〜陽射しに備える「盛夏」の献立〜 茂田正和さんの食べる美容 料理教室vol.2レポート【後編】

食べる美容 料理教室
2024.08.09

書籍『食べる美容』の内容を、著者である『OSAJI』ブランドディレクター 茂田正和さんが講師となって実践する料理教室。第2回目のテーマは、“陽射しに備える「盛夏」の献立”です。

UVケアをしていても防ぎきれない夏の紫外線ダメージを肌に残さないためには、スキンケアと併行して、代謝や体の抗酸化作用をアップする食べ物でのケアもかなり重要。そして「美味しく、楽しく」で美容への効果はより高まるはず、という茂田さんのお話どおり、時間が経つにつれて和気藹々とした雰囲気が生まれ、皆さん実食タイムには表情が輝いていました。


【前編】では、紫外線が肌に与える影響についての解説と、主菜の太刀魚の南風咖哩と副菜の砂肝と夏野菜のチョップドサラダを紹介しました。【後編】では、主食の焼きとうもろこしご飯、一汁のとろろ昆布ときゅうりの冷製スープ、2品の料理についてレポートします。


焼きとうもろこしご飯の、とうもろこしを焼く時に使った酒盗やみりん。とろろ昆布ときゅうりの冷製スープで、きゅうりのすり流しに加える水に合わせた粉鰹や塩麹。茂田さんの料理は、シンプルながらも調味料使いがユニーク。

「僕が提案する料理の多くは、味付けと出汁取り、両方が同時に叶うような調味料使いになっています。鮪や鰹の内臓を塩蔵熟成してつくられる酒盗は、塩気と旨味が凝縮していて、賞味期限が長いのも魅力。お酒のおつまみとしてだけでなく、ぜひ発酵調味料として使ってみて欲しいです。塩麹も、塩味と同時にコクが加わるので、僕はバターの代用で使ったりしますよ」

スープに粉鰹を使えば鰹の栄養が丸ごと摂れ、醤油やみりんなどは昔ながらの製法で作られたものを選ぶことで、より深みのある味わいになって栄養も豊かに。あらかじめ昆布や鰹を煮出す時間を作らずとも、茂田流の調味料使いなら時短にしてひと手間かけた仕上がりに!

 

焼きとうもろこしのご飯

ビタミンB群、ビタミンC、ビタミンE、カリウムやマグネシウムなどを含み、食物繊維も豊富なとうもろこし。

「糖質でありながら代謝を促す働きが高く、ミネラルも摂れるので肌のバリア機能のサポートにも役立つ野菜です」


フライパンに太白ごま油を引き、つぶしたニンニクがキツネ色になるまで火を入れて香りを移したら取り出します。このニンニクは、お好みでご飯を炊く時に入れても。とうもろこしに香ばしい焼き目をつけるには、あまり動かさないことがコツ。焼き目をつけて酒盗で味付けしたこの焼きとうもろこしは、ご飯釜で炊いたジャスミンライスを蒸らすタイミングでのせます。


とうもろこしご飯を炊く時は、火にかける前にとうもろこしの芯を入れて。ジャスミンライスの香りととうもろこしの香りを生かすべく、水に加えるのはみりんと塩のみ。とうもろこしの芯は、蒸らしのタイミングで取り除きます。

 

とろろ昆布ときゅうりの冷製スープ

ビタミンCやカリウム、そしてスーパーアミノ酸と呼ばれるシトルリンを多く含み、水分の巡りを良くして肌にうるおいを与えてくれるきゅうり。このきゅうりのすり流しに、肌のバリア機能の働きをサポートしてくれるとろろ昆布を合わせた、みずみずしい喉ごしのスープ。


「夏って、湿気や汗で肌表面がしっとりしていることが多いので、自分の肌はうるおっていると思いがちです。でも、実際は紫外線のダメージで肌の水分保持機能が壊れかかっていて、インナードライ状態になっている人がとても多くて。そういった肌状態を内側からうるおわせて修復するのに、きゅうりやスイカに含まれるシトルリンの補給は最適なんです」


「今回の献立は、主役の太刀魚の南風咖哩との相性を考えてそれぞれのレシピを考案しました。お皿にご飯を盛り付けたら、カレー、スープ、サラダ、全部を一緒にのせてワンプレートでいただくのもおすすめです。とくにとろろ昆布ときゅうりの冷製スープは、太刀魚の南風咖哩と相性ぴったりなので、ぜひあいがけにして混ぜて食べてみてください」


「食を通じて夏の養生をしっかりやっておくと、秋冬の肌の乾燥具合がかなり変わってくると思います。ただ、女性は体づくりの材料となるタンパク質の量が足りてないことが多いので、自分の体重を元に必要タンパク質量を一度計算してみることをおすすめします」

茂田さんが教えてくれた目安は、体重が50kgの人なら、1日の必要タンパク質量は50g。この量を鶏むね肉を食べて摂るとしたら、1日200〜250gも食べる必要があるそう。これは女性が一度に食べるのは難しい量なので、やはり胃腸に負担がかかりにくいのは3食で小分けに摂ること。まさに“献立力”がモノをいいますね。


「巡りの良い体づくりは一朝一夕に完成しないものですが、肌はターンオーバーに必要とされる約28日間で少しずつ変わっていきます。いちばん良くないのは、美味しくないのに我慢して食べること」と、茂田さん。

「美味しい」を諦めない少しの貪欲さと同時に、変化を焦らない。そんな心持ちが食事によるケアで美肌を育む秘訣といえそうです。

次回の『食べる美容』料理教室の開催は9月上旬。
いくらか過ごしやすくなる一方で、急な乾燥によって揺らぎやすくなる肌を整えるための食養生を学べる内容となりそうです。

一度参加すると「また来たい!」という反応も多いので、気になった方はぜひお早めの申し込みを。

photo:小松原英介 text:石塚久美子

 

『HEGE』直火鍋φ250直火鍋 

『食べる美容』

 


 

【食べる美容 料理教室 Vol.03 開催概要】
9月| “乾燥に備える”乾燥季の献立
紫外線の厳しい夏が終わり、空気の乾燥が始まる季節。夏にできたメラニンを、この季節にしっかり排泄できるかどうかがシミ対策の重要なポイントです。それと同時に、潤いを保持するチカラを肌につけ、乾燥くすみを起こさないようにケアすることが重要です。そんな秋に向けた食事のポイントを、楽しく美味しくお伝えします。

献立
・ココナッツ⾹るはらこ飯
・⽊の⼦といちじくのマリネ
・かぶの⾖乳スープ
・焼かない⽣姜焼き

開催日時
2024年9月6日(金)18時〜20時30分
2024年9月7日(土)11時〜13時30分
講師:OSAJIブランドディレクター / 茂田 正和
開催場所|釜浅商店(包丁売場4Fイベントスペース) 東京都台東区松が谷2丁目24−1
受講料:10,000円(税込)ドリンクご利用分は別途頂戴いたします。
定員:各回16名 
応募方法:Peatixにてお願いいたします。
※料金(材料費、講習費、実食分)の費用となります。
持ち物等:手拭き、筆記用具、エプロン
注意事項:当日は記録のため撮影が入ることがございます。ご同伴者がいらっしゃる場合は、ご予約の際に備考欄へその旨をご記載ください。お料理によっては複数人での共同作業がございます。

Profile

茂田正和

Masakazu Shigeta

音楽業界での技術職を経て、2002年より化粧品開発者の道へ。皮膚科学研究者であった叔父に師事し、肌にやさしい化粧品づくりを追究する中で、健やかな美しさにとっては五感からのアプローチも重要と実感。2017年、スキンケアライフスタイルを提案するブランド『OSAJI』を創立、ブランドディレクターに就任。2022年には、香りや食から心身を調律するOSAJIとレストランの複合ショップ『enso』(鎌倉・小町通り)を手がけ話題に。同年9月、初の著書『42歳になったらやめる美容、はじめる美容』(宝島社)を出版。2023年は、日東電化工業のめっき技術を活かした器ブランド『HEGE』のプロデュース、そして日東電化工業より分社化された株式会社OSAJIの代表取締役に就任と、自身にとって大きなターニングポイントの年となった。2024年2月、2冊目となる著書『食べる美容』(主婦と生活社)を出版。

Instagram : @masakazushigeta
https://shigetanoreizouko.com/

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