素敵な器を使った朝ごはんコラム、2月担当は「リョク」水野あやさん
はじめまして。岡山県倉敷市にあります「暮らしの道具、器、雑貨 リョク」の水野あやと申します。
2月の「器店主の朝ごはん」を担当致します。1か月間、ふっと力が抜けて楽しく読んでもらえたらと思っています。どうぞよろしくお願い致します。
まずは倉敷とお店と私の自己紹介から。私自身は県外から倉敷へ来て今年で20年になります。そしてお店を初めて9年目です。
古い街並みの風情豊かな観光地、美観地区が有名な岡山県倉敷市は、古くから民芸や芸術を大切にする文化が根付き、大きすぎず、小さすぎず、程良い街の大きさで、背伸びをせずに住むことができる街だと感じています。建物を大切にし、文化を守り続けている美観地区を歩いていると特に倉敷に来てよかったなあとしみじみ思います。
そんな私が大好きな倉敷の街を少しご紹介させてください。
美観地区に入るとまず目にするのが美観地区のシンボル、大原美術館です。日本で最初の私立美術館です。
美観地区内にある倉敷公民館の外観です。こういった公共の建物でも、小粋で、見所満載なので歩いていて楽しいポイントです。
美観地区のメインの通りから一本入るような小径(方言で”ひやさい”といいます)が幾重にあって、これらこそが昔ながらの倉敷の風景となっています。
こういった景観の街並みが日常生活にあること、県外出身の私にとっては最高の贅沢に感じます。だからこそ、ぜひ多くの方に訪れてもらいたいなあという思いでついつい倉敷のご紹介が長くなっていしまいました。
この美観地区から車で10分ほどの住宅街にひっそりと「リョク」はあります。
「リョク」の店名の由来は「緑(リョク)」。新緑の緑、淡い黄緑から深い緑まで、緑色がとにかく好きだったので、そこから取りました。お店を始めたころはローマ字表記で「Ryoku」と書いていたのですが、予期していなかった「リョ―クさん」と呼ばれることが多くて、都度訂正するのも申し訳ないなと思い、何年目からかカタカナで「リョク」と書くようになりました。
美観地区からちょっとだけ離れているところで何もない住宅街にあるお店なので、しばしば「なぜここに?」と聞かれます。お店を始めようと思ったのが、まだ子供が小学2年生の時。学区内で学校から帰るのにも寄りやすい場所で物件を探していました。
不動産屋さんに行って「お店がしたいんです。改装を自由にさせてくれて〇〇小学区内で」と伝えても、なかなか真剣には相手にしてはもらえませんでした。そこで自分で自転車に乗って空き店舗物件を探し、自転車探検のお陰で今のこの物件と巡り合うことができました。
お店を始めようと思った時までペンキすら1度も塗った経験のない私が自分で壁に珪藻土を塗り、改装を頑張って作り上げたお店、という気持ちと、週4日8年も通っていると、この物件に愛着しかなくて、我が家に自分の部屋はなくともこここそが自分の部屋、という感覚に陥ります。
近所にある八百屋さんや馴染みの居酒屋さんのように、自分の行きつけ、「元気--?」とふらっと立ち寄ってもらえるお店が私自身好きなので、そう思ってもらえたらなと思いながら8年、支えて下さる皆様とともに歩んできました。
店内には県内外の作家さんの器や道具、そして職人さんの手によって作られた暮らしの道具などを取り揃えています。
毎日育児や仕事にも追われつつ家事仕事も、と思うとこれらを使うことで少しでも楽しみを持ってもらえたらいいな、と思いながら日々「リョク」にいます。
今回このコラムのご依頼を頂いた時に、真っ先に頭をよぎったのは「私はお料理が得意じゃない、どうしよう」という思いでした。器を扱っているにも関わらずお料理が苦手、ということは常連さんやお友達には以前より公言していました。不得手でも器のお店をしているし、日々楽しんで使っているよ、ということを知ってもらうことで「お料理上手じゃなきゃ素敵な器の出番がない」と思わず普段から使っていってもらえるきっかけとなったら、と思ってお引き受けすることにしました。
焼きそばやカレーライスにも私はどんどん使っていますよ。普通の焼きそばもいい器に入れることでなんだか違うもの、そして作る側のテンションも上がるもの。だから、お料理が得意ではなくても、毎日普通に楽しんで使ってもらえるように、と伝える役割を担っていけたらと思っています。
普段の朝ごはんも毎日代わり映えもせず、限られた時間の中で怒涛のように作っていますが、朝から自分の好きな器を並べられることが朝のほんの小さな楽しみです。
これから1か月、器に助けられている朝ごはんを肩肘張らずに見てもらえたらと思います。どうぞお付き合いください。
岡山県倉敷市田ノ上896-3 1F
TEL:086-431-2227
営業時間:11:00~16:00
定休日: 日、月、火曜
https://www.ryo-ku.com/
Instagrm:@ryoku.kurashiki
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