毎日使う鍋について。~料理の道具のこと~
近藤幸子の「料理のこと」vol.5
良い調理道具の条件は、料理がおいしく仕上がることはもちろんのこと、片づけや手入れが楽であることと、収納がかさばらないこと。清澄白河で料理教室「おいしい週末」を主宰する近藤幸子さんの道具選びのセンスには、「さすがプロ!」と言いたくなるような、合理性があふれています。
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仕事でもプライベートでも、とにかくキッチンに1日じゅう立っていることが多い私ですが、だからこそ、いろいろなこだわりがあります。
昨年、自宅を大規模にリフォームしたこともあり、キッチンについての理想を改めて考える機会でもありました。よく言われることですが、料理する人にとってキッチンはコックピット! 無駄なく、作業しやすくなるように日々工夫しています。
そんな中で、鍋についてもいろいろなこだわりがあります。選ぶ基準は、調理性が良
くなるのはもちろん、とにかく時間が足りない今は、片づけや手入れが楽だったり、収納もかさばらないこと。
クリステルの16cmと20cmとの鍋、フィスラーの18cmの圧力鍋、30cmのチタン製中華鍋。これがあれば、毎日のごはん作りはほぼ事足ります。見せ鍋はほとんどなく、実用合理主義が私らしい。料理の仕事をしているのに、こんなに鍋を持っていないのは私だけだろうといつも思いながら仕事しています(笑)。
『重ねて煮るからおいしいレシピ』でご紹介しているとおり、わが家では長時間煮込むような料理を作ることは少ないので、ストウブやル・クルーゼのような鍋よりも、扱いやすいステンレス製のクリステルの鍋の方が役立っています。入れ子になるので、収納がかさばらないのがうれしい。煮物や蒸し煮を作るとき、ご飯を炊いたりするのにのにも登場します。
フィスラーの18cmの圧力鍋も、私の毎日の食事作りには欠かせません。圧力鍋というとたっぷり手の込んだ料理を作るイメージがありますが、私は毎日のスープ類を作る時に使っています。忙しい時は野菜が柔らかくなる10分も惜しく感じるもの。野菜をざくざく切って鍋に入れ、圧がかかったらすぐ火を止めて放置。そうすると、小さな子供でも食べやすいやわらかさの、具だくさんのスープがすぐに出来上がります。
圧力鍋は蒸し器としても威力を発揮。我が家では、水を1カップ入れてゆで卵を作りつつ、付属のすのこに3cm角に切ったじゃがいもをのせて同時に加熱し、一気にポテトサラダを作るなんていう荒技も。
大きなチタンの中華鍋は、ゆで用鍋として大活躍しています(中華鍋としてはあまり活用していない…)。青菜や麺類をゆでるとき、たっぷりお湯を沸かすのにぴったりです。チタンなので鍋がとても軽いため、流しへ運ぶのも苦になりません。それから、中華鍋の形状は、吹きこぼれないというのが、とてもうれしいところです。
文・写真/近藤幸子
近藤幸子さんの著書『重ねて煮るからおいしいレシピ』(主婦と生活社)より
にんじんとれんこんの洋風なます
「ステンレスの鍋にぴったりのレシピです。沸騰したら3分煮るだけ! 作りおきにもちょうどよいです」
材料
にんじん ─ 1 本
→スライサーでせん切り
れんこん ─ 1/2節(100g)
→ 薄い半月切りにして水にさらす
白ワイン ─ 大さじ2
オリーブオイル ─ 大さじ1
砂糖 ─ 小さじ1
好みの柑橘類の果汁 ─ 小さじ1
塩 ─ 小さじ2/3
レシピ
1 鍋に材料をすべて入れ、ひと混ぜする。強めの中火にかけ、湯気が上がったらふたをし、中火で3分ほど蒸し煮にする。
note
・果汁はレモンやゆず、かぼすなど、なんでもOK。
・冷蔵室で3日ほど保存ができる。
料理写真/鈴木泰介
Profile
近藤幸子
料理研究家、管理栄養士。宮城県出身。料理学校、料理研究家のアシスタントを経て独立。楽しみながら作る料理教室「おいしい週末」主宰。簡単でシンプル、それでいて気の利いた料理を好む。子育てをする日々の中で、がんばりすぎないコツを研究中。著書に『おいしい週末、だれか来る日のごちそう献立』(地球丸)など。
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