「オウチノ道具」山口裕子さん vol.1

こんにちは。東京・代々木公園の近くで「オウチノ道具」という器屋をしています山口裕子と申します。
6月の「器店主の朝ごはん」のコラムを担当させていただきます。

はじめに「器店主の朝ごはん」という企画をいただいたとき、「えっ、私に！？」という驚きとともに、少し戸惑いもありました。
というのも、朝はほとんどの日がコーヒーのみです。そんな私がこの企画を受けていいのか…。
担当者の方に相談をしてみて、、、少し違った切り口でならかたちにできるかな思い、挑戦してみることに決めました。

”現実”の朝ごはんと”空想”の朝ごはん。
ふたつの朝ごはんと愛用している器の紹介、私なりのコラムをお届けできたらと思います。
1ヶ月間、どうぞよろしくお願いいたします。

○ 現実の朝 ○︎

今朝のコーヒーは、うすだなおみさんの片口とマグカップで。
まだ薄暗い、早朝のしんとした静けさと少し冷たい空気感が、活動前の朝にぴったりな ”木立” シリーズ。
うすださんは、何もない空を背に立つ木々の姿が大好きとのこと。とくに、降る雪にかすむ木々のシルエットには特別な美しさを感じ、季節がめぐるたびに新鮮な気持ちになるそうです。そんな風景を思い浮かべながら作られた作品です。

コーヒーは近所のコーヒー屋さんで豆を挽いてもらっています。
コーヒースプーンは、三谷龍二さんのもので20年ほど愛用しています。すくう部分がコーヒー色に染まって、いい雰囲気に育っています。
スプーンを置いた小皿は、遠藤薫さんの ”soyogi” シリーズ。消え入りそうな染め付けに、どこか色気と儚さを感じる作品です。

朝、東からの光が入らない、少し薄暗いわが家のキッチン。そのほの暗さが’木立’の雰囲気と重なって、薄暗い朝のキッチンもいいものだなと思わせてくれます。

○○ ︎ 空想 ○○ もしも、朝ごはんを作るなら。。

ぱんの朝ごはん。
トーストの上に目玉焼きを乗せた「ラピュタぱん」と付け合わせに菜花のオイル蒸しとプチトマト。

調理前の菜花。。。グリーンの小さなブーケのような様子がかわいかったので、レースのお皿にのせてみました。こちらは鈴木しのぶさんのもの。

たっぷりのオリーブオイルとお塩で蒸し煮に。菜花のほろ苦さとオリーブオイルの香りがよく合います。春に必ず作る一品です。

トーストはカリッと香ばしく焼いて。その上に乗せた目玉焼きの熱で、少しふにゃっとなったパンに、半熟の黄身をとろりと絡めながら食べるのが好きです。菜花のオイル蒸しに絡めても美味しいです。

プレートは蒲原麻美さんのもの。弁柄でラフに描かれた鳥がずらりと並んでいます。蒲原さんの作品は、どこか抜けたような愛嬌があります。食べ進めていくと、少しずつ鳥が現れるのも楽しいです。
同じくラフさと愛嬌がある真鍮のカトラリーは、木翠さんのもの。こちらのモチーフも鳥、鳥の足のようなフォークがユニークです。
ナイフは未定番品、クラフト市で購入しました。

マグカップは、伊藤叔潔さんのもの。少し口をすぼめた形と小さな持ち手のバランスがたまらなくかわいいです。
こっくりと艶やかな飴釉は、蒲原さんのプレートとよく合っていて、お気に入りの組み合わせです。
伊藤さんのマグカップやそのほかの作品は、白磁のものが夏ごろ？秋ごろ？入荷予定になっています。

【愛用の器】
○ 現実
・片口、マグカップ　うすだなおみさん
・小皿　遠藤薫さん
・コーヒースプーン　三谷龍二さん

○︎ 空想
・プレート　蒲原麻美さん
・マグカップ　伊藤叔潔さん
・カトラリー　木翠さん

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