〜旬の木の子からうるおいのもとをチャージする献立〜 茂田正和さんの食べる美容 料理教室レポートvol.9レポート【前編】

食べる美容 料理教室
2025.10.26

健やかで美しい肌を保つライフスタイルをデザインする、化粧品『OSAJI』のブランドディレクター 茂田正和さんは、プロの料理人も思わず唸るほどの料理の腕前の持ち主。著書『食べる美容』(主婦と生活社)では、季節ごとの肌悩みをケアする美容養生食を提案し、レシピ作成から調理まで担当。そんな茂田さんが自ら講師を務める料理教室が合羽橋の『釜浅商店』イベントスペースでスタート! 耳寄り情報満載のレクチャーの様子を、不定期連載にてお届けします。


 

長年の化粧品開発者としての経験から、「化粧品だけであらゆる人の肌をキレイにするのは限界がある」と感じた茂田さん。その突破口は、普段から口にして体を内側からつくっている食との併走にあると気づき、数年前から得意とする料理で美容食養生を伝えるアプローチをスタートしました。

2クール目となるこの料理教室では、季節ごとの肌悩み解決に有用な「食材のアレンジ術」と、「食で旅に出る」をテーマに展開。9月末に開催された今回は、「木の子」で乾燥シーズンに備えてうるおいをチャージ、そして血流を促してくれるスパイスをたっぷり使い、参加者の皆さんとインドを旅しているようなムードに浸りました。


献立のラインナップは、調理をした木の子とうなぎのビリヤニ、海老とマッシュルームのマサラカレー、エリンギのソテー サフラン風味の3品、デザートにやさしい甘さの白キクラゲとココナッツのぜんざいを提供していただきました。

「今日のテーマ食材は木の子です。人間の体のしくみって、本当に自然と上手く連動していまして。紫外線が強くなり始める4月末とか、ゴールデンウィーク前あたりからは抗酸化力の高い山菜が旬を迎えて、その山菜を食べることで体内から紫外線ダメージに備えることができます。5月には、カリウムをはじめ体内の水分の巡りを促してくれる栄養素を豊かに含んだ海藻がたくさん獲れるようになり、湿度が高くなる梅雨に備えた献立に役立ってくれます。そして木の子は、秋の旬。たくさんの食物繊維とアミノ酸を含んでいる食材です。体の中に入ったアミノ酸は毛細血管を通じて肌に届き、ターンオーバーを繰り返す角層において、角質細胞が水分を抱え込むためのスポンジを作ってくれます」


湿度が高く、発汗や皮脂分泌によって肌がベタづきがちな夏場は乾燥を自覚しにくいもの。しかし9月から10月で気温が下がり汗をかかなくなると、実は夏の紫外線ダメージで角質細胞がスカスカで水分を保持できない状態になっているため、急にカサつきを感じ、また乾燥によるキメの乱れが肌のくすみ感に繋がるという、秋から増える肌悩みのメカニズムを冒頭で茂田さんが詳しくレクチャーしてくれました。

 

エリンギのソテー サフラン風味

今回作ったエリンギのソテーは、主菜のカレーに合うような、インドや南アジアの国々で食べられているスパイスを使った漬物「アチャール」にインスパイアされたレシピ。



まずはボウルにレモンを絞り、サフラン、ヨーグルト、塩麹、ハチミツ、おろしニンニクを入れて混ぜ合わせてから、最後に太白ごま油を入れてマリネ液を用意。


割いたエリンギをバットに並べたら、マリネ液を注いで菜箸などでエリンギをひっくり返してよく絡め、ラップを落とし蓋にして10分ほど漬ける。漬けたエリンギは、太白ごま油を薄く引いたフライパンに並べて、油に少し馴染ませてから点火して中火に。ふつふつとしてきたら弱火にし、時々裏返しながら火を通す。


漬け物感覚のこのソテーは一旦冷ました方が美味しいので、お皿に盛り付けたら食べるまでラップをかけて置いておくか、冷蔵庫に入れても。


「今回作ったヨーグルトベースのマリネ液は、木の子以外の具材だと、鶏肉を漬けるのもおすすめです。ジップロックにこのマリネ液と鶏肉を入れて漬け込み、バーベキューに持参して強火で焼くと美味しいタンドリーチキンが出来上がります」

 

木の子とうなぎのビリヤニ



アミノ酸が豊富な木の子と、タンパク質が豊富なうなぎをプラスしたインド風の炊き込みご飯、ビリヤニ。インドのビリヤニはバスマティライスが定番ですが、今回のレシピでは誰でも扱いやすいジャスミンライスに。

「バスマティライスは1〜2分茹でてから保温器で蒸らすプロセスが必要なので、自宅での再現がちょっと難しいかなと。その点、ジャスミンライスは炊くだけでビリヤニに適したパラッとした仕上がりになります。ただ、炊く時の鍋選びは重要で、すぐに沸騰する熱伝導の早いアルミ鍋などがおすすめです。逆に日本米を炊く時は、熱伝導のゆっくりな土鍋や鋳物のご飯釜を使うと、お米が水分をたっぷりと含み粘り気が出るので、もっちりふっくらとした炊き上がりになるんです」

お米の種類と鍋の種類を合わせると、料理とベストマッチな、具材の美味しさがより引き立つ炊き上がりが叶うことがわかりました。というわけで今回は、茂田さんプロデュースの直火にかけられるアルミ製の直火にかけられる食器 “HEGE” を使ってビリヤニを作りました。


ボウルに舞茸、エリンギ、しめじを入れてから、ヨーグルト、みりん、醤油、おろし生姜、おろしニンニクを加えて混ぜあわせて下味を付ける。


鍋にジャスミンライスと水を入れ、シナモンスティック、クミン、コリアンダー、ターメリック、カルダモンホール、塩を入れて最後に太白ごま油を入れて軽くかき混ぜて馴染ませて。上から下味をつけたキノコ、食べやすい大きさに切ったうなぎの蒲焼きをのせ、蓋をして中火にかける。

「今回はうなぎの蒲焼きを使っていますが、さっぱりと食べたい場合は白焼きでも良いです。スパイスについては、シナモンスティックはマストではないのですが、うなぎの土臭さが消えるのでおすすめです。最後に加える太白ごま油も入れなくても問題ありませんが、加えることでお米がコーティングされてよりパラッと炊けますよ」


鍋が沸騰したら弱火にして10分炊いた後、火を止めて10分蒸らして完成。仕上げにミントを散らしていただきます。木の子のまろやかな味わいとうなぎの蒲焼の甘味で、スパイスを使っていてもやさしい味わいのビリヤニは家族でも食べやすそうなひと皿でした。

「ビリヤニにはターメリックを使いましたが、エリンギのソテーで使ったサフランを使って木の子の炊き込みご飯を作るのもおすすめです。サフランは少量で十分に風味付けできるので残ったぶんの使い道に悩む方も多そうですが、僕はよくサフランを入れた生クリームで和えたムール貝のパスタを作ります。サフランの風味はムール貝と相性抜群、家の子供達も大喜びする美味しさなので一度試してみて欲しいです」

 

→【後編】へ続きます

photo:小松原英介 text:石塚久美子

 

『HEGE』直火鍋φ250(木蓋付き)セット

『食べる美容』


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Profile

茂田正和

Masakazu Shigeta

音楽業界での技術職を経て、2002年より化粧品開発者の道へ。皮膚科学研究者であった叔父に師事し、肌にやさしい化粧品づくりを追究する中で、健やかな美しさにとっては五感からのアプローチも重要と実感。2017年、スキンケアライフスタイルを提案するブランド『OSAJI』を創立、ブランドディレクターに就任。2022年には、香りや食から心身を調律するOSAJIとレストランの複合ショップ『enso』(鎌倉・小町通り)を手がけ話題に。同年9月、初の著書『42歳になったらやめる美容、はじめる美容』(宝島社)を出版。2023年は、日東電化工業のめっき技術を活かした器ブランド『HEGE』のプロデュース、そして日東電化工業より分社化された株式会社OSAJIの代表取締役に就任と、自身にとって大きなターニングポイントの年となった。

Instagram : @masakazushigeta
https://shigetanoreizouko.com/

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