〜肌荒れに備える「花粉季」の献立〜 茂田正和さんの食べる美容 料理教室レポートvol.5レポート【後編】
健やかで美しい肌を保つライフスタイルをデザインする、化粧品『OSAJI』のブランドディレクター 茂田正和さんは、プロの料理人も思わず唸るほどの料理の腕前の持ち主。著書『食べる美容』(主婦と生活社)では、季節ごとの肌悩みをケアする美容養生食を提案し、レシピ作成から調理まで担当。そんな茂田さんが自ら講師を務める料理教室が合羽橋の『釜浅商店』イベントスペースでスタート!耳寄り情報満載のレクチャーの様子を、不定期連載にてお届けします。
もともと肌が弱い人にも、季節や年齢によって時おり肌の不調を感じる人にも、わくわくと自分らしいお洒落を楽しみたくなるコスメブランドでありたい。そんな想いで化粧品開発に取り組むと同時に、素肌の健やかさを培う食の提案にも邁進。OSAJIブランドディレクター茂田正和さんにしか出来ないであろう、お料理教室の第5回目は、花粉が飛散する季節の体ケアがテーマです。
後編では、この料理教室では初登場のせいろを使用した銀鱈の紹興酒蒸しと、タイ北部の料理のテイストを取り入れたごぼうと砂肝のラープの調理の模様をお届けします!
銀鱈の紹興酒蒸し
タンパク質とミネラルをしっかり摂れる、鱈の紹興酒蒸し。まずはせいろに生わかめを敷き、その上に塩胡椒を振った銀鱈の切り身、ホンノビス貝、生キクラゲ、茎と葉を切り分けたチンゲンサイをのせます。蒸し上げたせいろごと食卓に運ぶので、彩りや取りやすさも考えてギュッと詰めていきます。
紹興酒と水を入れた鍋にせいろをセットして、沸騰したら中火で10分ほど蒸します。
せいろ蒸しの具材につけるタレは、【前編】で紹介した筍のオイスターソース煮込みを作る途中、干し貝柱を水に入れて沸騰させるまでの間に手が空くのでそこで仕込みました。卵黄に焙煎ごま油を少しずつ注ぎながら混ぜ、さらに黒酢、たまり醤油、砂糖の順で加え、最後に炒りごまを合わせます。食べる直前で小口切りにした小葱を散らし、香味マヨネーズ醤油ソースの完成です。
「卵黄は水分とも油分とも混ざる食材ですが、油や調味料を加える時は手を休めることなく粘り気が出るまで混ぜ続けることが自家製マヨネーズ作りのポイント。卵黄が媒介となって水分と油分がしっかり乳化するので、食べる時も分離しにくい一体感のあるタレが出来上がります」
ごぼうと砂肝のラープ
鶏肉の中でもほぼ脂肪を含んでいない部分で、低カロリーでありながらタンパク質やビタミンB群、カリウムや鉄分も摂れる砂肝を、食物繊維豊富なごぼうと合わせた歯ごたえ抜群のおかず。
スライスした砂肝に生姜と塩を入れて下味をつけてから、フライパンに太白ごま油をひいて中火で炒めます。砂肝にしっかり焼き目がついたら、笹がきにしておいたごぼうを入れて軽く炒め、味醂、ナンプラーを入れてひと混ぜしたら火から下ろしてボウルに移します。
ライムをギュッと絞ってから、たっぷりのミントの葉を加えて混ぜたら完成。タイではラープをもち米と食べるのが定番なので、ご飯ものとの相性も良いひと皿です。
「春夏とかには、今回のラープの砂肝を生だこ、ごぼうをグレープフルーツに置き換えてみるのも美味しいですよ」と茂田さん。
本場タイのラープは唐辛子や砂糖も使うパンチの効いた味わいですが、今回は唐辛子を使わず、ナンプラー、ミント、ライムの爽やかな塩気と酸味のみで、お子さんでもぱくぱく食べられます。今回のレシピでは味醂が担っている砂糖の甘味は、蜂蜜に代えてもOK。
ご飯を蒸らしている約10分間には、茂田さんによる肌のバリア機能についての詳しい解説がありました。
「肌の角質層は、ちょうどラップ1枚ぐらいの厚みと言われています。この角質層に備わっているバリア機能は、まさにラップのように水分が外に逃げていくのをガードし、外から異物が入ってくるのを防いでくれています。 皆さんが海水浴に行って、塩漬けになったり体重が2倍に増えたりしないのは、バリア機能を備えた角質層で全身が覆われているから。なのでバリア機能がしっかり働いていれば、花粉が肌に入り込んで炎症が起きることを防げるわけです」
バリア機能が壊れる要因は複数あり、一番は乾燥、次に多いのが紫外線やストレス、そして洗顔やメイクの時に起こる物理的な刺激もその一つ。
「今回の献立はマグネシウムをたくさん摂ることを意識した内容になっています。というのも、角質層のバリア機能を強くする栄養素の筆頭がマグネシウムだからです。よくエプソムソルトを入れたお風呂に入っていたら、肌のカサつきやアトピー性皮膚炎の症状が良くなったという声を聞きます。これにはちゃんと理由があって、エプソムソルトの別名は硫化マグネシウムなので、マグネシウムの働きで弱まっていた角質層のバリア機能が建て直され、キメの密度が高まって肌がキレイになっていったということです」
マグネシウムは野菜からも摂取できるミネラルですが、近年の日本の農地は連作で野菜のミネラル含有量が減少の一途。その点、海はミネラルの宝庫なので海で育った食材を積極的に取り入れることはマグネシウムを十分に摂りたい時に最適なのだそう。
次回の『食べる美容』料理教室は、3月に開催されます。書籍『食べる美容』の人気メニューを中心とした献立提案のファイナル回で、自律神経の働きやホルモンバランスに着目した、メンタルを整えるのに役立つ食のアプローチを紹介します。茂田さんがとくに気に入っているという鰹の手ごね寿司と、初のデザートも作るそうです!
photo:小松原英介 text:石塚久美子
【食べる美容 料理教室 Vol.06 開催概要】
3月|“ストレス不調をやわらげる”新生活の献立
環境の変化、新たな人間関係の中でストレスを抱えやすいこの季節。それをきっかけに突如として敏感肌になったり、ホルモンバランスの乱れから湿疹や吹き出物ができたりと予測不能な肌トラブルに見舞われがちです。今回は、ストレスを和らげ、ホルモンバランスの乱れを防ぐ食事のポイントをお伝えします。
献立
・鰹の香味寿司
・酒粕豚汁
・ワカメのナムル
・きな粉バナナ豆花
開催日時
2025年3月28日(金)18時〜20時30分
2025年3月29日(土)11時〜13時30分
講師:OSAJIブランドディレクター / 茂田 正和
開催場所|釜浅商店(包丁売場4Fイベントスペース) 東京都台東区松が谷2丁目24−1
受講料:10,000円(税込)ドリンクご利用分は別途頂戴いたします。
定員:各回16名
応募方法:Peatixにてお願いいたします。
※料金(材料費、講習費、実食分)の費用となります。
持ち物等:手拭き、筆記用具、エプロン
注意事項:当日は記録のため撮影が入ることがございます。ご同伴者がいらっしゃる場合は、ご予約の際に備考欄へその旨をご記載ください。お料理によっては複数人での共同作業がございます。
Profile
茂田正和
音楽業界での技術職を経て、2002年より化粧品開発者の道へ。皮膚科学研究者であった叔父に師事し、肌にやさしい化粧品づくりを追究する中で、健やかな美しさにとっては五感からのアプローチも重要と実感。2017年、スキンケアライフスタイルを提案するブランド『OSAJI』を創立、ブランドディレクターに就任。2022年には、香りや食から心身を調律するOSAJIとレストランの複合ショップ『enso』(鎌倉・小町通り)を手がけ話題に。同年9月、初の著書『42歳になったらやめる美容、はじめる美容』(宝島社)を出版。2023年は、日東電化工業のめっき技術を活かした器ブランド『HEGE』のプロデュース、そして日東電化工業より分社化された株式会社OSAJIの代表取締役に就任と、自身にとって大きなターニングポイントの年となった。
Instagram : @masakazushigeta
https://shigetanoreizouko.com/
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