〜旬の木の子からうるおいのもとをチャージする献立〜 茂田正和さんの食べる美容 料理教室レポートvol.9レポート【後編】

食べる美容 料理教室
2025.10.27

書籍『食べる美容』(主婦と生活社)を手にした人にとっては、著者である茂田正和さんから食材アレンジ術や調理のコツを直に学べるだけでなく、美容に役立つ皮膚科学や香粧品科学のお話も聴ける、一粒で二度美味しい体験が待っているユニークなお料理教室。

リピーター多数の2クール目、第9回目のテーマ食材は秋の旬 “木の子” 。後編では、主菜の海老とマッシュルームのマサラカレーの調理の様子、美容食材と言われる白キクラゲを使ったデザートについてレポートします!

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秋から冬にかけてのお肌の二大悩み、乾燥とくすみをケアすべく今回フォーカスしたのが、アミノ酸を多く含み肌にうるおいをチャージしてくれる木の子と、血流を促すのに役立つスパイスたっぷりなカレー。

「血流が悪い状態で肌をいくら保湿しても、根本的には乾燥肌から脱せません。そして乾燥肌の状態で、くすみを払おうと温めケアをしても血色がよく見えるのはケア直後だけなんです。やはり、食による内側からの働きかけは必要不可欠なんです。ということでカレーづくりは、いわゆるカレー粉ではなく、血流促進に良いとされるクミン、コリアンダー、ターメリックを1:1:1で混ぜたミックススパイスを使います」

 

海老とマッシュルームのマサラカレー

強火で温めたフライパンに太白ごま油を引き、軽く塩を振った海老を身が下になるようにのせて中火で焼く。香ばしい香りとともに焼き色がついたらバットに一旦移し、同じフライパンにみじん切りにした玉ねぎを入れて軽く塩を振って炒める。


「フライパンに残っている海老の焦げは“旨み調味料”の役割を果たしてくれるので、海老は表面が軽く焦げるまで炒め、その焦げを玉ねぎに和える要領で炒めるとより深みのある味わいに仕上がります」



玉ねぎが飴色になったら弱火にし、おろしたニンニクと生姜を加えて炒めたら、半分にカットしたマッシュルームを入れてさらに炒める。マッシュルームに適度に火が通ったら、ミックススパイス(クミン、コリアンダー、ターメリック)とスモークパプリカパウダーを加えて混ぜ合わせ、すりおろしたトマトを入れて強火で炒める。

「トマトを入れた後は、しっかり火を入れてペースト状になるまで水気を飛ばすことで酸味が和らいでまろかな仕上がりになります。スモークパプリカパウダーは僕のお気に入りのスパイスで、本来はスペインのパエリアなどに使われる調味料ですが、かつお節のようなニュアンスが加わって風味に奥行きが出るんです。辛味が欲しい方は、ここにカイエンペッパーやチリペッパー、ホットペッパーを加えてください」


おろしトマトがペースト状になったら、ココナッツミルクと水、塩麹、塩を加え、バットに移しておいた海老を戻して弱火で10分ほど煮込んで完成。盛り付けの最後にパクチーを散らしていただきます。

「海老や牡蠣のような身がプリッとした具は、身が縮みすぎないよう低温で短く煮るのも美味しい仕上がりのポイント。沸騰しきらない、90℃くらいが理想的です」


木の子に含まれるアミノ酸は、肌にうるおいを与えるだけでなく、料理の旨みをアップする働きも。また、このカレーで使ったマッシュルームは、タンパク質を多めに含む木の子。海老とともにタンパク質をチャージすることで細胞の土台をしっかりさせてくれます。

「タンパク質はアミノ酸が鎖状になって構成されています。なのでアミノ酸を直に摂ることは消化の負担が減って吸収されやすく、素早く肌のうるおい力を高めたい時に有効です。ただ、タンパク質の充実は健やかな体づくりにとって必須です。自分に必要な1日のタンパク質量が毎日満たされるようになると、肌の水分保持機能も1〜2週間で変化を感じる方が多いです」

1日に必要なタンパク質量の算出方法は、〜老化リスクの高い夏に基本のタンパク質をしっかり摂る“鶏肉の献立”〜 に詳しい解説があるのでぜひチェックしてみてくださいね。



白キクラゲとココナッツのぜんざい


白キクラゲを使った薬膳風デザートは、冷やしていただくのが美味しいということで、今回は完成したものをいただきました。もっちりとした白玉&コリコリとした白キクラゲが織りなす食感のコントラストを、ハチミツで甘みをつけたココナッツミルクのまろやかさが包み込み、いくらでも食べられそうな美味しさでした。



薬膳の世界では体に必要なうるおいを生み出す食材として有名な白キクラゲは、植物性コラーゲンを豊富に含み、化粧品の原料としても良く使われるそう。

「白キクラゲは、ネットで探すとわりとお手頃に買えますよ。デザートの他には、お吸い物やスープに入れても良いし、酢の物にすればご飯のお伴やお酒のつまみにもなります」


この料理教室では、毎回ソムリエの方がセレクトしたお酒が並びます。今回も日本酒をはじめ料理に合うちょっぴりスパイシーなワイン各種、インド料理といえばラッシーということでお酒版ラッシーのようなクラフト酒などがズラリ。もちろんノンアルコールドリンクも揃っていて、沖縄ハーブのシロップを使ったチャイや、ライチの香りを付けてラッシー風にアレンジした甘酒と、説明を聞いているだけで好奇心をそそられるラインナップでした。


次回は、より厳しくなる乾燥対策として、テーマ食材は肌のバリア機能を強化してくれる「卵」で決定。そしてインドから中国へと旅立ち、茂田さん流の中華料理が味わえます。毎冬のようにカサカサ肌に悩まされている方にとって、好機となりそうな回をお楽しみに!

photo:小松原英介 text:石塚久美子

 

『HEGE』直火鍋φ250(木蓋付き)セット

『食べる美容』


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【食べる美容 料理教室 Vol.10 開催概要】
11月|卵のチカラでうるおいを逃さず閉じ込める献立
健康の面から忌み嫌われるコレステロールですが、コレステロールは肌のうるおいを閉じ込める脂質の原料となるものです。そのため、過剰に制限してしまうと、肌は乾燥しつっぱりやカサつきの原因となってしまいます。一方で摂取したコレステロールが体の中で悪玉化し、健康に悪影響を与えないためには、食べ合わせがとても重要。今回はそんなコレステロールをうまく取り入れたレシピを紹介します。

食材 / 卵

献立
・南禅寺蒸 中華あんかけ
・鱈子と小葱のサラダ
・平焼春巻
・牡蠣の蒸しご飯

開催日時
2025年11月29日(土)11時〜13時30分 / 16時〜18時30分
講師:OSAJIブランドディレクター / 茂田 正和
開催場所|釜浅商店(包丁売場4Fイベントスペース) 東京都台東区松が谷2丁目24−1
受講料:10,000円(税込)ドリンクご利用分は別途頂戴いたします。
定員:各回16名
応募方法:Peatixにてお願いいたします。
※料金(材料費、講習費、実食分)の費用となります。
持ち物等:手拭き、筆記用具、エプロン
注意事項:当日は記録のため撮影が入ることがございます。ご同伴者がいらっしゃる場合は、ご予約の際に備考欄へその旨をご記載ください。お料理によっては複数人での共同作業がございます。

Profile

茂田正和

Masakazu Shigeta

音楽業界での技術職を経て、2002年より化粧品開発者の道へ。皮膚科学研究者であった叔父に師事し、肌にやさしい化粧品づくりを追究する中で、健やかな美しさにとっては五感からのアプローチも重要と実感。2017年、スキンケアライフスタイルを提案するブランド『OSAJI』を創立、ブランドディレクターに就任。2022年には、香りや食から心身を調律するOSAJIとレストランの複合ショップ『enso』(鎌倉・小町通り)を手がけ話題に。同年9月、初の著書『42歳になったらやめる美容、はじめる美容』(宝島社)を出版。2023年は、日東電化工業のめっき技術を活かした器ブランド『HEGE』のプロデュース、そして日東電化工業より分社化された株式会社OSAJIの代表取締役に就任と、自身にとって大きなターニングポイントの年となった。

Instagram : @masakazushigeta
https://shigetanoreizouko.com/

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