ハロウィンにかぼちゃのパウンドケーキを作ろう

1週間特集 高石紀子さんのお菓子レシピ
2017.10.27

お菓子研究家・高石紀子さんに聞く
“初めてでも失敗しないお菓子”の作り方 第5回


吹く風が急に秋めいてきて、お菓子を作ったり食べたりするのが楽しい季節になりました。今回は新刊『365日のクッキー』(主婦と生活社)を上梓したばかりのお菓子研究家・高石紀子さんに、初めてでも失敗しないお菓子作りのこつを伺います。最終回のテーマは、ハロウィンにぴったりの「かぼちゃのパウンドケーキ」です。

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高石紀子さん
菓子研究家。甲南大学卒。ル・コルドン・ブルー神戸校でディプロムを取得したのちに渡仏。リッツ・エスコフィエで学び、ホテル・リッツ、ブレ・シュクレなどの人気店でスタージュを経験。帰国後はフランス菓子の料理教室、アパレルブランド向けのケータリング、通信販売などを手がける。くだもの使いが巧みなケークやサブレを得意とし、素朴ながら飽きの来ない、エバーグリーンなおいしいお菓子を追究する。著書に『やさしい甘さのバナナケーキ、食事にもなるキャロットケーキ』『365日のクッキー』(ともに主婦と生活社)。
http://norikotakaishi.com


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もうすぐハロウィン。ハロウィンといえばかぼちゃのお菓子ですが、パウンドケーキはいかがでしょうか?

「パウンドケーキはフランス語では『カトルカール』と言います。訳すと『四同割』という意味ですが、これはバター、粉、卵、砂糖という4つの主材料が、すべて同じ量で配合されていることに由来します」(高石さん)

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バナナケーキ、キャロットケーキと同じ、18cmのパウンド型で作れます。では、さっそく作ってみましょう。

 

ポイント1 パウンドケーキはバターが命!

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パウンドケーキは別名「バターケーキ」と言うほど、バターが重要なお菓子。できるだけおいしいバターを使ってください。

「シンプルな焼き菓子は、材料のおいしさがそのまま仕上がりに反映されます。パウンドケーキのようなバターが重要なお菓子では、発酵バターを使うことをおすすめします」

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発酵バターとは、バターに乳酸菌を加えて発酵させたもの。独特の香りがあって、これが焼き上がったときに風味の強さとなって表れるのです。決して安いものではないので無理にはおすすめしませんが、ぜひ一度試してみてください。

 

ポイント2 具材はペースト状にして生地に混ぜこむ

やわらかい野菜やくだものならば、ペースト状にすることで生地に混ぜこむことができます。

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「パウンドケーキに具材を加える方法は、小さく切ったものを混ぜこんで食感のアクセントにすることもありますが、ペースト状にすると生地全体に風味が行き渡って、まったく異なるお菓子みたいになります」

かぼちゃのパウンドケーキの場合、一部は1cm角に切りますが、残りは裏ごししてペースト状にしましょう。

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「電子レンジで加熱したら、こし器などでうらごしして、ハンドミキサーで生地に混ぜこみます。ハンドミキサーを使うので、とてもラクに一体化できます」

 

ポイント3 薄力粉は効率よく混ぜる

薄力粉を合わせるところでゴムべらに持ち替えます。前々回のバナナケーキや、前回のキャロットケーキでもおなじみの混ぜ方です。


「ふるっておいた薄力粉を加えたら、利き腕にゴムべらを持ち、もう一方の手でボウルを手前に回すのと同時に、ゴムべらをボウルの奥から手前へ、生地を底からすくうようにして返します。へらは寝かさずに、面でしっかり生地をとらえるようにしてください。この動きをリズミカルにくり返します」

これで生地は完成。あとは型に流して焼くだけです。

 

高石さんの著書『やさしい甘さのバナナケーキ、食事にもなるキャロットケーキ』では、さまざまなバナナケーキとキャロットケーキ以外に、くだものや野菜を使ったパウンドケーキも紹介しています。今回は本書より「かぼちゃのパウンドケーキ」のレシピを大公開! 上記のポイントを押さえつつ、楽しく作ってください。

 かぼちゃのパウンドケーキ
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【材料(18㎝パウンド型1台分)】
バター(食塩不使用) 70g
グラニュー糖 55g
かぼちゃ 90+70g
卵 L1個(60g)
A
|薄力粉 70g
|ベーキングパウダー 小さじ1/2
|シナモンパウダー 小さじ1/2
ブランデー(あれば) 大さじ1

【下準備】
・バターは常温(約25℃)にもどす。
・卵は常温(約25℃)にもどし、フォークなどで溶きほぐす。
・かぼちゃ90gは2~3㎝四方の薄切りにして耐熱性のボウルに入れ、ふんわりとラップをして電子レンジで2分30 秒ほど加熱する。やわらかくなったら、熱いうちにボウルで受けた万能こし器(またはざる)で裏ごしをして、ペースト状にする(正味60~65gになる)。
・残りのかぼちゃ70gは1㎝角に切る。耐熱性のボウルに入れてふんわりとラップをし、電子レンジで1分ほど加熱する。
・A は合わせてふるう。
・型にオーブン用シートを敷く。
・オーブンはほどよいタイミングで200℃に予熱する。

【作り方】
1 ボウルにバターとグラニュー糖を入れ、ゴムべらでグラニュー糖が完全になじむまですり混ぜる。

2 ハンドミキサーの高速で全体に空気を含ませるようにしながら2~3分混ぜる。

3 ペースト状にしたかぼちゃ60~65gを2~3回に分けて加え、そのつどハンドミキサーの低速で10秒ほど混ぜてから高速にしてさらに混ぜ、全体になじむまでしっかりと混ぜ合わせる。

4 卵を5回ほどに分けて加え、同様に混ぜ合わせる。

5 Aを加え、片手でボウルを回しながら、ゴムべらで底から大きくすくい返すようにして全体を15回ほど混ぜる。少し粉けが残るくらいでOK。

6 1㎝角に切ったかぼちゃ70gを加え、同様に10回ほど混ぜる。粉けがなくなり、表面につやが出たらOK。

7 型に6 を入れ、底を台に2~3回打ちつけて生地の表面を平らにならす。予熱完了後に180℃に下げたオーブンで35分ほど焼く。

8 裂け目に軽く焼き色がつき、竹串を刺してもなにもついてこなければできあがり。オーブン用シートごと型からはずし、網に上げる。

9 熱いうちにオーブン用シートをはがし、ブランデーをはけでトップと側面に塗って 、すぐにラップでぴったりと包み、そのまま冷ます。

NOTE 
・かぼちゃの甘み、シナモンの風味、ブランデーの香りがよく合う、しっとりとしたケーク。
・かぼちゃは硬さがあり、水っぽくないものを選ぶこと。水分が多いとうまく膨らまない原因になる。
・かぼちゃは90gを裏ごしすると60~65gのペーストが取れる。裏ごしをしたら必ず計量し、65g以上になる場合は減らす。
・子ども用に酒類を抜いて作りたい場合は、仕上げのブランデーは塗らなくてもOK。その場合は網に上げたまま冷ます。


撮影 三木麻奈
スタイリング 西﨑弥沙

 

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