですが、この地で料理教室「おいしい週末」を主宰する近藤幸子さんがここへやってきた13年ほど前には、ごくごく普通の下町の住宅街でした。「ここはきっと近い将来、絶対におもしろい場所になるはず」と確信していたという近藤さん。その料理には、清澄白河にも似た「懐かしさ」と「新しさ」があります。
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結婚を機に仙台から引っ越しを決めたのは13年ほど前。物件を探していたころ、清澄白河に住んでいる友人を訪ねる機会がありました。夏だったので、ちょっと歩くと蝉の声とむせかえる程の自然の香りがする清澄公園や庭園、お寺がいくつもあり、今まで知っていた東京ではないどこかのような不思議な魅力を感じました。そして、その日のうちに「絶対ここに住もう」と決めたのです。
住み始めたころは「なぜここに?」と聞かれることが多かったのですが、私にとってはとても理想的な場所であり、なにか不思議な魅力と希望があふれた場所に感じたのです。特にはっきりとした理由があるわけではないのに、「ここはきっと近い将来、絶対におもしろい場所になるはず」と日々思いが強くなっていきました。
それからずっと同じ場所で暮らしていますが、私の予想どおり(笑)魅力的なお店が次々とでき、いつの間にかおしゃれタウンとなりました。清澄白河に集まってくるお店は、どこもこの場所にぴったりの、似た雰囲気のお店が多いような気がします。共通点は新しいものと古いもの、どちらも大切にしていて、無理のないマイペースさがあること。これが私にとってとても居心地良く、ご近所散策が楽しくてしょうがありません。
仲良しのお店はいろいろあるのですが、セルフ・リノベーションで作り上げたオシャレな店内にアンティークの品々が並ぶカフェ「PORTMANS CAFE」や、日傘作家・ひがしちかさんの夢のように素敵な1点ものの日傘などが並ぶ「Coci la elle」、ギャラリーに併設された、かわいい店主が作るおいしいお菓子と飲み物が並ぶ私の癒しスポット「PARLOUR HARMAS」などなど、ご紹介したいお店はたくさんあります。
お店だけではなく、大きなお祭りがあったりするせいか、人のつながりもしっかりしているのがこの街の楽しいところでもあります。ものづくりに関わるご近所仲間と、お花見や忘年会など、親戚のように家族ぐるみで定期的に集まったり、家やお店を行き来したりしています。
そんな、古くて新しい清澄白河で暮らしているからか、料理についても同じような思いが生まれています。昔ながらの定番料理も大好きですが、今の家庭ではナンプラーやスパイスなども日常的に使っている方が多いのではないでしょうか? 私もエスニック料理が大好きなので、家族が食べやすく日常的に組み合わせられるような料理を考えています。以前に比べ、気軽に外食できなくなってしまったこともあり、新しい香りや味を体験すると、作る意欲も湧き上がります。
文・写真/近藤幸子
近藤幸子さんの著書『重ねて煮るからおいしいレシピ』(主婦と生活社)より
さつまいもとベーコンの炊き込みご飯
「和洋問わず食材を組み合わせることで新しいおいしさが生まれます。切り昆布とベーコンは相性抜群です」
材料
|米 ─ 1合
|水 ─ 250ml
| → 米は研ぎ、水に浸して30分ほどおく
切り昆布 ─ 50g
さつまいも ─ 100g
→ 皮つきのまま1㎝厚さの輪切り
ベーコン ─ 60g
→ 1cm幅に切る
酒 ─ 大さじ2
しょうゆ ─ 大さじ1
みりん ─ 大さじ1/2
レシピ
1 鍋に材料をすべて入れ、強めの中火にかけ、湯気が上がったらふたをして、中火で10分ほど煮る。火を止めて、そのまま10分ほど蒸らす。
note
・ 切り昆布とベーコンの旨みがご飯全体に染み渡る。
料理写真/鈴木泰介
Profile
近藤幸子
料理研究家、管理栄養士。宮城県出身。料理学校、料理研究家のアシスタントを経て独立。楽しみながら作る料理教室「おいしい週末」主宰。簡単でシンプル、それでいて気の利いた料理を好む。子育てをする日々の中で、がんばりすぎないコツを研究中。著書に『おいしい週末、だれか来る日のごちそう献立』(地球丸)など。
おいしい週末Web
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