〜老化リスクの高い夏に基本のタンパク質をしっかり摂る“鶏肉の献立”〜 茂田正和さんの食べる美容 料理教室レポートvol.8レポート【後編】

食べる美容 料理教室
2025.08.14

健やかで美しい肌を保つライフスタイルをデザインする、化粧品『OSAJI』のブランドディレクター 茂田正和さんは、プロの料理人も思わず唸るほどの料理の腕前の持ち主。著書『食べる美容』(主婦と生活社)では、季節ごとの肌悩みをケアする美容養生食を提案し、レシピ作成から調理まで担当。そんな茂田さんが自ら講師を務める料理教室が合羽橋の『釜浅商店』イベントスペースでスタート! 耳寄り情報満載のレクチャーの様子を、不定期連載にてお届けします。



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味わいや香りで五感を研ぎ澄ませながら、季節ごとに起こりがちな肌ダメージのケアに役立つ素材を食から取り入れていく“美容食養生”を学べる茂田正和さんの料理教室。

第8回目のテーマは、紫外線でダメージを受けた肌の修復に欠かせないタンパク質を、効率良く補給できる鶏肉を使った献立。後編では、鶏出汁で炊く主食の炊き込みご飯と、夏が旬の茄子に鶏挽き肉を合わせた副菜の調理の様子をお届けします。

 

鶏出汁生姜飯


鶏もも挽肉を鍋に入れ、水を少しずつ加えながらヘラでかき混ぜて挽肉が完全にほぐれたら弱火にかける。混ぜながら中火にして沸騰したら火を止め、アクは引かずにざるで漉し出汁をとる(ざるに残った挽肉は、次の茄子を使った副菜に使用)。


今回の献立の中でも、タッカンマリと鶏出汁生姜飯の2品は火加減の調整が美味しい仕上がりの重要なポイント。

「タッカンマリの手羽先を煮込むときは強火にします。というのも、タンパク質は加熱すると凝固する性質があるので、肉の旨みが逃げないようすばやく閉じこめるためです。逆に、この鶏出汁生姜飯で鶏もも挽肉から出汁を取る時は、弱火でゆっくりとかき混ぜることであえて旨みが外に出るようにしています」


鍋に米と鶏出汁を入れ、少量の塩麹を加えて混ぜてから千切りにした生姜をのせる。木蓋を乗せた鍋を中弱火にかけ、沸騰したら弱火に切り替えて10分炊いたら火を止め、10分蒸らして完成。

ご飯を炊くのに使用したのは、茂田さんがプロデュースした錆びに強い表面処理が施された直火可能な器「HEGE」。アルミ鍋としても使えて、オリジナルのさわら木蓋付きのセットで2合の白米が約20分で炊けます。


胃腸の働きを活発にして消化を助けてくれる生姜の爽やかな香りと鶏出汁の旨みを纏ったご飯は、主菜のタッカンマリ、副菜2品とも好相性。タッカンマリのスープとご飯を混ぜて食べたり、タッカンマリに添えたニラキムチをトッピングしたりと、いろいろな食べ方を楽しめます。

「今日は出汁を取るのに鶏もも挽肉を使いましたが、よりさっぱりとした味わいやタンパク質の多さを重視するなら、鶏むね挽肉を使っても良いと思いますよ」

 

鶏ひき肉と茄子の黒酢マリネ


今回は、色、ツヤ、実の太りと三拍子揃った愛知県豊橋産の美しい石田茄子を使いました。


フライパンにやや多め、大さじ4の太白ごま油を引いて温めてから、茄子を皮目が上になるようにのせて揚げ焼きに。しっかり焼き色がついたら、ボウルに移しておく。

フライパンに大さじ1の太白ごま油を引き、鶏もも挽肉(鶏出汁生姜飯で作った出汁の出し殻)を入れ、みじん切りにした生姜、ニンニク、長ネギを加えて弱火で炒める。



鶏もも挽肉と香味野菜のみじん切りがよく混ざったら火を止めて、黒酢、醤油、蜂蜜を合わせたマリネ液を加えて混ぜ合わせ、茄子にかけて全体をなじませてから器に盛り付けて完成。


摂取したタンパク質は、体内でアミノ酸に分解されて毛細血管によって各細胞に運ばれ、肌に届けばコラーゲンの合成に使われる。つまり、タンパク質、アミノ酸、コラーゲン、どれを食べたり飲んだりしても、体内に入ってからの働きはほぼ同じと言えるのだそう。

「1日に必要なタンパク質量をいっぺんに摂るのはなかなか大変ですよね。なので、いろんな料理からタンパク質を摂る、あるいはスープや飲み物からアミノ酸やコラーゲンで摂るなど、随処で美味しく摂ることも消化や吸収を良くするポイントです。鶏肉はタンパク質を効率的に摂れる食材ですが、白身魚や海藻もタンパク質が豊富なのでぜひ取り入れてみてください」

茂田さんのお話によると、美容食養生はその季節の肌悩みをケアするだけに留まらず、次にやってくる季節の肌悩みを起こりにくくして、通年で強く健やかな肌を育んでいけるインナーケアメソッド。

「今回のテーマである“1日に必要なタンパク質量”を毎日きちんと摂れるようになると、わりと短期間で肌の感触が変わるのを実感する方は多いです。ダメージの修復が円滑になるのでハリや弾力が維持されやすくなり、細胞がしっかりすれば肌の保水力も上がって、湿度が急激に下がる秋からの乾燥予防も可能に」

多湿から乾燥へ、夏から秋の季節またぎは肌にとってとくに負担が大きいので、今回の献立を参考に美容食養生を楽しみながらスキンケアの手応えを高めていきたいですね!



photo:小松原英介 text:石塚久美子

 

『HEGE』直火鍋φ250直火鍋 

『食べる美容』


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【食べる美容 料理教室 Vol.09 開催概要】
9月|旬の木の子からうるおいのもとをチャージする献立
外から化粧水でいくら水分を与えても、肌にそれを保持する力がなければ、思ったように肌水分量は上がりません。木の子に豊富に含まれるアミノ酸は肌の中で水分保持に役立ち、同じく木の子に含まれるミネラルはその水分を閉じ込めるために必要な油分の合成を高めてくれます。今回は、乾燥時期に向けてそんなアミノ酸とミネラルを効率よく摂れるレシピをご紹介します。

食材 / 木の子

献立
・木の子とうなぎのビリヤニ
・海老とマッシュルームのマサラカレー
・エリンギのソテー サフラン風味
・白キクラゲとココナッツのぜんざい

開催日時
2025年9月27日(土)11時〜13時30分 / 16時〜18時30分
講師:OSAJIブランドディレクター / 茂田 正和
開催場所|釜浅商店(包丁売場4Fイベントスペース) 東京都台東区松が谷2丁目24−1
受講料:10,000円(税込)ドリンクご利用分は別途頂戴いたします。
定員:各回16名 
応募方法:Peatixにてお願いいたします。
※料金(材料費、講習費、実食分)の費用となります。
持ち物等:手拭き、筆記用具、エプロン
注意事項:当日は記録のため撮影が入ることがございます。ご同伴者がいらっしゃる場合は、ご予約の際に備考欄へその旨をご記載ください。お料理によっては複数人での共同作業がございます。

Profile

茂田正和

Masakazu Shigeta

音楽業界での技術職を経て、2002年より化粧品開発者の道へ。皮膚科学研究者であった叔父に師事し、肌にやさしい化粧品づくりを追究する中で、健やかな美しさにとっては五感からのアプローチも重要と実感。2017年、スキンケアライフスタイルを提案するブランド『OSAJI』を創立、ブランドディレクターに就任。2022年には、香りや食から心身を調律するOSAJIとレストランの複合ショップ『enso』(鎌倉・小町通り)を手がけ話題に。同年9月、初の著書『42歳になったらやめる美容、はじめる美容』(宝島社)を出版。2023年は、日東電化工業のめっき技術を活かした器ブランド『HEGE』のプロデュース、そして日東電化工業より分社化された株式会社OSAJIの代表取締役に就任と、自身にとって大きなターニングポイントの年となった。

Instagram : @masakazushigeta
https://shigetanoreizouko.com/

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