〜ストレス不調をやわらげる「新生活」の献立〜 茂田正和さんの食べる美容 料理教室レポートvol.6レポート【後編】

食べる美容 料理教室
2025.05.02

健やかで美しい肌を保つライフスタイルをデザインする、化粧品『OSAJI』のブランドディレクター 茂田正和さんは、プロの料理人も思わず唸るほどの料理の腕前の持ち主。著書『食べる美容』(主婦と生活社)では、季節ごとの肌悩みをケアする美容養生食を提案し、レシピ作成から調理まで担当。そんな茂田さんが自ら講師を務める料理教室が合羽橋の『釜浅商店』イベントスペースでスタート! 耳寄り情報満載のレクチャーの様子を、不定期連載にてお届けします。



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長年に渡る化粧品開発者の経験から導き出された“肌に良いこと”が盛り込まれた、OSAJIブランドディレクター茂田正和さんによるお料理教室。第6回目のテーマは、急な気温差や新生活によるストレスをやわらげ、気持ちも肌も健やかに美しく保つための美容食養生です。

 

酒粕豚汁

今回作る豚汁は、腸内細菌のバランスを良くすることに貢献してくれる酒粕を入れて、濃厚でありながらマイルドかつクリーミィな味わいがなんとも新鮮。


「日本酒を作っている酒蔵では、1つの酒蔵で年に約2トンもの酒粕を廃棄しているそうで、それほど需要がないというのが現状です。でも、酒粕はプレバイオティクスの効果を期待できる発酵食品。酒粕由来の乳酸菌の屍骸は、腸に入ると腸内細菌のバランスを整えるのに役立ってくれるんです。肌にも良い影響があることがわかっていて、エコな食材でもあるので、僕はこれからも料理に積極的に取り入れたいと思っています」


雪平鍋に太白ごま油を入れ、温まったら豚バラ肉を軽く焦げ目がつくまで炒めます。

「豚肉の脂がしっかり出てきたら陳皮と花椒、長葱を入れて香りを移すように炒めて香味油に。“辛くないラー油”を作るイメージです」


長ネギにほんのり焦げ目がついたところで、その他の具、ごぼうと里芋を入れてさっと炒め、人数分の水を注ぎます。強火にして沸騰したらアクを引き、やや強めの中火で10分煮込んだら酒粕をちぎりながら入れて八丁味噌、醤油、砂糖も加えて弱火で煮込みます。この火加減が具材の味を引き出すポイントだそう。


「今回の酒粕豚汁は、濃厚な味付けでご飯のおかずにもなる一品。酒かすの匂いが苦手という方でも、今回のように陳皮を入れて柑橘の香りを加わえてあげるとぐっと食べやすくなると思います。酒粕は柑橘の香りと相性が良いので、僕はタイのコブミカンの葉をハーブとして使うグリーンカレーを作る時に、ココナッツミルクの代わりとして酒粕を使ったりします」

 

ワカメのナムル

ワカメの旬は春で、ちょうど今は最盛期に当たるそう。腸内環境を良好に導く食物繊維が豊富、ミネラルも充実している食材です。


「ワカメは、ミネラルの中でもマグネシウムが豊富です。マグネシウムは便秘薬としても使われているくらいなので、便秘に悩む方は普段の食事で小まめに摂ると良いと思いますよ」


長葱の白い部分から白髪葱を作ってボウルに入れたら、すり胡麻(白)、おろしにんにく、松の実を合わせます。フライパンに焙煎ごま油を入れて中火で温め、少し煙が立つくらいまで火を入れたらボウルの中の白髪葱と調味料に注いでじゅっと熱を入れ、オイスターソースと少量の塩で味を整えてナムルのタレが完成です。


食べやすい大きさに切ったワカメと三つ葉は、タレが水っぽくならないよう、少しずつほぐしてしっかり水気を切りながらボウルに入れてタレと混ぜ合わせます。茂田さん曰く、このひと手間によって、タレの塩気が薄まることなくキレの良い味わいに仕上がるとのこと。

「このレシピは、いろんな野菜を美味しく食べられる最強のナムルダレ! もやしはもちろん、軽く湯がいたニラ、キクラゲなどを和えてもご飯のお供になると思います。ナムルは漬け物なので、多めに作ったら冷蔵保存して2〜3日は食べられるのも便利ですよね」

 

きな粉バナナ豆花

豆乳を凝固させて作る台湾の伝統的なスイーツ、豆花。ご当地では、豆乳に食用石膏粉(硫酸カルシウム)を加えて固める作り方ですが、『食べる美容』料理教室では豆乳ににがりを加えて蒸篭で蒸す、自家製豆腐の作り方で再現します。


「仕込む前、材料を揃える際に気をつけていただきたいのが、豆乳に記載されている大豆固形分。この大豆固形分が10%以上でないと、にがりを入れてもぐずぐずになってなかなか固まりにくいので、必ず大豆固形分10%以上あるものを選んでくださいね」

ボウルに豆乳を注ぎ、バニラエッセンスと砂糖、にがりを加えてよく混ぜます。そのままボウルごと蒸篭に入れ、沸騰した後、弱火にして20分蒸します。蒸しあがったら蒸篭は鍋から外さずに、鍋ごと火からおろして冷ますのもぷるぷるに仕上げる重要ポイント。


豆花を蒸している間にバナナを切り、別のボウルに入れて黒蜜を加えて和えておきます。豆花が冷めたら、バナナとクコの実をのせてきな粉をかけて完成。

「バナナは、オリゴ糖も食物繊維も豊富で腸内細菌がとても喜ぶ食材。細胞の機能を調整してむくみを防ぐカリウムも豊富なので、新生活で忙しくて朝食をしっかりとれない時には、バナナを一本食べるだけでも腸内環境のケアとして有効だと思います」


「クコの実は少量でも強い抗酸化力を持つ薬膳食材ですが、手に入りにくいと時は代わりにポリフェノールが豊富なドライのイチジクやはちみつレモンをかけても、抗酸化を期待できますよ」

デザートタイムの終わり、健康と美容に良い食材を使って、作って、食べて、飲んでと楽しんでいたら、ちょっとした悩みがどうでもよくなることってありますよね、と笑顔で締めくくる茂田さん。

約一年間をかけての美容養生食の献立1クール目は、書籍『食べる美容』掲載の人気レシピをピックアップした構成でしたが、次回、5月からの2クール目は健やかで美しい肌を維持するのに役立つ食材をメインとした構成で献立が展開されます。

「2クール目は、日本の食材を使って世界の料理を作っていきます。次回のメインは、僕が小学生の時から作っているパエリア。美味しくつくるコツをお伝えするのでふるってご参加ください」


美容に良い食材を上手く料理に取り入れたい気持ちはあるものの、食べ方がマンネリになってきてしまったり、調理や味付けのバリエ不足を感じている方は、参加することできっと新しい扉が開くはず!

photo:小松原英介 text:石塚久美子

 

『HEGE』直火鍋φ250直火鍋 

『食べる美容』


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【食べる美容 料理教室 Vol.07 開催概要】
5月|“紫外線が増え始める季節に備える”初夏の献立
紫外線が増え始める5月。まだ肌の夏支度が終わらない中で浴びる、この季節の紫外線は最も老化のリスクが高いとも言われています。トマトは紫外線を浴びることで発生する肌の廊下因子「活性酸素」を消化することにとても優れた食材です。今回は、そんなトマトを飽きずに食べられるさまざまなレシピを紹介します。

食材 / トマト

献立
・和風出汁香る鱈のパエリア
・トマトとしらすのサラダ 柚子こしょう風味
・ドライトマトと手羽先の煮込み
・トマトと甘酒のソルベ〈ご提供〉

開催日時
2025年5月31日(土)11時〜13時30分 / 17時〜19時30分
講師:OSAJIブランドディレクター / 茂田 正和
開催場所|釜浅商店(包丁売場4Fイベントスペース) 東京都台東区松が谷2丁目24−1
受講料:10,000円(税込)ドリンクご利用分は別途頂戴いたします。
定員:各回16名 
応募方法:Peatixにてお願いいたします。
※料金(材料費、講習費、実食分)の費用となります。
持ち物等:手拭き、筆記用具、エプロン
注意事項:当日は記録のため撮影が入ることがございます。ご同伴者がいらっしゃる場合は、ご予約の際に備考欄へその旨をご記載ください。お料理によっては複数人での共同作業がございます。

Profile

茂田正和

Masakazu Shigeta

音楽業界での技術職を経て、2002年より化粧品開発者の道へ。皮膚科学研究者であった叔父に師事し、肌にやさしい化粧品づくりを追究する中で、健やかな美しさにとっては五感からのアプローチも重要と実感。2017年、スキンケアライフスタイルを提案するブランド『OSAJI』を創立、ブランドディレクターに就任。2022年には、香りや食から心身を調律するOSAJIとレストランの複合ショップ『enso』(鎌倉・小町通り)を手がけ話題に。同年9月、初の著書『42歳になったらやめる美容、はじめる美容』(宝島社)を出版。2023年は、日東電化工業のめっき技術を活かした器ブランド『HEGE』のプロデュース、そして日東電化工業より分社化された株式会社OSAJIの代表取締役に就任と、自身にとって大きなターニングポイントの年となった。

Instagram : @masakazushigeta
https://shigetanoreizouko.com/

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