〜青魚の栄養素でくすみの原因をトリプルブロックする献立〜 茂田正和さんの食べる美容 料理教室レポートvol.11【前編】
健やかで美しい肌を保つライフスタイルをデザインする、化粧品『OSAJI』のブランドディレクター 茂田正和さんは、プロの料理人も思わず唸るほどの料理の腕前の持ち主。著書『食べる美容』(主婦と生活社)では、季節ごとの肌悩みをケアする美容養生食を提案し、レシピ作成から調理まで担当。そんな茂田さんが自ら講師を務める料理教室が合羽橋の『釜浅商店』イベントスペースでスタート! 耳寄り情報満載のレクチャーの様子を、不定期連載にてお届けします。
気温と湿度が下がる冬の間、肌が陥りやすい2大不調は“血流の低下と乾燥”。気温は2月の立春を過ぎた頃から少しずつ上がり始めるものの、運動習慣の少ない人は冷えを体に溜目込みがちで、室内外の空気の乾燥は3月いっぱいまで続きます。今回は、このような時期に最も表面化しやすい肌悩み“くすみ”にフォーカス!
まずは、化粧品開発者としてさまざまな肌悩みと向き合ってきた茂田さんによる、角層の状態と視覚的な美肌感の関係性についての解説からスタートしました。

「冬のくすみの原因は大きく分けて3つありまして。1つめは、乾燥によって肌の光反射が悪くなること。角質細胞はもともと灰色で、水分を抱えることで光の反射が良くなって透明に見えているだけなので、乾燥するほどくすんで見えるようになります。アカスリなんかをすると、出てきたアカって灰色ですよね。あれは汚れとかではなく、水分が抜けて角質細胞本来の色が見えているだけなんです。そして2つめは、加齢も絡んできますがターンオーバーの遅れによって春夏でわっと増えたメラニンが溜まってしまうこと。3つめは、冷えによる血行の低下で血色が悪くなることです。それで、今回のテーマ食材である鯵をはじめとした青魚は、これら3つのいずれにもアプローチできる栄養素、オメガ3脂肪酸を非常に豊富に含んでいるんです」

「ひとつめの乾燥によるくすみは、化粧品で保湿することが直接的で即効性のあるケアです。ターンオーバーの停滞にはピーリング、血行不良にはマッサージなど、外からできる方法もありますが、やり方を間違えると、かえって肌にダメージをあたえてしまうこともあり、食べ物で内側からケアすることは、安全で確実な方法です。」
青魚に含まれるDHAやEPAといったオメガ3脂肪酸は、血液サラサラ効果で知られ、脳や眼の働きを良くしたり、コレステロールが悪玉化しないためにも重要な働きを担っている栄養素。血流を良くし、それによってターンオーバーも促してくれます。
「水分保持能力の高い健やかな細胞を作り出し、ターンオーバーの乱れを正常に導くにはタンパク質をしっかり摂ることも大事なので、その点からも青魚は良質なタンパク質を含む理想的な食材なんです」と、茂田さん。
というわけで今回の献立の内容は、春先から夏にかけてより手に入りやすくなる青魚、鯵を使った3品と、今が旬の鰆を使った1品。鯵と蕗のとうの押し寿司、鯵出汁にゅうめん、鯵のさんが焼き、鰆の青さ蒸しを作りました。

鯵と蕗のとうの押し寿司
主菜にも主食にもなる、見た目も華やかな押し寿司。酢飯作りに使うのは、茂田さんプロデュースの鍋、HEGEです。調理器具としても、スタイリッシュな器としても使えるこの鍋は、酢飯作りに理想的な炊き上がりが叶う仕様なのだそう。

「酢飯作りは、後から寿司酢を加えることを考慮して、お米をぱらっと炊き上げておくとちょうど良い食感になります。お米の炊き上がりには鍋の熱伝導率が深く関係しているので、水分量多めのもっちりした炊き上がりにしたい時は、土鍋のように厚みのある熱伝導率の遅いものが適しています。その逆で、ぱらっと炊き上げたい場合は、薄めで熱伝導率の早い鍋がおすすめなんです。HEGEは薄くて軽いアルミ製なので熱しやすく冷めやすい。酢飯づくりは冷ます工程も必須なので、そういった意味でも非常に便利なんです」

昨年11月に、より焦げつきにくいセラミックコーティングにアップデートされたHEGE。桶に移す手間も要らず、木蓋は岐阜・東濃産の檜材で香り良く炊き上がります。

酢、砂糖、塩を合わせた寿司酢を、炊き上がったお米に加えて切るように混ぜる。全体に寿司酢が行き渡ったら、鍋肌に沿わせて平たく伸ばして濡れ布巾をかけて冷ます。

鯵は三枚におろし、キッチンペーパーで水気を取ってバットに並べる。塩、砂糖を全体に振ってなじませ、ラップをかけて冷蔵庫で20分ほど置いて水を抜いたら、流水で一度洗って再度キッチンペッパーで水気を取る。
「水抜きに使うのは塩のみでも良いのですが、少し生っぽく、みずみずしさを残したい時は砂糖も使ってあげると良いです。僕の中での黄金比は、塩の量が1なら砂糖が0.5くらいの比率。この比率で水抜きをすると、鯵の身の状態が寿司ネタとして非常に良い塩梅になると思います」

水抜きした鯵を再びバットに並べて、身が浸るまで酢を入れたら落としラップをして5〜10分ほど冷蔵庫で置く。
「鯵をしめるのも、酢飯づくりも、今回は全て飯尾醸造さんの富士酢を使っています。このお酢は本当に香りが良くて酢飯の仕上がりがぐっと良くなりますし、しめた魚の味も決まります」

立春を過ぎた頃から一斉に店先に並ぶ蕗のとうは、酢と水を入れたボウルに10分ほど漬けてアクを抜く。その後1分ほど下茹でし、酢と砂糖を入れたボウルに10分漬けたら水気を軽く絞って粗く刻む。


しめた鯵の皮を剥き、押し寿司の型に下処理をした鯵と刻んだ蕗のとうを並べて、上から酢飯を詰めていく。

蓋をしてしっかり全体に圧をかけて押したら、蓋を外して切れ込みに合わせ包丁を入れていく。


「鯵の下処理は、今日は念のため酢にしっかり5分漬けましたが、今の時期は鮮度が良いものも多いのでさっと酢にくぐらせる“酢洗い”でも表面の雑菌を落とせます。ほかの青魚、鯖とかは身の表面から中まで白っぽくなるくらいしっかり酢に漬けて、しめ鯖にして押し寿司にするのも美味しいですよ。ホームパーティでも喜ばれる一品なので、ぜひレパートリーに加えてください」。
→【後編】へ続きます
photo:小松原英介 text:石塚久美子
Profile
茂田正和
音楽業界での技術職を経て、2002年より化粧品開発者の道へ。皮膚科学研究者であった叔父に師事し、肌にやさしい化粧品づくりを追究する中で、健やかな美しさにとっては五感からのアプローチも重要と実感。2017年、スキンケアライフスタイルを提案するブランド『OSAJI』を創立、ブランドディレクターに就任。2022年には、香りや食から心身を調律するOSAJIとレストランの複合ショップ『enso』(鎌倉・小町通り)を手がけ話題に。同年9月、初の著書『42歳になったらやめる美容、はじめる美容』(宝島社)を出版。2023年は、日東電化工業のめっき技術を活かした器ブランド『HEGE』のプロデュース、そして日東電化工業より分社化された株式会社OSAJIの代表取締役に就任と、自身にとって大きなターニングポイントの年となった。
Instagram : @masakazushigeta
https://shigetanoreizouko.com/
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