【おひとりさま外食③】自由な街のエネルギーをもらう

おひとりさま外食
2026.01.07

2026年最初の特集は【おひとりさま外食】をテーマにお届けしています。

ひと口に【おひとりさま外食】といっても、状況はさまざま。「自分の気持ちにフィットするお店を選ぶと、ひとり時間が充実する」と話すのは、飲食コンサルタントのサカキシンイチロウさん。この特集では、サカキさんの著書『大人の東京おひとりさま外食』(主婦と生活社刊)から、【おひとりさま】にやさしいお店を、4つのシチュエーションにわけてご紹介します。


【situation3_ガヤガヤ外食】
にぎやかなお店でエネルギーを
感じながら元気をもらう
ビア&カフェベルク

新宿で一軒だけお店に寄れる時間があるのだけれど、どこに行けばいいですか? そう質問されたら答えは一択。「ベルクに行ってごらんなさい!」

理由は新宿という街を感じるのに、ここほどいい場所はないと思うから。観光地であり、歌舞伎町という歓楽街をもち、西新宿という世界有数のオフィス街をもつ街でもある。毎日350万人が乗降する利用者数世界一の駅があり、日本一の売上高を誇る伊勢丹という百貨店もある。にぎやかな街。いろんな人が集まる街で、自由な空気で満たされた街。そんな新宿をギュッと縮めてお店にしたらベルクができる。

観光客も来ます。仕事や買い物で新宿を訪れた人も来るし、新宿で働く人もやってくる。なんの目的もなくふらっと街に来る人もいて、なかにはこの店に来ることを目的に新宿に来た人もいる。おひとりさまも目立ちます。

駅の改札口の近くにあります。お店の前の通路をひっきりなしに人が通り抜け、お店もにぎやか。50人も入ればいっぱい。小さなお店にぎっしり人が詰め込まれたような状態になります。ひといきれでお店の外より温度は高く、酸素濃度が低く感じるほどににぎやか。テーブルとテーブルの間は狭く隣は近い。
と、こう書くと、そんな居心地悪そうなお店はイヤ……、って思うでしょう?
でもこれが不思議なほどに居心地がいいんです。明るい雰囲気。自由な空気。みんなリラックスしていて笑ってるのネ。話もはずんで声も自然と大きくなって、BGMもかき消されそうになるのに不思議とうるさくない。どういえばいいのかなぁ……。たとえばパーティーに来ている感じ。「Day in SHINJUKU」だとか「SHINJUKU Night」とかって名前のパーティーに参加しているようなワクワク感を味わえるんです。


なにしろビールがうまくて安い!

セルフサービスのお店です。コーヒーにビール、ホットドッグにサンドイッチがメインのメニュー。朝早くから夜遅くまでやっていて、例えば朝に来るでしょう? ビールを飲んでる人がいる。それもひとりやふたりじゃなくて、見わたすかぎりテーブルの上にビールグラスが並んでいるようなこともあるんです。なにしろビールがうまくて安い。朝食セットやランチセットにつくコーヒーを、ほんのちょっとの差額でビールに換えることができたりするから、ビールを目当てに訪ねる人もいる。

今日は仕事がお休みなのかなぁ……。朝からビールが飲めるってなんてしあわせなんだろうって思いながら、ぽってりとした泡が口に流れ込んでいくのを見ると、ボクまでしあわせな気持ちになる。スーツ姿で朝からビールを飲んでる人を見ると、上司にバレたらどうするんだろうってハラハラ。もしかしたらこれから大切なプレゼンテーションかなんかがあって、景気付けかもしれないなんて、理由をいろいろ妄想しちゃう。
24時間動き続ける新宿ですから、朝に仕事を終える人たちもたくさんいます。ついさっきまで飲んで騒いでいたに違いない色白男子や妖艶女子が、長かった夜の〆においしそうにビールを飲んでいたりするのも新宿らしい。
ひとりでいても飽きることがない楽しい店です。

ホットドッグは一流です。ソーセージがこの上もなくおいしいのです。材料、製法に一切の妥協なく作られたソーセージはパキッと折れてプチュンとはじけ、舌が溺れるほどのおいしいジュースを吐き出しながらゆっくりとろけてなめらかになる。ソーセージそのものがおいしいからケチャップやマスタードを必要としないほど。さっくり歯切れる軽い食感のドッグロールも、おいしいソーセージのための名脇役をつとめてくれる。
トッピングも豊富に揃っています。溶けるチーズやチリビーンズ。その両方をかけてチリチーズドッグなんて欲張ることもできるうえ、ハムやベーコンをトッピングするなんて贅沢もできちゃうんです。ハムやベーコンもおいしいのネ。特にグリルした厚切りベーコンの味は、それ一枚でビールをお代わりできてしまえるほどのおいしさ。食べた瞬間、おいしい脂が唇を撫でてひんやりさせるおごちそう。

小さなお店なのに、座るところで違った表情を見せてくれるところもステキです。L字型のレイアウト。L字の短辺のところにキッチン、レジカウンター。キッチンの向かい側にテーブルがあって、そこに座ると次々やってくるお客さまの様子や、キッチンでキビキビ働く人の様子を眺めることができるんですネ。お客さまが途切れることなくやってくるから、景色はめくるめくスピードで変わり続ける。退屈なんてしている暇がないほど楽しい。


座れたらラッキー 新宿イチの特等席

L字の長辺に当たる場所にはスタンディング用のカウンターとテーブル席。ここに座ると、落ち着きます。決して広くない空間。キッチン前に比べて照明も落ち着いていて、のんびりするのにいい雰囲気。スタンディング用のカウンターを好んで選ぶ人も多い。目の前が壁。だから気持ちを集中させるのにピッタリで、テーブル席が全部埋まっているときの避難場所にも重宝します。今日は新宿をどう攻略しようか……、なんて考えながら立って楽しむホットドッグやビールもおいしい。

L字の長辺、一番奥に4人がけのテーブルがあります。他のエリアと柱一本で隔てられたちょっと個室のようなテーブル。静かな時間に訪れて、もし空いてればその日一日はラッキーデー。予約が取れない有名店の予約が取れたときよりうれしい、新宿一のテーブルです。



この特集のナビゲーター・飲食コンサルタントのサカキシンイチロウさん。プライベートでも、朝昼お茶と1日2回以上、年間1000回もの外食をする“食いしん坊”さん。

 

撮影:黒川ひろみ

 

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\【おひとりさま】にやさしいお店をご紹介しています!/


定価:1980円(税込)
amazon / 楽天ブックス

 

著者:サカキシンイチロウ
撮影:黒川ひろみ・有馬貴子
デザイン:天池聖
マップ製作:重志保
協力:森有貴子
校閲:文字工房燦光
主婦と生活社刊

ビア&カフェ ベルク
東京都新宿区新宿3-38-1 ルミネエストB1

電話◉03-3226-1288
営業◉7時~23時
定休日◉館の休業日による
チリドッグ 528円 
生ビール 429円
◎おひとりさま ◎ふたりで △大勢で

 

Profile

サカキシンイチロウ

Shinichiro Sakaki

1960年愛媛県松山市生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業後、店と客をつなぐコンサルタントとして1000社にものぼる地域一番飲食店を育成。語学力と行動力と豊富な知識で戦略を展開する。飲食店の経営のみならず、食全般に関するプロデュース、アドバイスを主な業務として活躍中。著書に『おいしい店とのつきあい方。』(角川文庫)などがある。毎日更新しているブログ「サカキノホトンブ」やnoteでも発信中。

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