素敵な器を使った朝ごはんコラム、3月担当は栃木の「TOUKOUSYA(とうこうしゃ)」
初めまして、こんにちは。2025年3月の「器店主の朝ごはん」を担当させていただく、食卓と暮らしの品々の店「TOUKOUSYA(とうこうしゃ)」の神山裕紀と申します。
初めてである今回は、店の紹介をしたいと思います。少し長くなりますが、お付き合いください。当店は栃木県栃木市にあります。
栃木県といえば、宇都宮や日光、また器好きの方なら益子を思い浮かべる方も多いと思いますが、そのいずれからも車で1時間ほどの距離にあるのが栃木市です。
全国でも県名と同じでありながら県庁所在地ではないのは沖縄市と山梨市、そしてここ栃木市の3か所のみ。中でも栃木市は県名発祥の地で、江戸との舟運で栄えた商都、1884年に宇都宮に移されるまで実際に県庁があった歴史ある街です。
1923年、その栃木で会津から来た兄弟によって「アイヅヤ陶器店」が創業します。
時は流れ2009年、縁あって血のつながりもない青年が、当時アイヅヤが営んでいた「陶珈紗(とうこうしゃ)」を先代から事業承継することになります。その後、彼は結婚し子どもにも恵まれ、地元や栃木を訪れるたくさんの方々に支えられながら店を続け、今この文章を書いています。
音を残して「TOUKOUSYA」となった現在も器をはじめとする生活雑貨、自家焙煎のコーヒー豆、信頼するパティシエに委ねた焼菓子など幅広く扱っています。
うつわに関しては創業当時から有田、波佐見、美濃、瀬戸などの窯元との付き合いが長く、現在も全国各地の焼き物を取り揃えており、私は質感や品質と価格のバランス、妻は実際に使用して納得いくものをそれぞれの目線でセレクトしています。
数年前に行った大規模な改装では自ら図面を引き、大工さんに柱まで立ててもらい、壁面やカウンター製作にいたるまでハーフビルドで仕上げました。
また、陶器店には珍しく、キッズスペースも設えてあります。ワレモノの多い店内、子ども連れでも気軽に来店してほしくて作りました。みんな吸い込まれるように遊び始めてくれます。その甲斐あって、お子さん、お母さん、おばあちゃんと3世代で来店してくださるお客様も増えてきました。
それまで20年来焙煎したコーヒー豆を仕入れ販売していましたが、生豆を水洗いし焙煎したコーヒーの美味しさを知ってからは自家焙煎に切り替えました。店内に併設するかたちで「カミヤマト焙煎室」という別の屋号で焙煎をしています。水洗いし汚れを落としたあと、コーヒー豆本来の甘さを最大限に味わってもらうためにピンポイントの焙煎で仕上げています。
ブレンドは「青磁-seiji-」「漆-urushi-」「輪花-rinka-」など、うつわに因んだ名前をつけています。
もちろん、店内でコーヒーと焼菓子を召し上がっていただけます。使用しているカップソーサーなどは販売しているものに限らず、国内外のデッドストックのものなど、ここでの時間を楽しんでもらえるよう私の好みでお出ししています。
リピーター続出の焼菓子は、「patissier Sarrasin(パティシエ・サラザン)」の岡田裕司くんを招き、店内の工房で焼き上げ販売しています。
月に一度、「patissier Sarrasin」企画でパフェなど生洋菓子を店内で食べられるスイーツの日があり、大好評で、回を増すごとにご予約数が増えています。当店のインスタグラムにて情報発信していますので、気になる方はのぞいてみてください。
長くなりましたが、北は豊かな里山とその恵みを受けるように歴史ある市街地が広がり、南端は広大な渡良瀬遊水地を有する栃木市。当店以外にもこの倭町や嘉右衛門町界隈には老舗の専門店やカフェ、古道具店などが点在しながら新旧入り混じり、栃木らしい佇まいでゆったりとした時間が流れています。都内からでも特急を使えば70分。
皆様のお越しをお待ちしております。
栃木県栃木市倭町5-17
TEL:0282-23-2251
定休日:日曜・月曜
https://toukousya.net/
Instagram:@toukousya_
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